強制わいせつ事件を起こし逮捕

2019-06-28

強制わいせつ事件を起こし逮捕

~ケース~
Aさんは、福岡県粕屋郡内の通学路において、ランドセルを背負っていた女子児童V(10歳)に対し、「おまじないがある」などと称し、Vの同意を得て陰部を直接弄んでしまいました。
その場では何も起きなかったのですが、Vが親に相談したことをきっかけに、親が激怒し、福岡県警粕谷警察署被害届を提出しました。
後日Aさんの自宅に逮捕状を持った警察官が数名現れ、Aさんは強制わいせつ罪の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~強制わいせつ罪について解説~

強制わいせつ罪は、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をし、または13歳未満の者に対し、わいせつな行為をする犯罪です(刑法第176条)。
法定刑は6月以上10年以下の懲役となっており、比較的重い部類に属する犯罪といえます。
13歳以上の者に対しては、暴行・脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に初めて同罪が成立するのですが、13歳未満の者に対しては、わいせつな行為をしただけで同罪が成立し、わいせつ行為につき同意があったとしても同様です。

(「わいせつな行為」とは?)
わいせつな行為の具体例として、陰部に手を触れたり、手指で弄んだり、自己の陰部を押し当てることなどが挙げられます。
ケースにおける、「陰部を直接弄ぶ行為」は、強制わいせつ罪における「わいせつ行為」の典型例ということができるでしょう。

(故意)
強制わいせつ罪は故意犯ですので、Aさんにおける被害者の年齢の認識が問題となります。
被害者が13歳以上の場合は、Aさんにおいて被害者が13歳以上であることを認識している必要はありません。
しかし、被害者が13歳未満の場合は、Aさんにおいて被害者が13歳未満であることを認識していたことが必要となります。
ケースのVはランドセルを背負っており、身長、言動、Vが通学路にいたという事情から、13歳未満であることを認識していたと判断される可能性が高いと思われます。
したがって、13歳以上であると思っていた、という弁解は通用せず、「不合理な弁解」として、Aさんの身体拘束が長引くなどの不利益をもたらすリスクの方が高いと思われます。

~逮捕されると今後どうなるか?~

(勾留請求前)
粕谷警察署に引致され、警察での取調べを受けたあと、留置の必要があると認められるときは、逮捕から48時間以内にAさんの身柄が検察に送致されます。
検察官は、Aさんから話を聞き、身柄を受け取ったときから24時間以内かつ逮捕から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するか、あるいは起訴するかを決めます。
(勾留請求後)
勾留請求に対し、勾留の要件を審査し、勾留の可否を決定するのは裁判官です。
勾留決定が出されると、10日間の期間で勾留されます。
さらにやむを得ない事由があると認められるときは、最長10日間の期間で、勾留延長がなされます。
検察官は勾留の満期日までにAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするか、または処分を保留して釈放するかを決めることになります。
勾留されたまま起訴された場合は、保釈されない限り、起訴後勾留に移行し、引き続き身体拘束を受けることになります。

~弁護士に身柄解放活動、示談交渉を依頼~

勾留が長引くと、勤務先から無断欠勤を続けたとして、解雇されるなどの処分を受ける可能性があります。
以上みてきた通り、Aさんの身体拘束を続けるかどうかを判断する機会がいくつかあることがわかります。
1つは、勾留請求前です。
勾留請求されなければ、捜査段階で勾留されることはないので、検察官に勾留請求をしないよう交渉することが考えられます。
もう1つは、勾留延長の決定が出されるときです。
この機会も、身体拘束の長期化を阻止するポイントの1つです。
勾留中にも、「準抗告」という勾留決定に対する不服申し立ての手段があり、準抗告が認容されれば、Aさんは釈放されることになります。
起訴後は、保釈請求を行い、保釈の実現に向けて活動します。

被害者(被害者が未成年者の場合はその保護者)と示談を成立させることも重要です。
示談が成立していれば、検察官が不起訴処分を行う可能性を高めることができますし、起訴された場合にも、示談が成立していない場合よりも軽い量刑の判決を期待することができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、強制わいせつ事件の解決実績も豊富です。
ご家族が強制わいせつ罪などの痴漢事件を起こしてしまいお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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