大型商業施設における痴漢事件
大型商業施設における痴漢事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
Aさんは、埼玉県川口市内の大型商業施設の上りエスカレーターに乗っている際、前に立っていた女性Vの臀部を着衣越しに撫でてしまい、Vは悲鳴をあげました。
Aさんは驚いて逃走しましたが、騒ぎは近くにいた人に気付かれ、警察に通報されてしまいました。
到着した埼玉県警察川口警察署の警察官が犯行現場の付近を警戒していたところ、犯人の容姿とよく似たAさんを見つけたので、職務質問をしたところ、上記の痴漢行為を認めたので、埼玉県迷惑防止条例違反の疑いで現行犯逮捕しました。
Aさんは埼玉県川口警察署に引致され、取調べを受けています。
(フィクションです)
~「痴漢」を行った場合に成立する犯罪 強制わいせつ罪 迷惑行為防止条例違反の罪~
「痴漢」と呼ばれる事件を起こした場合に成否が検討される犯罪として、「強制わいせつ罪」(刑法第176条)、各都道府県が制定する「迷惑行為防止条例違反の罪」が一般的に挙げられます。
「強制わいせつ罪」は、13歳以上の者に対して、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をする犯罪です。
なお、13歳未満の者に対しては、暴行や脅迫を用いずとも、わいせつな行為をすれば、強制わいせつ罪が成立します(同意があったとしても、です)。
法定刑は6月以上10年以下の懲役となっており、重い刑罰が予定されています。
「迷惑行為防止条例違反の罪」は各都道府県が制定する迷惑行為防止条例に違反する罪であり、痴漢を行った場所により、適用される迷惑行為防止条例が異なります。
AさんがVの臀部を触ったのは埼玉県川口市内ですから、適用される迷惑行為防止条例は埼玉県迷惑行為防止条例となるでしょう。
「強制わいせつ罪」と「迷惑行為防止条例違反の罪」の境界を具体的に示すのは困難ですが、痴漢行為の態様が、着衣の上から臀部を撫でる行為にとどまった場合には、通常、迷惑行為防止条例違反の罪の成否が検討されます。
~埼玉県迷惑行為防止条例はどのように痴漢行為を規制しているか~
埼玉県迷惑行為防止条例第2条4項は、「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しく羞しゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。」として、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処すると定めています。
Aさんの犯行態様は不特定かつ多数の人が自由に出入りできる大型商業施設において、Vの臀部を撫でたというものですから、「公共の場所において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ」たものということができます。
したがって、Aさんに埼玉県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。
~まずは弁護士に初回接見を依頼~
多くの場合、勾留されるまでの段階は家族であっても、被疑者と面会することができません。
面会が可能であっても、接見室には警察官が立会い、面会できる時間帯も限定されています。
しかし、弁護士は警察官の立会いなく、さらに、いつでも被疑者と面会することができます。
当番弁護士制度
当番弁護士は、逮捕された方が初回の1回だけ無料で接見できる弁護士です。
ただし、被害者との示談交渉や、身柄解放活動を行うことはできません。
国選弁護人制度
被疑者が勾留されていて、その資力が基準額未満である場合に、被疑者の請求により裁判所が付する弁護士です。
原則として費用はかかりません。
身柄解放活動、示談交渉を行う権限がありますが、被疑者は自分に付く弁護士を選ぶことができません。
したがって、必ずしも自分に付いた弁護士が刑事事件に強いとは限らない、ということになります。
私選弁護人
被疑者側で選任する弁護士です。
刑事事件を得意とする弁護士や、かねてから信頼している弁護士を選任できますが、弁護士報酬を支払う必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に在籍する弁護士は全員、刑事事件を専門としています。
初回接見の際は、①今後の手続き、②処分の見込み、③取調べの対応方法などにつき、刑事事件専門の弁護士から助言を受けていただくことができます。
さらに、④初回接見を依頼された方から逮捕された被疑者へ、また、⑤被疑者から依頼者への伝言を承ることも可能です。
接見の結果は、依頼者の方に報告させていただきます。
その上で、私選弁護人を付ける必要性を判断していただければと思います。
ご家族が痴漢事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。