痴漢の実態、勾留後の釈放手段
痴漢の実態、勾留後の釈放手段
会社員のAさんは、兵庫県神戸市内を走行する満員電車内で、正面に立っている女性Vさんのスカートの中に右手を差し入れ、Vさんの尻や腿などを触る痴漢をしたところ、Vさんから。右てを掴まれ「この人痴漢です」と言われてしまいました。Aさんは、次の駅で数人の乗客により降ろされ、駆け付けた兵庫県葺合警察署の警察官に兵庫県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されました。その後、Aさんは勾留されました。Aさんの弁護人は勾留決定に対し準抗告したものの棄却されたことから、次に、勾留取消し請求をしようかと検討しています。
(フィクションです。)
~ 痴漢の実態 ~
警視庁の発表によれば、平成29年中に東京都内で発生した痴漢中、最も発生した時間帯は
午前7時から午前9時の通勤通学時間帯
で、全体の
約30パーセント
を占めていたとのことです。また、痴漢の発生場所は
電車 51.3%
駅 20%
店舗内 11.5%
路上 7.8%
商業施設 2.6%
バス 0.8%
と電車が圧倒的に多く、駅を併せると全体の71.3%を占めています。これは東京都内のデータですが、公共交通機関が発達している地方・地域に住んでいる方はもとより、そうでなくても東京都内や公共の交通機関が発達している地方・地域に出張する機会が多い方、痴漢の性癖などど悩まれている方には参考となる数値ではないでしょうか?
~ 勾留後の釈放手段 ~
勾留後の釈放手段には大きく分けて2つあります。
一つは勾留の裁判に対する「準抗告(不服申し立て)」と,勾留決定の取消しを求める「勾留取消し請求」です。
どちらも,その主張が認められれば,勾留された方を身柄解放できるという点では同じですが,前者が勾留決定を違法であることを前提としているのに対し,後者はこれを適法であることを前提としている点で大きく異なります。
* 勾留取消し(請求)について *
勾留取消しは,勾留自体は適法であるものの,その後に事情の変化が起き,勾留の理由・必要がなくなった場合に請求できるというものです。刑事訴訟法87条1項に規定されています。
刑事訴訟法87条1項
勾留の理由又は勾留の必要がなくなったときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取消さなければならない。
なお、「被告人」とありますが、本項は起訴される前の「被疑者」にも適用されます。
「勾留の理由」とは、
① 被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当の理由があること
に加え、
② 住居不定であること
③ 罪証隠滅のおそれがあること
④ 逃亡のおそれがあること
のいずれかの事情があることをいいます。
「勾留の必要」とは、事案の軽重、難易、捜査の進展状況、被疑者の年齢や健康状態など、全ての事情を総合的に判断して、勾留が相当であるといえる場合のことをいい、勾留することによる利益と勾留を受ける被疑者の被る不利益を比較衡量して判断するとされています。
* 勾留後の事情の変化とは *
「勾留の理由」にも「勾留の必要」にも影響する事情といえば「示談成立」が大きいのではないでしょうか?
痴漢事件の場合、示談が成立すれば、それだけ不起訴処分を獲得できる可能性が高くなり、その分だけ被疑者が罪証隠滅行為を働いたり、逃亡したりするおそれはなくなり、同時に勾留の必要もなくなると考えられるからです。また、逮捕や勾留後に、被疑者固有の事情の変化により、勾留により被疑者の被る不利益が大きいと判断され「勾留の必要」がなくなるケースもあります。例えば、不慮の事故により配偶者が亡くなって子どもを世話する人がいないなどという場合です。
勾留取消し請求は,準抗告に比べて数は少ないと言われていますが,それでも法律上認められている手段です。勾留後は、どんな事情の変化があるか分かりませんから、お困りの方は弁護士に相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、痴漢事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
(兵庫県葺合警察署までの初回接見費用:34,900円)