痴漢事件における被疑者の権利

2020-09-26

今回は、痴漢の疑いで逮捕され、取調べを受ける被疑者に認められた権利につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、大阪府内を走る電車内において、女性Vの臀部を触った疑いで、大阪府鉄道警察隊現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは初犯であり、逮捕されることや、取調べを受けることは初めての経験であるため、不安に感じています。
Aさんは接見に来る弁護士に、被疑者に認められた権利について尋ねてみようと考えています。(フィクションです)

~被疑者に認められた権利~

逮捕されてしまった被疑者に認められた主な権利として、①弁護人選任権、②接見交通権、③黙秘権・供述拒否権、④署名押印拒絶権、⑤増減変更申立権があります。
以下、順を追って説明していきます。

(弁護人選任権)
被疑者・被告人はいつでも資格を有する弁護人を依頼することができます。
このことは、憲法において保障されており(憲法第37条3項)、逮捕・勾留の際は、警察官や検察官、裁判官も逮捕された被疑者に対し、弁護人選任権があることを知らせなければなりません(刑事訴訟法第203条、204条、207条)。
Aさんが依頼できる弁護士には、①当番弁護士、②国選弁護人、③私選弁護人があります。

(接見交通権)
身体を拘束された被疑者は、警察官や検察官の立会いなく、弁護人や弁護人になろうとする者と面会することができます。
Aさんの逮捕直後は、多くの場合、家族や友人と会うことができず、また、勾留された後に接見禁止決定がなされれば、勾留後もこれらの者と会うことができません。
この場合であっても、弁護人や弁護人になろうとする者とは接見できます。
また、Aさんの味方と話をし、アドバイスを受けることができる唯一の機会になります。

(黙秘権・供述拒否権)
取調べの際、Aさんは自己の意思に反して供述する必要はありません。
しかし、この権利を行使する場合は、自身に有利なことを供述することもできなくなりますし、身体拘束期間が伸びてしまう可能性もあります。
積極的に取調べに応じることにより反省の態度を示し、最終的な処分を軽くすることを目指した方がよい場合もあります。
この権利の行使にあたっては、弁護士とよく相談する必要があります。

(署名押印拒絶権)
警察官や検察官に話した内容は、供述調書としてまとめられ、後の裁判において証拠として活用されることになります。
取調官がAさんの話を聞き、これをまとめて調書にし、署名又は押印を求める形式がとられることが多いです。
署名又は押印は、「取調官が被疑者の供述した通りに調書を作成した」という趣旨でなされるものです。

もし話していないことや、話したことと違うことが調書に記載されていた場合、被疑者は署名又は押印を拒否することができます(刑事訴訟法第198条5項但書。なお、供述した通りの調書であっても、法律上、署名押印拒絶権を行使することはできます)。
供述した内容と異なる調書に、安易に署名・押印すると、後の裁判で不利な証拠として採用されるおそれがあります。
時には、執拗に、威圧的に署名・押印を迫られる場合があるかもしれません。
そのような場合であっても、間違った調書に署名・押印することは避け、弁護士に相談するようにしましょう。

(増減変更申立権)
調書が供述した通りに作成されていない場合や、自身の言い分が記載されていない場合には、調書を訂正するよう申し立てることができます(刑事訴訟法第198条4項)。
納得がいくまで修正を求めて構いません。
申し立てに応じてもらえない場合には、署名・押印を拒否すべきです。
また、今後の取調べにおいて、黙秘権・供述拒否権を行使することも検討しなければなりません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が痴漢事件を起こして逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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