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【事例紹介】電車内の痴漢で不同意わいせつ罪が適用

2023-07-24

電車内での痴漢行為で不同意わいせつ罪の疑いにより男が逮捕された事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

 

事例

電車内で女性に痴漢をしたとして、大阪府警は14日、大阪市建設局職員の男(23)を不同意わいせつの疑いで逮捕し、発表した。「太ももは触っていないが、ふくらはぎは触った」と容疑を一部否認しているという。
府警によると、性犯罪の規定を見直した改正刑法の施行後、同容疑での逮捕は府内で初めて
枚方署によると、男は13日午後、大阪市から大阪府枚方市へ走る京阪電車で、2人用座席の隣に座った20代女性の太ももやふくらはぎをなでた疑いがある。男は他の乗客らに促されて次の停車駅で降り、駅員が110番通報したという。
不同意わいせつ罪は、13日施行の改正刑法で定められた。暴行・脅迫や恐怖・驚愕(きょうがく)、地位利用など8項目の要因で同意しない意思を示すのが困難な状態にさせ、わいせつな行為をした場合に成立するとされる。
府警は8項目のうち、「予想と異なる事態に起因する恐怖・驚愕(きょうがく)」によって被害者が不同意の意思を示せなかったと判断し、逮捕に踏み切ったという。不同意わいせつ罪の法定刑は6カ月以上10年以下の懲役。
大阪市は「誠に遺憾。事実関係を確認の上、厳正に対処する」とのコメントを出した。(甲斐江里子)
(7月14日に配信された朝日新聞デジタルの記事を引用しています。)

不同意わいせつ罪の成立要件

不同意わいせつ罪は刑法176条1項の場合は、次の①から⑧のいずれかを原因として、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ、あるいは相手方がそのような状態にあることに乗じて、わいせつな行為をすると成立します。
①暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
②心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
③アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
④睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
⑤同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕(がく)させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること
⑦虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
⑧経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

不同意わいせつ罪の適用について

痴漢行為の多くは、これまで各都道府県の迷惑防止条例で処罰されていました。
しかし、7月13日の改正刑法の施行により、強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪が統合され不同意わいせつ罪になり、暴行・脅迫が必ずしも必要な要件ではなくなったため痴漢行為への不同意わいせつ罪の適用可能性が取り沙汰されていました。
本事件は、電車内での痴漢行為が⑥の「予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させる」ことによって同意しない意思を形成することが困難な状態にさせ、わいせつな行為をしたといえるとして逮捕されています。
このように、今後は痴漢行為について不同意わいせつ罪が適用される場面が増えてくることが予想されます。
大阪府の迷惑防止条例では、痴漢行為の法定刑は「6月以下の懲役又は50万円以下」と定められています。もっとも、不同意わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」となっており、不同意わいせつ罪と認められた場合、非常に重たい刑罰をかせられるおそれがあります。

痴漢事件に強い弁護士 
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、痴漢事件での示談成立による不起訴処分を獲得した実績が多数あります。
迷惑行為防止条例違反(痴漢)や不同意わいせつ罪で自身やご家族が事件を起こし不安を抱える方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

 

 

【事例紹介】痴漢で逮捕・勾留決定後の身柄解放弁護活動

2023-06-07

【事例紹介】痴漢で逮捕・勾留決定後の身柄解放弁護活動

迷惑行為防止条例違反痴漢)で勾留決定された場合の身柄解放のための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

福岡市在住の会社員男性A(38歳)は、通勤電車内で正面に座る会社員女性Vのお尻を触った(痴漢)ところ、Vが悲鳴を上げて痴漢行為が発覚したため、他の乗客にその場で取り押さえられ、福岡県迷惑行為防止条例違反痴漢)の容疑で逮捕されました。
Aが逮捕されたという連絡を受けたAの妻Bはどうしてよいか分からず、その数日後警察から、Aに対して10日間の勾留が決定したと連絡を受けました。
(事例はフィクションです。)

【準抗告】

被疑者に対する勾留が決定した後でも、その決定に対して不服申し立て(準抗告)を行うことができます(刑事訴訟法第429条第1項第2号)。
勾留の決定は、単独の裁判官によってなされますが、その裁判官の判断が誤っていることを準抗告で主張し、最初の勾留決定に関与していない3人の裁判官によって改めて勾留の可否が判断されます。

勾留の理由は、勾留状謄本の交付請求により知ることができ、弁護人はその勾留の理由を分析したうえで、勾留の理由(逃亡・罪証隠滅のおそれ等)や勾留の必要性がない勾留決定であることを準抗告で主張する必要があります。

勾留の必要性がないことの主張としては、例えば、扶養家族や定職があることや身元引受人(家族等)の監視が期待できるため逃亡する可能性はないこと、被害者の接点がないため被疑者が被害者に供述を変えるよう迫る可能性はないこと、勾留されることで失職し本人や家族の生活に支障をきたすおそれがあること等が考えられます。

勾留に対する準抗告が認容されれば、被疑者は釈放され、以降は在宅での捜査となるため、仕事等への復帰も基本的に可能になります。

【勾留取消請求】

準抗告が却下された場合でも、その後の事情の変化により勾留の理由又は勾留の必要性がなくなったと判断される時に、勾留の取り消しを請求することができます(刑事訴訟法第87条第1項)。
勾留取消請求においては、起訴後の身柄拘束からの釈放である保釈とは異なり、保証金などの金銭の納付の必要はありません。

裁判所が勾留の取り消しを認めることが考えられる場合として、勾留決定後の被害者との示談の成立があります。
痴漢事件における被害者との示談の成立は、不起訴処分の可能性を高めるものであり、逃亡や罪証隠滅のおそれを低下させるとともに、それに伴い勾留の必要性を低下させるものであると考えられます。

準抗告の認容と同様、勾留取消請求が認容されれば、被疑者は釈放され、以降は在宅での捜査となるため、仕事等への復帰も基本的に可能になると思われます。

【弁護士への依頼】

このように、痴漢行為勾留決定された場合でも、被疑者の身柄解放を諦める必要はなく、勾留の理由を的確に分析し、適切な弁護活動を迅速に開始することが極めて重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、痴漢事件での弁護活動により身柄解放を実現した実績が多数あります。
ご家族が盗撮事件逮捕され不安を抱える方は、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。

【報道解説】電車内の痴漢事件で逮捕

2023-05-27

【報道解説】電車内の痴漢事件で逮捕

兵庫県明石市痴漢による兵庫県迷惑防止条例違反の刑事処罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

走行中の電車内で女性の体を触ったとして、兵庫県明石警察署は、令和5年4月29日に、兵庫県迷惑防止条例違反の疑いで、明石市の会社員の男性(30歳)を逮捕した。
逮捕容疑は、28日午後9時頃に、JR神戸線神戸明石を走行中の新快速電車内で、女性(20歳)の尻を数回触った疑い。
警察取調べに対して、男性は「手が当たっただけで故意ではない」と容疑を否認している。
明石警察署によると、女性が車内から携帯で母親に相談し、母親が交番に通報して被害が発覚したという。
(令和5年4月29日に配信された「神戸新聞NEXT」より抜粋)

【痴漢による兵庫県迷惑防止条例違反の刑事処罰】

路上などの「公共の場所」や、電車内などの「公共の乗物」において、他人の身体を触る等の痴漢事件を起こした場合には、各都道府県の「迷惑防止条例」に違反するとして、刑事処罰を受けます。
兵庫県迷惑防止条例の場合には、痴漢事件を起こした場合の法定刑は、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。

兵庫県迷惑防止条例 第3条の2 (卑わいな行為等の禁止)
1項「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。」
1号「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」
2号「正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為」

【痴漢事件の弁護活動】

痴漢事件を起こして逮捕された場合や、警察取調べの呼び出しを受けた場合には、まずは弁護士に法律相談をして、警察取調べの供述対応を検討することが重要です。
痴漢事件を認めるのか、否認するのか、具体的に何があったと供述するかが、その後の刑事処罰の判断に大きく影響するため、警察取調べに行く前の段階から、弁護士とともに供述内容や弁護方針を検討する必要があります。

また、痴漢事件を起こしたことを認めるケースの場合には、被害者側への謝罪や慰謝料の支払いといった示談交渉を行うことで、被害者側に許してもらえるような内容の示談が成立すれば、刑事処罰の軽減や不起訴処分の獲得に繋がることが期待されます。

ただし、被害者やその保護者は、加害者側に対して恐怖心を持っているケースが大半のため、被害者側の連絡先が加害者側に伝えられることは、ほとんど無く、加害者側が直接に示談交渉を行うことはできません。
そこで、刑事事件に強い弁護士を依頼することで、被害者側との示談交渉弁護士が仲介して、示談成立に向けて動くことが可能となります。

まずは、電車内痴漢事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

兵庫県明石市電車内痴漢事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【事例解説】会社員が電車内の痴漢で逮捕

2023-05-16

【事例解説】会社員が電車内の痴漢で逮捕

会社員が酒に酔った勢いで電車内痴漢をしたとして逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例紹介】

「会社員のAさんは、金曜の夜、都内の居酒屋で久々の飲み会を開いて、お酒を飲み過ぎてしまいました。
Aさんは、飲み会が終わった後、自宅に帰るために利用したJR埼京線の車内で、たまたま近くにいた女性のVさんのお尻をVさんの服の上から触りました。
Vさんは警視庁が公表している防犯アプリの痴漢撃退機能を用いて、周囲の乗客に助けを求めたことでAさんは取り押さえられて、通報により駆け付けた赤羽署の警察官に駅で痴漢の疑いで現行犯逮捕されました。」
(この事例はフィクションです)

【Aさんの痴漢行為はとのような罪に問われる?】

Aさんの痴漢行為東京都迷惑行為防止条例5条1項1号に違反する可能性が高いと言えるでしょう。
仮に、Aさんの痴漢行為東京都迷惑行為防止条例5条1項1号に違反するということになると、同条例8条1項2号によって、6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。

【痴漢で逮捕された後】

Aさんは、こうした東京都迷惑行為防止条例違反の疑いで金曜の夜に駅で現行犯逮捕されています。
Aさんは、警察署へと連れていかれて取り調べを受けた後、警察署の中にある留置施設で身柄を拘束されることになります。

逮捕によってAさんの身柄を拘束することができる期間は、逮捕後48時間以内です。
警察が、Aさんの身柄を拘束する必要がないと判断した場合は、逮捕後48時間以内にAさんの身柄を釈放しなければなりません。

ただ、実際には、逮捕後48時間以内に釈放せずに、Aさんの身柄を引き続き拘束しておくために(逮捕後も身柄を拘束することを「勾留」と言います)、Aさんの痴漢事件を一度、警察から検察官に送致するという手続きがなされる場合が多いです。
この検察官への送致手続きも、逮捕後48時間以内になされる必要があります。

仮に、Aさんの痴漢事件が送致されることになった場合、Aさんも一度、留置されている赤羽警察署から、管轄の東京地方検察庁へとバスで移動することになります。
Aさんは、到着した検察庁で検察官から痴漢事件についての言い分を直接聞かれ、検察官が、Aさんの身柄を引き続き拘束しておく必要があると判断した場合は、裁判官に勾留請求をすることになります。
そして、勾留請求を受けた裁判官も、裁判所でAさんと直接面談した上で(この手続きを「勾留質問」と言います)、勾留を認めるための要件があると判断した場合は、勾留が決定されて、身柄が引き続き拘束されることになります。

この検察官への送致から勾留質問までの手続きは、1日でまとめて行ってしまう場合がありますし、送致された日の翌日に勾留質問がなされる場合もあります。
検察庁や裁判所には逮捕した被疑者の身柄を拘束しておく施設はありませんので、検察庁や裁判所に行った後は、逮捕された警察署の留置施設に戻ることになります。

【会社員のご家族が痴漢の疑いで警察に逮捕されたら?】

事例のAさんのように、金曜の夜に痴漢の疑いで逮捕されて、検察官送致となった場合、送致のタイミングは土曜か、遅くとも日曜までになされることになるでしょう。
そのため、この送致された土日の間に、Aさんの身柄を引き続き拘束するための勾留がなされるかが決まることになる可能性が高いです。

勾留が決まってしまうと、原則として検察官の勾留請求の日から10日間、延長でさらに10日間にわたって身柄が拘束されることになります。
そのため、勾留が決まってしまうと、逮捕された方の仕事や生活に非常に深刻な影響が及ぶことになります。

このような影響を最小限にするためには、勾留の決定を回避するための弁護活動をとることが重要です。
逮捕直後に、弁護士に依頼して、勾留がなされることを回避するための弁護活動を取ってもらうことができれば、勾留の決定を回避して、早期の釈放という結果を得る可能性を高めることができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が痴漢の疑いで逮捕されたことを知り、早期に釈放してもらいたいとお考えの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例紹介】痴漢で逮捕 勾留決定前の早期釈放の弁護活動

2023-05-05

【事例紹介】痴漢で逮捕 勾留決定前の早期釈放の弁護活動

迷惑行為防止条例違反痴漢)で逮捕され、勾留が決定する前の早期釈放のための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

福岡市在住の会社員男性A(38歳)は、通勤電車内で正面に座る会社員女性Vのお尻を触った(痴漢)ところ、その場で他の乗客に取り押さえられ、福岡県迷惑行為防止条例違反痴漢)の容疑で逮捕されました。
Aの逮捕後、中央警察署の警察官から、Aの妻BにAが逮捕されている旨の連絡があり、BはAを早期釈放してほしいと希望し、刑事事件に強い弁護士を探し始めました。
(事例はフィクションです。)

【逮捕から勾留決定までの流れ】

被疑者が逮捕されると、被疑者は警察官による弁解録取(取調べ)を受け、逃亡や罪証隠滅の観点から継続して身柄拘束が必要と判断した場合は、逮捕から48時間以内に事件を検察庁送致します。
送致を受けた検察庁では、検察官による弁解録取(取調べ)が行われ、逃亡や罪証隠滅の観点から継続して身柄拘束が必要と判断した場合は、送致から24時間以内に、裁判官に対して勾留請求します。

その後、裁判官が検察官の勾留請求を許可すると、最大10日間(延長されると最大20日間)身柄拘束が続いてしまいます。
そのため、被疑者本人の肉体的・精神的な負担は勿論のこと、長期間会社に行けなくなることによる懲戒解雇等の不利益を受ける可能性が高まります。

【早期釈放のための弁護活動】

早期釈放の観点からは、勾留決定の判断がなされる前に、勾留を阻止するための弁護活動を迅速に開始することが重要です。

なお、国選弁護人制度では、被疑者の勾留が決定した後しか国選弁護人を選任することができないため、勾留前の弁護活動私選弁護人に依頼する必要があります。

私選弁護人は、検察官や裁判官に対して、勾留の理由(逃亡・罪証隠滅のおそれ等)や勾留の必要性がないことを主張し、勾留請求勾留決定を行わないよう意見を申述していきます。

具体的には、検察官や裁判官が把握していない、弁護人が被疑者本人や家族や関係者から聴取した被疑者に有利な事情などを提示することで、勾留の理由や勾留の必要性がないこと、またはその必要が低いことを的確に主張し、検察官が勾留請求を行わない、又は裁判官が勾留請求を却下する可能性を高めることを狙います。

【弁護士への依頼】

このように、痴漢逮捕された場合における、勾留決定前の早期釈放を実現するには、逮捕後直ちに適切な弁護活動を開始することが極めて重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、痴漢事件での弁護活動により、勾留決定前の早期釈放を実現した実績が多数あります。

ご家族が痴漢事件逮捕され不安を抱える方は、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】強制わいせつ罪と迷惑行為防止条例違反(痴漢)

2023-04-13

【事例解説】強制わいせつ罪と迷惑行為防止条例違反(痴漢)

強制わいせつ罪迷惑行為防止条例違反痴漢)が成立する事例とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

<事例1>

福岡市在住の会社員男性A1は、深夜の路上で帰宅中の会社員女性V1の背後から腕をまわし、着衣の上から胸を複数回揉んだ。

<事例2>

福岡市在住の会社員男性A2は、深夜の路上で帰宅中の会社員女性V2の背後から追い抜きざまに、着衣の上からお尻を揉んだ。

(上記いずれの事例も登場人物はすべて成人で、すべてフィクションです。)

【強制わいせつ罪】

刑法176条で、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する、と定めています。

わいせつな行為」とは、「相手の意に反して性的羞恥心を害する行為」とされており、唇にキスしたり、胸や陰部を触る行為などが該当します。

また、「暴行又は脅迫を用いて」とありますが、暴行又は脅迫により被害者を抵抗不能の状態に陥れた後にわいせつ行為をする場合のみならず、わいせつ行為自体が「暴行」と評価される場合も成立します。
胸に触れるのみならず、複数回揉むような場合は、その行為自体が暴行と評価されます。

よって、事例1のA1は、暴行を用いてわいせつな行為をしたとして、強制わいせつ罪が成立します。

【迷惑行為防止条例違反(痴漢)】

福岡県の迷惑行為防止条例(第6条、第11条)では、(1)公共の場所で、(2)正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、(3)他人の身体に衣服の上から触れた場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する、と痴漢行為の罪と罰を定めています。

事例2でのA2の行為は、上記要件(1)から(3)を満たすとして、福岡県迷惑行為防止条例違反痴漢)が成立することは明らかですが、お尻を揉んだ行為の態様次第では、その行為自体が暴行と評価されて強制わいせつ罪が成立する可能性も否定できません。

なお、被害者を押し倒したりや抱きしめた上で行為を行った場合は、暴行を手段としてわいせつ行為をしているため、強制わいせつ罪が明らかに成立します。

【強制わいせつ罪と迷惑行為防止条例違反(痴漢)の弁護活動】

迷惑行為防止条例違反痴漢)にとどまる場合は罰金刑もあり得ますが、強制わいせつ罪の場合は、起訴されると執行猶予付きの判決とならなければ懲役刑となります。
そのため、不起訴処分を得るためには、起訴される前に、被害者との示談を早期に成立させることが重要です。

特に性犯罪刑事事件では、加害者が被害者から連絡先を教えてもらい自ら示談交渉を行うことは事実上不可能です。
弁護士であれば被害者も話を聞いてもよいと連絡を教えてくれる余地があり、特に刑事事件示談交渉に経験豊富な弁護士であれば、条件の良い示談がまとまる可能性が見込まれます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、強制わいせつ罪迷惑行為防止条例違反痴漢)での示談成立による不起訴処分を獲得した実績が多数あります。

強制わいせつ罪迷惑行為防止条例違反痴漢)で自身やご家族が事件を起こし不安を抱える方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

【事例解説】電車でスカート越しにお尻を触る痴漢行為で逮捕

2023-04-02

【事例解説】電車でスカート越しにお尻を触る痴漢行為で逮捕

電車内痴漢をした疑いで警察に逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例紹介】

「Aさんは、出勤のためJR中央線に乗車中、近くに立っていた女子高校生のVさんのお尻をスカート越しに手の甲で撫でました。
Vさんは痴漢行為をしているAさんの手を掴んで『痴漢してますよね』と言って、そのまま次の停車駅の荻窪駅で一緒に降車しました。
Vさんは駅員に事情を説明し、駅員は警察に通報し、Aさんは駆け付けた警視庁荻窪警察署の警察官に東京都迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されました。」

(この事例はフィクションです)

【電車内で女性のお尻をスカート越しに手で撫でると?】

電車内で女性のお尻をスカート越しに手で撫でるといった痴漢は、各都道府県が定める迷惑行為防止条例によって罰則の対象になる可能性が高いと考えられます。
事例のように、東京都痴漢行為をした場合は、東京都迷惑行為防止条例5条1項1号に違反して、同条例8条1項2号によって、6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。

【取調べにおける被疑者の権利】

事例のAさんのように逮捕された後は、警察で取調べを受けることになります。
取調べでは、警察官から、事件について正直に話さないとあたかもそれが悪いことであるかのような言動がなされる可能性がありますが、逮捕された被疑者には取調べにおいて、自己の意思に反して供述を強要されない権利(黙秘権)が認められています。
そのため、被疑者が自分が話したくないと思った場合は何も言わなくても良いことになります。

また、取調べで事件について供述をした場合には供述調書が作成されることになりますが、こうした供述調書はその後の裁判において重要な証拠となります。
そのため、逮捕された被疑者にとって、自分が話した供述がしっかりと調書に記載されていることが大事になりますが、被疑者の供述調書は、捜査機関側が見立てたストーリーに沿った捜査機関側に有利な内容で作成される事が多いです。

自分の言い分が調書に正確に記載されているか知るためには、出来上がった調書に中身を確認する必要がありますが、逮捕されている被疑者には完成した調書の内容を確認する権利が認められています。
さらに、出来上がった調書を確認して、自分が供述したことが調書に記載されていない場合にはその追加記載を求めたり、逆に自分が供述していないことが調書に記載されいる場合にはその削除を求めたりといった、増減変更申立権も被疑者に認められている権利のひとつになります。

この他にも、先ほど、被疑者の供述調書はその後の裁判で重要な証拠になると述べましたが、被疑者の供述調書を証拠として用いるためには、供述調書に被疑者の署名・押印が必要になります。
この署名・押印は供述調書が完成したら必ずしなければならないものではありません。
完成した供述調書が自分に不利益な内容であると思ったら、供述調書への署名・押印を拒否することが権利として認められています。

【ご家族が痴漢の疑いで警察に逮捕されてしまったら?】

ご家族が痴漢の疑いで警察に逮捕されたことを知ったら、いち早く弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
初回接見によって、弁護士逮捕されたご家族の方から直接お話を伺うことができますので、事件の見通しや今後の手続きといったことを知ることができます。
また、弁護士から逮捕されたご家族様に取調べに対するアドバイスをすることもできます。

初回接見に行った弁護士が、先ほど述べた逮捕された被疑者に認められている権利について説明することができますので、このような権利を行使することを知らずに自身に不利な供述調書が作成されるという事態を事前に防ぐことが期待できるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が痴漢の疑いで警察に逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】電車内の痴漢で逮捕 痴漢余罪多数あり

2023-03-22

【報道解説】電車内の痴漢で逮捕 痴漢余罪多数あり

電車内痴漢をして逮捕された事件について、痴漢余罪が多数ある場合も含め、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「A容疑者(26)は去年11月の午前8時ごろ、神奈川県内を走る京急電鉄の車内で、女子高校生の体を触った痴漢行為の疑いがもたれています。
捜査関係者によりますと、A容疑者は先月、別の女子高校生への痴漢容疑で逮捕されていて、押収された携帯電話に女子高校生の写真などが残っていたことから事件が発覚しました。
A容疑者は『数えきれないくらいの女性を触ってきました』と容疑を認めていて、警視庁が同様の痴漢行為余罪を調べています。」
(令和5年2月7日にテレ朝NEWSで配信された報道より一部匿名で抜粋して引用)

【電車内で痴漢をした罪】

電車内で女子高生の身体を制服の上からサッと触るような痴漢行為をした場合、そのような痴漢行為は各都道府県が定める迷惑行為防止条例に違反する可能性があります。
例えば、神奈川県迷惑行為防止条例3条1項柱書では「何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。」と規定して、次に掲げる行為として、同条1号で「衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接に人の身体に触れること。」を挙げています。
そして、神奈川県迷惑行為防止条例3条1項1号に違反して痴漢行為をしてしまうと、同条例15条1項によって1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。

【数えきれないくらいの女性を触ってきた場合は?】

今回取り上げた報道では、逮捕された男性が「数えきれないくらいの女性を触ってきた」と供述しているとのことです。
仮に、迷惑行為防止条例違反となる痴漢行為を数えきれないくらいの女性に対して行っており、警察がそうした痴漢行為について立件して常習的に痴漢行為をしていたと判断された場合、単なる痴漢行為よりも重く処罰される可能性があります。
例えば、神奈川県迷惑行為防止条例では、常習的に神奈川県迷惑行為防止条例3条1項1号に違反して痴漢行為をしてしまうと、同条例16条1項によって2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。

【痴漢事件で弁護士をお探しの方は】

痴漢事件を起こした場合に「自分が痴漢しました」と痴漢の事実を認める場合は、被害者の方と示談を行うことが重要になるでしょう。
ただ、いざ被害者の方と示談をするとなった場合、電車内での痴漢事件の場合、被害者の方の名前や連絡先を全く知らないという可能性が非常に高いですから、事件を起こしたご本人が被疑者の方と直接示談交渉をするというのはとても難しいものになります。

こうした場合でも、示談交渉弁護士に依頼すれば、弁護士は連絡先等を教えてもらえるかということについて、警察などの捜査機関を通じて被害者の方に確認してもらうことができます。
確認の結果、被害者の方の承諾を得ることができれば、被害者の方の連絡先等の情報が弁護士に開示されて被害者の方との示談交渉を進めることができます。

このように被害者の方との示談を望まれている場合は弁護士示談交渉を依頼されることをお勧めします。
弁護士による示談交渉の結果、痴漢事件の被害者の方と示談を締結することができれば不起訴処分を獲得できる可能性を高めることができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
痴漢事件刑事弁護活動を担当してくれる弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】市職員が痴漢事件で逮捕

2023-03-11

【報道解説】市職員が痴漢事件で逮捕

北九州市小倉北区痴漢事件弁護活動の内容について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道解説】

福岡県北九州市職員の男性(31歳)が、令和4年10月27日深夜に、北九州市小倉北区の路上で、被害者女性(21歳)の尻を触った疑いで、令和5年1月23日に福岡県小倉北警察署逮捕された。
痴漢加害者は犯行に及んだ直後、走って逃走したが、その後の付近の防犯カメラなどの捜査で男性の逮捕に至った。
男性は、警察取調に対して「痴漢行為はしていません」と容疑を否認している。
(令和5年1月23日に配信された「TNCテレビ西日本」より抜粋)

【痴漢事件の弁護活動、否認事件の場合】

痴漢事件の容疑がかけられて逮捕された場合には、逮捕されてから2、3日の間に、さらに身柄拘束(勾留)が続くのか、釈放されるかの判断がなされます。
勾留決定が出れば、原則として10日間の身柄拘束が続きます。
さらに事件捜査の必要性がある場合には、身柄拘束が10日間の延長をされて、合計20日間の勾留となるケースもあります。

痴漢事件をやっていないと主張する否認事件では、逮捕当初の警察取調べの段階から、否認主張や事件当時の状況などを、どのように警察に説明していくかが、特に重要となります。
取調べを行う警察官は、「容疑者が痴漢事件を起こしたこと」を認めさせるために、厳しい尋問が行われることが予想されますので、刑事事件に強い弁護士と綿密に打合せをして、警察取調べにおける否認主張の検討をすることが必要となります。

否認事件では、身柄拘束の必要性があると判断されて、身柄拘束が長引くケースが多いです。
事件捜査の初期段階で、逮捕中の容疑者との弁護士接見弁護士面会)を依頼することで、弁護士とともに今後の弁護方針を検討して、一日も早い釈放を目指すことが重要です。

【痴漢事件の弁護活動、認め事件の場合】

痴漢事件をやったことを認める主張をする認め事件では、警察取調べでの供述内容を弁護士と打合せ検討するとともに、被害者に対する示談交渉を、弁護士を仲介して進めていくことが、刑事処罰の軽減のために重要となります。

示談交渉においては、被害者やその家族等に対して、謝罪と慰謝料支払いの意思を伝えることで、被害者側の許しの意思を含むような示談を成立させることが重要です。
痴漢事件示談交渉では、被害者側が加害者への恐怖心を持っており、加害者側の直接の被害者側への接触は、捜査機関により禁止されるケースが多いです。
刑事事件に強い弁護士を依頼して、弁護士が被害者との間を仲介することで、示談の話を進めることが、示談成立による不起訴処分の獲得や、刑事処罰の軽減のために必要となります。

まずは、痴漢事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

福岡県北九州市痴漢事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】高校に侵入して女子生徒の体を触る痴漢事件

2023-02-28

【報道解説】高校に侵入して女子生徒の体を触る痴漢事件

高校に侵入して女子生徒の体を触って逃走した痴漢事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「宮城県の大崎市などによりますと、1月18日午前7時50分ごろ、大崎市古川にある高校の校舎内に男が侵入し、女子生徒の体を触り、逃走したということです。
女子生徒にけがはありませんでした。
逃げた男の特徴は、年齢が20代ぐらいで、身長170センチほど、上下黒の服装で、オレンジ色に近い金髪だったということです。
警察は、周辺のパトロールを強化するなど、逃げた男の行方を追っています。」
(令和5年1月19日に仙台放送で配信された報道より一部抜粋して引用)

【高校に侵入して女子生徒の体を触るとどんな罪になる?】

今回取り上げた報道は、宮城県内の高校の校舎内に男性が侵入して、女子生徒の体を触って逃走したというものです。
このような事件の場合、校舎の中に侵入した行為と女子生徒の体を触った行為のそれぞれについて犯罪が成立する可能性があります。

まず、校舎の中に侵入した行為ですが、報道のように生徒に痴漢をする目的で校舎に侵入したのであれば、刑法130条前段が規定する建造物侵入罪が成立する可能性があります。
建造物侵入罪の法定刑は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金刑となっています。

次に、女子生徒の体を触った行為についてですが、報道では具体的に体のどの部分をどのように触ったのかということが明らかではありませんが、例えば、女子生徒の制服の上からお尻の部分を軽く触ったというのであれば、迷惑防止防止条例違反になる可能性があります。
事件が起きた宮城県の場合は、宮城県迷惑行為防止条例3条の2第1項1号に違反する可能性があり、これに違反すると同条例17条1項1号によって6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。

なお、女子生徒の体を触るという行為が服の上から軽く触るといった程度を越えて、例えば、制服の上から胸をわしづかみにするというような行為であった場合は、迷惑行為防止条例違反ではなく刑法176条の強制わいせつ罪が成立する可能性があります。
強制わいせつ罪の法定刑は、迷惑行為防止条例違反の場合よりも重い6か月以上10年以下の懲役刑となっています。

【学校に侵入して痴漢事件を起こしてしまった方は】

学校に侵入して痴漢事件を起こした後に現場から逃走したものの、痴漢事件が報道されているということを知って警察への出頭をお考えになっているという方は、まずは弁護士に依頼して警察への出頭を同行してもらうことをお勧めします。
弁護士に依頼して警察への出頭に同行してもらうことで、逮捕されるリスクを一定程度下げることが可能になる場合があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
高校に侵入して痴漢をしたことで警察に出頭することをお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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