痴漢事件の弁護活動

2020-01-10

今回は、痴漢事件を起こしてしまった場合に想定される弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

福岡県筑紫野市に住むAさんは、満員の電車内において、目の前にいた女性Vの姿に劣情を催し、Vの腰を着衣越しに触るなどしてしまいました。
Aさんは、近くにいたWに上記行為を咎められ、Vとともに次の駅で降りました。
駆け付けた福岡県鉄道警察隊の警察官に痴漢をしたことを認めると、Aさんは迷惑行為防止条例違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~ケースの場合に成立する犯罪~

各都道府県において制定されている迷惑行為防止条例(正確な名称は都道府県によって異なります)においては、「卑わいな行為」が禁止されており、電車内で痴漢をしてしまった場合、多くはこの「卑わいな行為」の禁止規定違反として検挙されることになるかと思われます。
また、あまり多くはないケースですが、痴漢行為の態様が陰部や女性の胸部を直接弄ぶなど、悪質である場合においては、上記の迷惑行為防止条例違反ではなく、強制わいせつ罪の嫌疑をかけられることもあります。

~逮捕された場合の手続~

強制わいせつ罪よりは軽い罪であるとはいえ、「卑わいの行為」の禁止規定違反行為も立派な犯罪です。
そのため、捜査段階で逮捕・勾留される場合があります。
どのような手続が進むのでしょうか。

~捜査手続~

Aさんのように現行犯逮捕されてしまった場合には、警察署に引致された後、犯罪事実の要旨、弁護人選任権について説明され、弁解を録取されます。
当番弁護士をこのタイミングで頼むこともできます。

取調べでは、犯行に至るまで何をしていたのか、なぜVを触ったのか、余罪の有無などについて厳しく尋ねられると思われます。

~検察への送致~
取調べ後、留置の必要が認められると、警察は逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致します。
検察では、身柄を受け取った時から24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するか、あるいは起訴するかを決定します。

~勾留の判断~
Aさんの勾留の可否は裁判官が判断します。
勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
さらにやむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間勾留が延長されます。

~起訴又は不起訴が決まる段階~
検察官が、勾留の満期日までに、Aさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決めることになります。
処分を保留してAさんを釈放し、在宅事件に移行した後、起訴又は不起訴が決められる場合もあります。

~Vとの示談交渉について~

痴漢事件においては、Aさんがなるべく早く外に出られるように働きかける「身柄解放活動」と、被害者と示談を成立させることが重要になります。

示談とは、事件解決に向け、加害者と被害者との間でなされる合意をいいます。
通常、被害者に生じさせてしまった損害を賠償する合意がなされます。
ケースの場合、Aさんは逮捕されてしまっているため、外で活動することができません。
そのため、逮捕中に示談交渉に着手する場合には、弁護士に依頼することになります。

(示談をするメリット)
示談が成立すれば、身体拘束を続ける必要がないと判断され、釈放される可能性が高まります。
また、捜査の最終段階において、検察官がAさんを不起訴処分とする可能性も高まります。
不起訴処分の獲得により、Aさんは裁判にかけられずに済むので、前科が付くことを回避することにもつながります。

示談の条件として、単に被害者に生じた損害を賠償する場合と、被害者に「被疑者の寛大な処分を望む」旨の文言などを盛り込んでもらう場合が考えられます(その他、被害届、告訴の取下げなどを合意する場合もあります)。
被害者が、加害者に対する重い処分を求めないとの意思を示している分、前者よりも、後者の方が、当然Aさんにとって有利な示談となります。
弁護士は、可能な限りAさんにとって有利な示談が成立するよう尽力します。

まずは接見にやってきた弁護士からアドバイスを受け、事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が痴漢事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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