痴漢事件と報道回避

2019-12-05

痴漢事件と報道回避

今回は、痴漢事件を知られずに解決する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、神奈川県川崎市内を走る電車内において、女性Vの後ろ姿に劣情を催し、Vの臀部をスカート越しに触れてしまいました。
Aさんの隣にいたサラリーマンWに上記行為を見られてしまい、WはAさんの腕を掴んで「今痴漢してただろう。警察行くぞ」と言いました。
Aさんは神奈川県鉄道警察隊の隊員に引き渡されました。
Aさんは、痴漢を行ってしまったことを十分反省していますが、できれば職場に事件が知られないように解決できれば、と考えています。(フィクションです)

~神奈川県内の電車内で痴漢をするとどうなるか?~

神奈川県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。

神奈川県迷惑行為防止条例第3条1項1号は、
①公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、
②人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、
③衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接に人の身体に触れること
を禁止しています。

上記規定に違反し、有罪判決が確定すると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(神奈川県迷惑行為防止条例第15条1項)。

(ケースの場合はどうか?)
電車内は、公共の乗物に該当します。
公共の乗物である電車に乗っているVの臀部をスカート越しに触れる行為は、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法と評価できると考えられます。
したがって、Aさんに神奈川県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性は高いと思われます。

~警察官じゃなくても逮捕は可能?~

Aさんの腕を掴んで身柄を確保したのは、警察官ではないWです。
このような行為は、暴行罪(刑法第208条)または逮捕罪(刑法第220条)に該当しうるものです。
警察官ではないのに、こうした犯罪に当たる可能性のある行為に及んでも問題ないのでしょうか。

刑事訴訟法上、現行犯人は、誰でも、令状なくこれを逮捕することができます(刑事訴訟法第213条)。
WがAの腕を掴んだ行為も、現行犯逮捕という正当行為(刑法第35条)に当たるとして、罪に問われることはないと考えられます(抵抗していないAの顔面を殴打して制圧するなど、過大な実力行使を行う場合は罪に問われる可能性があります)。

検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければなりません(刑事訴訟法第214条)
Wはすぐに鉄道警察隊の隊員にAさんを引き渡しているので問題ないと思われますが、警察官に引き渡さず、トイレなどに長時間閉じ込めて詰問するなどする場合は、監禁罪に問われる可能性があります。

~事件について知られたくない~

Aさんが事件を起こしたことを知られないように解決を目指したい、というのはもっともなことです。
事件がテレビや新聞などで報道され、実名が社会に知られてしまうと、勤務先にもAさんの逮捕が発覚してしまいます。
また、再就職の妨げにもなりますし、インターネットなどでは、面白おかしく事件が取り扱われてしまうこともあります。

報道されてしまうことが不安な場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。
全ての痴漢事件が報道されるとは限りません。
絶対に報道されないようにすませられる、というわけではありませんが、弁護士に依頼して、捜査機関に事件を公表しないよう働きかけてもらうなど、報道を回避するためにできることはあります。
事件について知られずに事件が解決すれば、社会復帰もスムーズです。

また、弁護士も守秘義務を負っており(刑法第134条1項、弁護士法第23条)、事件について知られたくない方へ秘密を開示することは絶対にありません。
安心して、事件について相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、痴漢事件の解決実績も豊富です。
ご家族が痴漢事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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