痴漢で実名報道する基準とは?
痴漢で実名報道する基準について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
~事例~
兵庫県宝塚市に住む会社員のAさん(38歳)は、通勤電車内で痴漢をしたとして、兵庫県宝塚警察署の警察官に兵庫県迷惑防止条例違反で逮捕されました。実は、Aさんは、以前から同じ電車内で痴漢を繰り返しており警察官から目をつけられていました。Aさんは、実名報道されたら会社に痴漢したことがばれてクビになり、ネットに名前が載って今後の社会活動に影響が出ることをひどくおそれています。そこで、Aさんは接見に来た弁護士に実名報道を避けるることができないか相談しました。
(フィクションです。)
~痴漢について~
「痴漢」は,各都道府県の迷惑行為防止条例(各都道府県によって名称は異なる,以下「条例」といいます)違反に問われることが多いかと思います。
罰則は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」、あるいは常習性が認められる場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされていることが多いかと思います。
初犯の場合、被害者と示談が成立すれば不起訴となる可能性が高いでしょう。示談が成立しない場合は略式起訴されることが多く、その場合の刑罰は罰金刑です。罰金額は20万円から30万円が相場です(ただし、繰り返しますが初犯の場合です)。
また、痴漢の態様によっては刑法の強制わいせつ罪に問われることもあります。
場所を問わず(つまり、電車内か否かを問わず)、同罪に問われる可能性があります。
ここで、条例と強制わいせつ罪がどう区別して適用されるかですが、性的侵害度の高い場合はより強制わいせつ罪が適用されると考えましょう。
つまり、スカート内に手を入れ臀部を揉む程度であれば条例違反の可能性が高いですが、それより一歩進んで下着の中に手を入れ臀部を揉む行為、陰部を揉む行為は強制わいせつ罪に問われる可能性もあります。
強制わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」です。
初犯の場合、被害者と示談が成立すれば不起訴となる可能性が高いでしょう。示談が成立しない場合は起訴され有罪となれば、強制わいせつ罪は罰金刑がないですから懲役刑を宣告されます。懲役は1年から2年が相場です。
~実名報道の基準について~
ところで、痴漢で逮捕されると、実名報道されることを気にされる方も多いかと思われます。
当然マスコミは警察から情報を入手するわけですが、警察が情報を公表する明確な基準というものはありません。
明確な基準がないということは、報道されることもあればされないこともある、というわけです(世の中のほとんどの事件は報道されていないと思います)。
しかし、普段のニュースなどをみていると、そこから一定の基準を見ることはできます。
まずは、
事件として社会的耳目の高いもの
です。たとえば、殺人、強盗、放火、詐欺(特に特殊詐欺)、児童・高齢者虐待、危険度の高い交通事故、あおり運転、ながら運転など、犯罪それ自体が社会の耳目を集めている事件です。
殺人、強盗、放火などは時代が変わろうとも社会の耳目を集めている事件であることは間違いありませんが、児童・高齢者虐待、危険度の高い交通事故、あおり運転、ながら運転などは近年、社会の耳目を集めている事件といえます。このように、社会の耳目を集めているかどうかは時代の変遷とともに変わるものです。
では、痴漢はどうでしょうか?
この点、痴漢はどちらかといえば報道されにくい部類に属するのではないかと思います。
しかし、事件自体に何か特徴的な点がある場合は別です。
次に、
事件を起こした人の社会的地位・職業・年齢
です。
政治家、芸能人、アスリート、会社経営者、公務員などは報道されやすいでしょう。また、社会的に耳目の集めやすい事件ともいえそうです。
他方で未成年者は実名を伏せた上で報道されることもあります。
実美報道を避けたい場合は、はやめに警察などに働きかける必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、痴漢をはじめとする窃盗罪などの刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。