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【事例解説】19歳大学生による電車内での痴漢事件

2023-08-07

19歳の大学生が電車内で痴漢をしたとして警察に逮捕されたケースについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

19歳の大学生のAさんはJR埼京線の電車内で、会社員の女性Vさんの太ももやお尻付近を衣服の上から手で撫でました。
Vさんが、痴漢中のAさんの手を掴んで、『痴漢してましたよね』といって、次の駅で一緒に降りることになりました。
Vさんが駅員に事情を話したところ、駅員が警察に通報しました。
Aさんは、駆け付けた警察官によって逮捕されました。」
(この事例はフィクションです)

電車内で痴漢をするとどのような罪に問われる?

事例のAさんのように、電車という「公共の乗物」において、太ももやお尻といった部分を服の上から撫でるという痴漢行為は、各都道府県が定める迷惑行為防止条例に違反する可能性があります。
埼京線は東京都と埼玉県を結ぶ路線になりますが、電車が東京都内を走行中に痴漢をしていた場合は、東京都迷惑行為防止条例5条1項1号に違反することになると考えられます。
東京都迷惑行為防止条例5条1項1号に違反した場合、同条例8条1項2号によって、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、痴漢行為が令和5年7月13日に施行された「不同意わいせつ罪」の要件を満たす場合には条例に優先して不同意わいせつ罪が成立することになります。
不同意わいせつ罪が成立した場合は、6月以上10年以下の懲役が科されることになり、迷惑防止条例違反の場合より重い刑罰が科せられる可能性が高くなります。

19歳の大学生が電車内で痴漢行為をするとどうなるのか

事例のAさんは19歳の大学生です。
現在、成人年齢は18歳となっていますので、Aさんは日常生活では成人として扱われることになりますが、少年法では20歳未満の者を「少年」と定義して(少年法2条1項)、少年法の適用対象にしています(このうち、少年法では18歳、19歳の少年を「特定少年」と位置づけています)。
そのため、Aさんの痴漢事件については少年法が適用されて少年事件として取り扱われることになります。
少年事件として取り扱われることになると、通常の刑事事件のように検察官が起訴するかどうかを判断するわけではなく、検察官から事件の送致を受けた家庭裁判所が審判を開いて少年の最終的な処遇を決定することになります。
 
もっとも、少年事件から通常の刑事事件へと切り替わる場合もあります。
検察から事件の送致を受けた家庭裁判所から、再び検察へと事件を送致する場合のことを「逆送」と言います。
逆走がなされると、通常の刑事手続きと同様に、検察官が起訴するかどうかの判断を行うことになります。

どのような場合に逆走がなされるかについては少年法に規定されていますが、そのひとつに年齢超過による逆送があります。
先ほども述べた通り、少年法における「少年」とは20歳に満たない人のことを言いますので、痴漢の疑いで警察に逮捕されてからの捜査機関による捜査や、事件が家庭裁判所に送致されてから審判開始までになされる調査の間に少年が20歳を迎えると年齢超過を理由に逆送がなされることになります。
そのため、例えば、事例のAさんが、逮捕された日の1か月後に誕生日を迎えて20歳になるという場合は、審判開始時の年齢超過を理由に逆送がなされる可能性があります。

ご家族が痴漢で逮捕されてしまってお困りの方は

ご家族が痴漢の疑いで警察に逮捕されてしまったら、いち早く弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
特に、今回の事例のように19歳の方が痴漢事件を起こした場合、いつ20歳を迎えるのかということになって、その後の流れが変わってきますので、初回接見に行ってもらった弁護士から事件の見通しや今後の流れについてしっかりとしたアドバイスを貰われることが重要になるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件のみならず、少年事件も専門に取り扱う法律事務所です。
お子さんが痴漢の疑いで逮捕されてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】路上での痴漢で自首を検討

2023-07-31

路上での痴漢行為について、自首を検討しているケースについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

Aさんは、会社終わりに自宅に帰る途中、同じく会社帰りの女性Vさんが前を歩いていることに気が付きました。
路上にはAさんとVさんしかいなかったことから、AさんはVさんを追い越す際に、Vさんのお尻を服の上から手で軽く触りました。
Vさんは叫び声を上げましたが、Aさんはそのまま走って家まで帰りました。
後日、Aさんが地域の不審者情報を確認したところ、AさんがVさんを痴漢した時間と場所がほぼ同じ痴漢行為の情報が記載されていましたので、Aさんは警察に自首することを考え始めました。
(この事例はフィクションです)

路上での痴漢はどのような罪に問われる?

事例のAさんは、路上でいわゆる痴漢行為をしていますが、痴漢行為は各都道府県が定める迷惑行為防止条例に違反する可能性があります。
例えば、東京都が定める東京都迷惑行為防止条例5条1項柱書では、
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。」
と規定し、
次に掲げるものとして、同項1号において、
公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。」
と規定しています。
そのため、事例のAさんのようにVさんのお尻を服の上から軽く触るという行為は、例えば、東京都が定める東京都迷惑行為防止条例5条1項1号に違反すると考えられます。
東京都迷惑行為防止条例5条1項1号に違反して痴漢行為をしてしまった場合、同条例8条1項2号によって、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。

痴漢をしてしまって警察への自首を検討されている方は

事例のAさんのように、痴漢で警察への自首を検討されている方は、事前に弁護士に相談されることをお勧めします。
警察に自首をした後、すぐに痴漢事件が終了するという訳ではなく、自首をきっかけに痴漢事件の捜査が本格化されていくことが予想されますので、自首を検討されている方は、自首をした後の流れについて弁護士からアドバイスを受けておくことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
痴漢行為をしてしまって自首を検討している方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】被害者が男性の痴漢事件

2023-06-15

男性が男性に対して行った痴漢事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例紹介】

会社員の男性Aさんは、通勤の際に使っていたJR中央線の電車内で、男子高校生Vさんのお尻を制服越しに触りました。
後日、Aさんは、再び通勤中の電車内でVさんを見かけたので、痴漢を行うために近づいたところ、Aさんは周りの人に取り囲まれて、痴漢の疑いで警察に逮捕されました。
(この事例はフィクションです)

【男性が被害者になる痴漢事件】

公共の乗り物である電車内で、近くにいた被害者の方の身体を衣服の上から触るという「痴漢」行為は、各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反に問われる可能性が高い行為と考えられます。
例えば、東京都迷惑行為防止条例第5条1項では、「何人も、正当な理由なく、を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。」と規定し、その「次に掲げるもの」として、同項の1号では「公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。」と規定しています。
この東京都迷惑行為防止条例の規定を見てお分かりのように、条例では「何人」「」という言葉が使われていますので、東京都迷惑行為防止条例5条1項1号に違反する場合は、男性が女性に対して痴漢をした場合に限られません。
そのため、事例のように、男性が男性に対して痴漢行為を行った場合にも、迷惑行為防止条例違反となる可能性があるということになります。

なお、東京都迷惑行為防止条例5条1項1号に違反して痴漢行為を行った場合、同条例8条1項2号によって6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。

【ご家族が痴漢の疑いで警察に逮捕されてしまいお困りの方は】

ご家族の中に痴漢の疑いで警察に逮捕された方がいてお困りの方は、弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
この初回接見によって、今回どうして逮捕されたのかといった事件の概要や、今後の手続きの流れ、弁護士が具体的にどのような弁護活動を取ることができるのかといったことを知ることできるでしょう。
そして、この初回接見をきっかけに弁護士が痴漢事件にいち早く関わることができれば、逮捕されたご家族の方の身柄を早期に釈放してもらうための弁護活動をとることが期待できますし、また、逮捕されたご家族の方が痴漢行為を認める場合には被害者の方と示談を締結して前科が付くことを回避するといった弁護活動を取ることも出来る場合があると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族の中に痴漢の疑いで警察に逮捕された方がいて、何をどうしたら良いか全く分からずご不安に思われている方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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