髪の毛を触る痴漢事件

2019-04-29

髪の毛を触る痴漢事件

髪の毛を触る痴漢事件東京都在住の会社員のAさんは,通勤中の電車内において,乗客の一人である女性の髪の毛を触り,匂いを嗅いでしまいました。

Aさんは女性と社内の乗客に取り押さえられ,停車駅で駅員室に連れて行かれました。
駅員の通報により駆け付けた警視庁東村山警察署の警察官に,Aさんは東京都迷惑防止条例違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。

逮捕の連絡を受けたAさんの家族は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に警察署への初回接見を依頼しました。
(フィクションです)

 

~迷惑防止条例~

迷惑防止条例は各都道府県が定める条例で,名称は都道府県ごとに若干異なりますが,内容は概ね同様となっており,いわゆる痴漢行為や盗撮行為などを罰則付きで禁止しています。

また,設例のAさんがやってしまった行為として該当する可能性がある「卑わいな言動」も規制されています。
ここでは,一例として東京都の迷惑防止条例を紹介します。

東京都迷惑防止条例
第5条 何人も,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような行為であつて,次に掲げるものをしてはならない。
(1)公共の場所又は公共の乗物において,衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
(2)略(盗撮行為)
(3)前2号に掲げるもののほか,人に対し,公共の場所又は公共の乗物において,卑わいな言動をすること。

東京都の迷惑防止条例では,いわゆる痴漢行為,盗撮行為を切り出して処罰の対象としています。
そして,いわゆる痴漢行為,盗撮行為とは言えないものの,他人に不安を覚えさせるような行為を「卑わいな言動」として包括的に処罰対象としています。

いわゆる痴漢行為や「卑わいな言動」を行った場合,罰則は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金となっています(東京都の場合)。

いわゆる痴漢行為は(1)で規定されています。
痴漢」行為という言葉からは,胸元やお尻を触る行為をイメージされやすいかと思います。
設例のAさんが触れたのは女性の髪の毛ですが,この行為も痴漢として扱われるでしょうか?
迷惑防止条例の条文を確認してみましょう。
迷惑防止条例の条文は「身体に触れる」ことを禁止しています。条文を文字どおりに解釈するのであれば,毛髪も身体の一部なので痴漢行為だ,と言えなくもないと思われます。
もっとも,実際に迷惑防止条例違反とされた事件において,いわゆる痴漢行為として逮捕されているケースは,胸やお尻といった部位を触った場合が多いことも否定できません。
設例のAさんのような場合,同じ迷惑防止条例違反でも,いわゆる痴漢行為以外の行為を包括的に処罰する「卑わいな言動」として扱われるか,あるいは,刑法208条が定める暴行罪として扱われる可能性があると思われます(暴行罪の場合は,「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処せられます)。

~逮捕されてしまったら~

設例のAさんのように現行犯逮捕されてしまった場合,事情によっては数日で釈放されることもあります。
もっとも,逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあると判断された場合には,逮捕に引き続く身体拘束の延長となる,勾留の決定がされてしまう場合もあります。

ひとたび勾留されてしまった場合には,原則10日間,状況によってはさらに10日間の延長がされて,最大20日間も留置所において拘束されてしまう可能性があります。

勾留されている間は会社等に行くことができず,事件が会社等に発覚してしまう可能性が非常に高くなります。
そうなってしまうと,会社等を休み続けるわけには行かず,解雇されてしまう可能性もあります。
そのため,弁護を依頼された弁護士はまずは勾留されないように弁護活動をします。
具体的には,勾留の必要がないという意見書や,ご家族の方からの上申書などを検察官に提出します。

 

~弁護活動~

痴漢わいせつ事件で逮捕されたらすぐ弁護士に相談痴漢や盗撮などの卑わいな言動の事件の場合,初犯であり,被害者の方と示談が成立していれば起訴猶予の不起訴処分となる場合が多いです。
反対に,示談ができていない場合は,少なくとも罰金処分にはなり,前科がつくことが大半です。
また,余罪の有無等,事情によっては起訴されて刑事裁判を受けなければならないこともあります。
そのため,検察官が処分を決めてしまう目に,早期に被害者の方と示談交渉をすることが非常に重要になります。
しかし,痴漢事件などの場合,加害者の方が被害者の方と直接示談をするというのは非常に困難です。
示談交渉をしようにも,被害者の方と連絡を取ることができません。
弁護士であれば,被害者の同意の下,検察官や警察官から被害者の方の連絡先を取り次いでもらえる場合もあります。
示談の際には宥恕条項を盛り込んだ示談書を作成することが重要です。
宥恕とは「許す」ということであり,宥恕条項があれば,当事者間で既に解決している以上,検察官は国家による刑罰をあえて科す必要はないと判断し,不起訴処分とする可能性が高くなります。
万が一,痴漢やそれに類する事件を起こしてしまった場合には早めに弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
痴漢といわれるような事件を起こしてしまいお困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。
(警視庁東村山警察署での初回接見費用:37,800円)

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