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公務員が起こした2度目の痴漢事件
今回は、痴漢事件を起こしてしまった公務員の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、岐阜県所沢市内を走る電車内において、目の前の女性Vの腰を触った疑いで、埼玉県所沢警察署に現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは地方公務員として働いています。
地方公務員となってからは大人しく過ごしていたのですが、地方公務員になる前に1度だけ痴漢事件を起こし、罰金刑を受けた過去があります。
今回の事件についても犯行を認めていますが、職を失うことを非常におそれています。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)
~Aさんに成立する犯罪~
埼玉県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。
埼玉県迷惑行為防止条例第2条第4項は、
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しく羞しゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。
と規定しています。
これに違反し、有罪判決を受ける場合は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(埼玉県迷惑行為防止条例第12条2項1号)。
~Aさんが特に注意すべきことは何か~
Aさんは地方公務員です。
地方公務員法第28条4項によると、「職員は、第十六条各号(第三号を除く。)の一に該当するに至つたときは、条例に特別の定がある場合を除く外、その職を失う」と規定されています。
地方公務員法第16条各号のうち、第2号には「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」が挙げられています。
懲役刑の言渡しを受け、その執行を猶予されている者も上記に該当します。
Aさんが有罪判決を受ける場合において、懲役刑が選択されてしまうと、地方公務員法第28条4項により、条例に特別の定めがある場合を除く外、失職してしまうことになります。
また、一刻も早い身柄解放を実現することも重要です。
地方公務員ではない、民間のサラリーマンの場合においても当てはまることですが、無断欠勤を続けると勤務先から不利益な処分を言い渡される可能性があります。
逮捕後、勾留決定がなされなければ、1日~3日程度で外に出ることができます。
1日~3日間、無断欠勤をすることは避けられませんが、勾留され、何十日も無断欠勤を続けるのに比べれば事態として良いということができるでしょう。
職を失ってしまうと、Aさんの社会復帰に多大な悪影響が生じます。
弁護活動を尽くし、早期の身柄解放の実現、懲役刑の回避を目指して行動する必要があります。
~具体的にはどうすればよいのか~
①起訴猶予処分、または、②略式手続により罰金刑の言渡しを受けて事件を終了させることができれば、ケースの事件につき、地方公務員法第28条4項により失職する可能性はなくなります(ケースの事件に関係して、何らかの不利益な処分を受ける可能性は否定しきれません)。
起訴猶予処分は不起訴処分の1つです。
不起訴処分がなされれば、裁判にかけられることがないので、刑罰を受けることもありません。
できる限り起訴猶予処分の獲得を目指すべきですが、Aさんは過去に同種前科により罰金刑を受けているため、起訴猶予となるのは難しいでしょう。
起訴猶予処分の獲得は難しい、ということであれば、略式手続により事件を解決するよう検察官に働きかけることが考えられます。
罰金刑の言渡しで事件が解決すれば、地方公務員法第16条2号に該当せずに済むことになります。
被害者と示談をするなど、適切な弁護活動を捜査段階で行う必要があるといえます。
まずは接見にやってきた弁護士からアドバイスを受け、有利な事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が痴漢事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
誤認逮捕事件で弁護士が釈放対応
誤認逮捕事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
千葉県四街道市在住のAさん(40代男性)は、朝の通勤時間帯に、通勤電車内で前に立っていた女性から痴漢と間違えられて、駅員を呼ばれた。
Aさんは、何もしていないと主張したが、女性や駅員に信じてもらえずに、警察に通報されて、千葉県四街道警察署に逮捕されてしまった。
Aさんは、Aさんの家族の依頼で接見(面会)に来た弁護士と法律相談をすることで、痴漢事件の否認を今後も続けていくに際して、警察署での厳しい取調べに対する対応を、弁護士とともに打合せ検討することにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~誤認逮捕の弁護士対応~
通常逮捕の手続では、最初に捜査官が、「被疑者や被疑事実が書かれた逮捕状」を令状裁判官に請求します。
そして、身柄拘束を実際に行う捜査官は、逮捕にあたって必要な手続きとして、逮捕される者に対して、その逮捕状を示さなければならないとされています。
逮捕される当人は、逮捕状が提示されたときに、自分にどのような容疑がかけられているかを知ることができます。
一方で、現行犯逮捕の手続では、現行犯事件の容疑内容や加害者が明らかであるため、事前の逮捕状の提示は必要とされず、「現に罪を行い、又は罪を行い終わった者」を現行犯逮捕できるとされています。
自分に身に覚えのない容疑で、誤認逮捕されてしまった場合には、取調べを受けている警察署の留置所に弁護士を呼び、弁護士に無罪であることを話しましょう。
または、逮捕の知らせを受けたご家族の方が、法律事務所に相談電話をして、刑事事件に強い弁護士を警察署へと派遣し、逮捕された当人と接見(面会)するように依頼することもできます。
冤罪事件で誤認逮捕された人が、無実の誤認逮捕である事情を弁護士に伝えることで、弁護士は早期釈放に向けて、すみやかに捜査機関に対して働きかける等、適切な対処をとることができます。
警察の捜査員は、いわゆる取調べのプロであり、逮捕者は継続的な身柄拘束を受けた上で、厳しい取調べを受けます。
逮捕者が自分は無実であると主張しても、厳しい取調べの過程において、精神的に追い詰められていく可能性が考えられます。
厳しい取調べを受ける逮捕者が、「一時的に楽になれるなら」と、つい投げやりな気持ちになって、事件を認める内容の嘘の自白をしてしまう事態に陥らないとも限りません。
そうなる前に、少しでも早くに法律事務所に相談をして、警察署での弁護士接見(面会)をご依頼ください。
警察取調べへの対処方法や、早期釈放に向けた事件の見通しなどを、刑事事件に強い弁護士が誠心誠意アドバイスいたします。
~痴漢事件の刑事処罰とは~
痴漢事件を起こした場合には、痴漢犯罪の行為態様に応じて、各都道府県の制定する「迷惑防止条例違反」や、刑法の「強制わいせつ罪」に該当するとして、刑事処罰を受けることが考えられます。
公共の場所や公共の乗物内で、痴漢事件を起こした場合には、迷惑防止条例に違反するとして、各都道府県の制定する条例の規制内容に応じて、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」や「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」という法定刑の範囲で、刑事処罰を受けます。
他方で、「暴行又は脅迫」を用いて、わいせつ行為を行った場合には、刑法の強制わいせつ罪に当たるとして、「6月以上10年以下の懲役」という刑事処罰を受けます。
・刑法176条(強制わいせつ)
「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」
冤罪事件や誤認逮捕事件では、自身がどのような罪に問われようとしているかを、弁護士とともに綿密に検討した上で、罪に問われている犯罪事実に当たるような行為が無かったことを、弁護士の側から、客観的な証拠をもとに主張・立証していくことが重要となります。
誤認逮捕事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
ストーカー強制わいせつ事件で示談解決
ストーカー強制わいせつ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
大阪市住吉区在住のAさん(40代男性)は、ネット上で知り合った20代女性に対して、何度も電話をかけたり、女性の自宅付近を徘徊したりする等のストーカーつきまとい行為を行った。
被害者女性が自宅を出た際に、Aさんは路上で女性に声をかけて、女性の身体を触る等の痴漢行為をしたことで、女性は警察を呼び、Aさんは大阪府住吉警察署に現行犯逮捕された。
Aさんは逮捕されたことで、ストーカーつきまとい行為を深く反省し、被害者女性に謝罪したいと考えた。
Aさんの家族が刑事事件に強い弁護士を派遣し、Aさんは弁護士と今後の事件対応を法律相談して、事件の示談解決や早期釈放に向けて、弁護士に被害者示談対応の弁護活動を依頼することにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~ストーカー強制わいせつ事件の刑事処罰~
ストーカーつきまとい行為の中で、ストーカー被害者に対して痴漢行為をした場合には、「刑法の強制わいせつ罪」「各都道府県の迷惑防止条例違反」「ストーカー規制法違反」などの罪に該当する可能性があります。
「暴行又は脅迫」を用いて、わいせつ行為をした場合には、「強制わいせつ罪」に当たるとして、「6月以上10年以下の懲役」という法定刑の範囲で、刑事処罰を受けます。
・刑法 176条(強制わいせつ)
「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」
また、「公共の場所や公共の乗物」において、痴漢行為を行った場合には、迷惑防止条例に違反するとして、各都道府県の制定する条例の法定刑に応じて、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」や「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」という刑事処罰を受けます。
~ストーカー規制法違反の罪とは~
ストーカー行為とは、同一の者に対し、つきまとい等を繰り返して行うもので、違法行為に当たります。
平成12年に「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(ストーカー規制法)が成立し、ストーカー行為に対する刑事処罰の法定刑は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と規定されています。
ストーカー規制法において「つきまとい等」とは、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」に対し、次のいずれかの行為をすることをいいます。
・つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
・その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
・面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
・著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
・電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
・汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
・その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
・その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。
警察等の捜査機関は、ストーカー行為が更に反復して行われるおそれがあると認めるときは、ストーカー行為者に対して、「更に反復して当該行為をしてはならない旨」を警告することができます。
それでもストーカー行為を止めなかった場合には、公安委員会は、ストーカー行為者に対して禁止命令を出すことができます。
そして、禁止命令に違反してストーカー行為を継続すると、ストーカー行為者に「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」を科すことが、ストーカー規制法に規定されています。
ストーカー強制わいせつ事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
スカートめくりで「卑わいな言動」
今回は、路上で女子高生のスカートをめくり、逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
大阪府在住のAさんは、大阪府内の路上で通学中の女子高生Vにいたずらをしようと考え、背後からVに接近しスカートをめくってしまいました。
畏怖したVによって警察に通報されてしまい、Aさんは逃亡しました。
現場近くで犯人の容貌と似たAさんが発見されたので、警察官が職務質問をしたところ、上記犯行を認めました。
Aさんは警察署へ任意同行後、大阪府迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されてしまいました(フィクションです)。
~成立しうる犯罪を解説~
Aさんには、大阪府迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。
以下、大阪府迷惑行為防止条例を引用します。
大阪府迷惑行為防止条例
第六条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物において、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。
二 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影すること。
三 みだりに、写真機等を使用して透かして見る方法により、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている人の身体又は下着の映像を見、又は撮影すること。
四 前三号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をすること。
Aさんが行った「Vのスカートをめくる行為」は、上記のうち、第6条1項4号の「卑わいな言動」に該当するものと思われます。
「卑わいな言動」とはどのような行為をいうのでしょうか。
最高裁判所平成20年11月10日決定によれば、「卑わいな言動」とは、「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作」を意味します。
女性のスカートをめくる行為は、着用者が人目に触れないようにしたい身体の部分を露わにするものであることからすれば、「卑わいな言動」に該当する可能性が高いと思われます。
したがって、路上でVのスカートをめくったAさんの行為が大阪府迷惑行為防止条例違反の罪を構成する可能性は高いと思われます。
~Aさんは今後どうなるのか?~
逮捕・勾留されると最長23日間もの間、留置場や拘置所の中にいなければなりません。
逮捕後、1~2日程度留置場で過ごし、釈放されるケースもありますが、Aさんは犯行後逃亡を図っています。
一般論としてこのような行為を行うと、逃亡のおそれがあると認められ、身体拘束が長期化する原因になります。
なるべく早い段階で弁護士を依頼し、Aさんに逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがないことを説得的に主張し、身体拘束の長期化を回避する必要があります。
具体的には、
・Aさんが定まった職に就いていること、
・Aさんを監督する身元引受人を用意したこと
・犯行場所から離れた場所(身元引受人宅など)に一時的に引越し、Vと接触する可能性がないこと
を主張するのが効果的でしょう。
~Vと示談をする~
検察官が起訴・不起訴を決定するまでに、V(実際にはその法定代理人)と示談をすることができれば、Aさんにとって有利な事情として考慮されることが期待できます。
ケースの事件が初犯であれば、不起訴処分がなされる見込みもあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が大阪府迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
痴漢と在宅事件
痴漢と在宅事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
兵庫県三田市に住むAさんは、地下鉄の電車内で、前に立っていた女性の尻や太ももなどに自身の股間を当てる痴漢行為をしました。そうしたところ、Aさんは、電車を降りホームに降り立ったところで、犯行の一部終始を見ていた目撃者の男性から声をかけられ現行犯逮捕されてしまいました。その後、Aさんの身柄は兵庫県三田警察署の警察官に引き渡されました。しかし、Aさんに罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがないとしてAさんは釈放されました。痴漢事件は在宅事件として捜査を受けることになりました。Aさんは在宅事件だと国選弁護人は選任できないことを知り、私選弁護人を選任しようかと考えています。そこで、Aさんは、痴漢事件に詳しい弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです)
~痴漢行為とは何か~
痴漢行為の定義について明確な定義はありませんし、痴漢罪という名称の法令もありません。しかし、全国各都道府県では、名称こそ多少異なるものの、条例で痴漢行為を禁じる規定を設けています。たとえば、兵庫県迷惑行為防止条例(以下、条例)3条の2には
第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
と規定されており、卑わいな言動が痴漢行為に当たります。
条例の罰則は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。ただし、常習性が認められる場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされています。
~在宅事件の手続の流れ~
身柄事件とは、犯罪を疑われている被疑者、被告人が捜査機関による拘束(逮捕、勾留))を受けている事件です。
対して、在宅事件とは、犯罪を疑われている被疑者、被告人が捜査機関による拘束(逮捕、勾留)を受けていない事件です。
刑事事件というと、身柄事件をイメージされる方も多いでしょう。
しかし、刑事事件の多くは在宅事件です。
捜査機関が人を拘束するのはあくまでも例外的措置ですから、身柄事件の数自体は刑事事件の全体の割合からすると少ないのです。
しかし、身柄事件の場合も在宅事件の場合も、捜査機関による取調べなどの捜査を受けた後、何らかの刑事処分(起訴、不起訴)を受け、起訴された場合は刑事裁判を受けなければならないという点では全く異なるところはありません。
検挙(逮捕など)→捜査(取調べなど)→刑事処分(起訴、不起訴)→刑事裁判
ただ、身柄事件の場合、身柄拘束があくまで例外的措置であることから法律上時間的制約が設けられています。
つまり、逮捕から刑事処分までは最大で23日しか身柄を拘束することができないとされており、その間、検察が刑事処分を決することができない場合は被疑者を釈放しなければなりません。
対して、在宅事件の場合、こうした時間的制約はありません。
したがって、在宅事件は身柄事件の「後回し」にされることがよくあり、検挙から刑事処分まで数か月、数年を要した、という例も珍しくはありません。
~在宅事件と弁護人~
在宅事件の場合、起訴前は国から弁護士(つまり、国選弁護士)を選任されることはありません。
つまり、
起訴前、在宅事件で弁護士が必要
という場合は、私選弁護士に刑事弁護を依頼する必要があります。
そして、特に、被害者との示談が必要という場合に、私選弁護士を選任する必要性は高いでしょう。
なぜなら、通常、被害者は当事者である加害者と示談交渉することはないからです。
しかし、そのまま示談交渉せずにいると、手続きが進んでしまい、起訴され、刑事場合を受け、結果として何らかの刑罰を受けなけばならなくなるかもしれません。
そうした事態を回避したい場合は、起訴前から私選の弁護士を選任する必要があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、痴漢をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。痴漢の在宅事件で捜査を受けている方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
朝の通勤電車内での痴漢事件
朝の通勤電車内での痴漢事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
~ケース~
京都市東山区に住むAは,朝の通勤電車内で,被害者女性の臀部などを撫でるなどして,京都府迷惑行為防止条例違反の罪で逮捕された。
Aは逮捕された翌日,地方検察庁に身柄を送致され,検察官の取調べを受けた後,裁判所に勾留請求された。
裁判所裁判官は,検察官の勾留請求を認め,Aは,その日から勾留されることになった。
(フィクションです。)
~何故勾留されるのか~
刑事訴訟法第60条
裁判所は,被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で,左の各号の一にあたるときは,これを勾留することができる。
一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
勾留は,捜査のために必要がある場合,最大20日間身柄を拘束される刑事手続です。
「捜査のために必要がある場合」と言っても,単に捜査機関がそう思うから,というだけでは,やりたい放題の身柄拘束が横行することになってしまいます。それがどういう場合のことをいうのかは法律によって定められています。その法律の定めが,上に記載した刑事訴訟法第60条です(なお,刑事訴訟法第60条は,本来は,刑事裁判になった段階での被告人の身柄拘束についての裁判所の権限を定めた条文ですが,刑事訴訟法第207条によって,捜査の段階では,裁判官がこの権限を行使します)。
刑事訴訟法第60条第1号は,被疑者が「定まつた住居を有しないとき」には勾留できると定めています。被疑者が住居不定だと,捜査のために呼び出そうにも連絡が取れないからです。
実際のところ,住居不定を理由とする勾留はあまりありません。本件のAも,自宅から通勤のために電車に乗っていたので,「定まつた住居を有しない」には当てはまりませんでした。
刑事訴訟法第60条第2号は,被疑者が「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」には勾留できると定めています。被疑者に自由に証拠隠滅活動をされてしまうと,犯罪の立証に支障を来すことになるからです。
例えば,犯人が被害者の顔をよく知っていて,痴漢の機会を狙っていたのだとしたら,犯人を身柄拘束しないと被害者への接触を図り,脅したり誘惑したりして犯罪被害についての証言を変えさせる可能性があると言えるでしょう。
また,被害者が学生だったり仕事をしている人だったりすると,朝は毎日同じ時刻の電車に乗る可能性があるので,本件犯行時刻と同じ時間帯の電車内を探して被害者にたどり着く可能性があると言えるでしょう。その他,容貌や髪型が特徴的だったりすると,それを手掛かりに被害者を特定して接触を図る可能性もあります。
罪証隠滅の可能性は,勾留の理由の中で最も頻繁に見るものです。Aの勾留理由の一つも「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある」というものでした。本件の被害者はAとは見ず知らずの他人でしたが,通勤のために朝は毎日同じ電車を使用していたことから,Aとの接触の可能性を否定しきれなかったものと考えられます。
刑事訴訟法第60条第3号は,被疑者が「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき」には勾留できると定めています。被疑者に逃げられると,その後に捜査のために呼び出すこともできず,刑事裁判に出頭させることもできなくなるからです。
逃亡の可能性は,罪証隠滅の可能性と並んでよく見かけます。Aの勾留理由も,罪証隠滅と並んで「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある」でした。京都府迷惑行為防止条例では,痴漢について,6月以下の懲役又は50万円以下の罰金と定めていましたが,懲役刑があり得るということで,Aも,処分を恐れて逃亡する可能性があると見られたようです。
勾留の理由があっても,捜査の必要性と被疑者の被る不利益を比較し,後者の方が重ければ,勾留の必要がないということになり,勾留はできません。
被疑者の被る不利益とは,様々な事情があり得ますが,例えば,受験等の緊急の要件や,仕事上代替不可欠な役割を担っていてそれが果たせないと巨大な損害が生じる,などが考えられます。
Aは勤務先で一定の役職には就いていましたが,代替不可能な不可欠な存在とまでは言えず,勾留の必要がないということにはなりませんでした。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,身柄事件の経験が豊富な弁護士が在籍しております。24時間、無料相談及び初回接見のご依頼を受け付けております。
0120-631-881までお気軽にお電話ください。
痴漢事件と示談について
痴漢事件と示談について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
福岡県北九州市在住の会社員のAさんはある日,通勤中の電車内においてVさんの衣服の上から臀部を触る痴漢行為をしてしまった。
Aさんは停車駅で目撃していた乗客に駅員室まで連れて行かれ,事情を聞いた駅員が福岡県小倉北警察署に通報した。
駆けつけた小倉北警察署の警察官によりAさんは逮捕され,警察署で取り調べを受けた。
その後,Aさんは勾留されることなく釈放された。
Aさんは出来心でVさんに痴漢をしてしまい,何とかして前科を付けない方法はないかと思い,示談等ができないか弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談を利用することにした。
~痴漢~
痴漢は刑法ではなく各都道府県の定めるいわゆる迷惑行為防止条例に定められています。
都道府県によって若干条文は異なりますが,例えば,福岡県迷惑行為防止条例では痴漢は以下のように定められています。
第六条 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる行為をしてはならない。
一 他人の身体に直接触れ、又は衣服の上から触れること。
条文で電車は公共の乗物に該当すると定められていますので(福岡県の場合は第2条),電車内で他人の身体に触れることは痴漢行為となりえます。
もっとも,「正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法」である必要がありますので,満員である場合で,電車の揺れなどで偶然触れてしまったような場合には痴漢とはならないといえます。
罰則は各都道府県によって異なりますが,罰金の上限額が50万円もしくは100万円,懲役刑の上限が6ヵ月以下もしくは1年以下となっています(福岡県の場合は50万円以下の罰金もしくは6ヵ月以下の懲役)。
~痴漢と示談~
痴漢に限らず,被害者のいる迷惑行為防止条例違反事件(盗撮や嫌がらせ行為など)の場合には,被害者の方と示談が成立すれば不起訴となることが多いです。
これは,被害者に代わって国家が刑罰を与えることによって制裁を加えているという考えによるものです。
示談が成立した場合,被害者の方は加害者の事を許すという宥恕文言を入れて頂くことが多いです。
その場合,被害者が処罰を望んでおらず,かつ示談金の支払いという経済的制裁を受けていると考えられますので検察官はあえて国家が刑罰を科す必要はないと考えるようです。
ただし,示談交渉をするには被害者の方と連絡等を取る必要があります。
刑事事件の被害者は多くの場合,加害者に連絡先などを教えるということはありませんので,事件を起こしてしまった方がご自身で示談交渉をするのは困難です。
また,適切でない示談をしてしまう可能性もあります。
弁護士をご依頼いただければ,警察や検察官から被害者の方の同意の下,連絡先を取り次いで頂ける場合も多いです。
また,被害者の方も弁護士が相手であれば話を聞いてみようと思われることも多いようです。
連絡先を取り次いで頂けた場合,示談が成立し宥恕条項を頂けることが多いです。
示談が成立したら,示談書を検察官に送ります。
検察官は示談が成立していること等諸般の事情を踏まえて事件を不起訴とするかどうかを判断します。
前科がない場合などには示談が成立していれば不起訴となる可能性は非常に高くなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
痴漢事件で示談をし,不起訴となった事件も数多く手掛けて参りました。
痴漢事件を起こしてしまい,前科を付けたくない,不起訴処分にしてほしいとお考えの方は0120‐631‐881までご相談下さい。
事務所での無料法律相談・警察署等での初回接見サービスのご予約を24時間年中無休で受け付けています。
公然わいせつ痴漢事件で罰金刑回避
公然わいせつ罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
神奈川県藤沢市在住のAさん(20代男性)は、駅前の商店街の路地裏で、通行人の被害者女性に対して、Aさんの下半身を露出させ、自慰行為を見せつけたとして、通報を受けた神奈川県藤沢警察署の警察官に逮捕された。
Aさん逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、刑事事件に強い弁護士に相談して、まずは弁護士を藤沢警察署のAさんのもとに派遣(弁護士接見)し、Aさんの前科回避のために、今後の刑事対応について、弁護士からの接見報告を受けることにした。
Aさんは「被害者女性に対する謝罪をしたい」と考えており、弁護士がAさんの両親から依頼を受けて、被害者との示談交渉に動くこととなった。
(事実を基にしたフィクションです)
~公然わいせつ罪とは~
人前で裸になったり、恥部を見せつけたり、自慰行為をした者は、刑法174条に規定される「公然わいせつ罪」に該当して、刑事処罰を受ける可能性があります。
・刑法 174条(公然わいせつ)
「公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」
公然わいせつ罪の「公然と」とは、「不特定または多数の人が見ることができる状態において」わいせつな行為をすることをいいます。
他方で、「特定の少数者」に対するわいせつ行為については、公然わいせつ罪は成立せず、「強制わいせつ罪」や「迷惑防止条例違反」や「ストーカー規制法違反」の容疑をかけられる可能性が考えられます。
また、公然わいせつ罪の「わいせつ」とは、「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」をいいます。
公然わいせつ罪の法定刑は、「6月以下の懲役、30万円以下の罰金、拘留、科料」のうち、いずれかの刑事処罰になります。
公然わいせつ罪は、社会的法益に対する罪に分類され、健全な性秩序・性道徳や社会風俗を守るために作られた刑罰です。
わいせつ行為を、不特定または多数の人が見ることができる状況があれば、それだけで社会的法益を害するものとして、被害者が特定されていない事例であっても、罰せられる可能性があります。
~事件を起訴されることなく解決したい場合には~
事件が起訴されて、懲役刑や執行猶予付きの判決が出されたり、あるいは略式手続で罰金刑というような検察官の判断がなされたならば、これは前科となります。
では、どうすれば前科が付くことを回避できるでしょうか。
公然わいせつ事件で被害者が特定されている事例の場合には、検察官が刑事処分の起訴/不起訴の判断をするにあたって、「被害者側の被害感情や、処罰を望む意思の有無」が大きな比重を占めることになるため、事件早期の段階で、起訴/不起訴が判断される前に被害者との示談を成立させることが、重要となります。
ただし、公然わいせつ事件の示談交渉においては、被害者が加害者に恐怖心を抱いていることが通常であり、加害者と被害者の当事者同士の示談交渉は、捜査機関によって認められないケースが大半です。
そこで、弁護士を仲介させることで、捜査機関を通じて被害者側に示談交渉を打診し、弁護士だけが被害者側の連絡先を教えてもらう形で、弁護士の長年の経験にもとづいた適切な時期に的確な方法で示談交渉を進めることが、重要となります。
実際に、刑事事件に強い弁護士による的確で迅速な示談交渉により、被害者との示談が成立し、不起訴処分を獲得した例も多く存在します。
神奈川県藤沢市の公然わいせつ痴漢事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
痴漢事件における弁護活動を解説
今回は、埼玉県内の電車内で痴漢事件を起こし、逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、さいたま市内の電車内において、目の前の女性Vの臀部をスカート越しに触れてしまいました。
Aさんの犯行を目撃したWにより、AさんとVは次の駅で降ろされ、Aさんは駅員に引き渡されました。
まもなく駆け付けた埼玉県鉄道警察隊の警察官により、Aさんは、埼玉県迷惑行為防止条例違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~Aさんに成立する犯罪について解説~
ケースの事例を読むと、典型的な痴漢事件であることがわかります。
このような行為は、犯行を行った都道府県の制定する迷惑行為防止条例が禁止しています。
埼玉県で痴漢を行った場合は、「埼玉県迷惑行為防止条例」に違反することになります。
埼玉迷惑行為防止条例第2条4項は、「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、・・・(中略)・・・人を著しく羞しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。」と痴漢行為を禁止しています。
Aさんは、公共の乗物である電車内において、Vの臀部をスカート越しに触れており、当該行為をVが知ったのであれば、Vを著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせることになると思われます。
上記の事実関係によれば、Aさんに埼玉県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性は極めて高いでしょう。
上記行為に対する法定刑は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。
~Aさんに必要な弁護活動~
刑事事件においては、「早期に弁護士と相談することが重要である」と言われています。
その理由はどのようなものでしょうか。
まず、逮捕後、留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内に検察へ身柄が送致されます。
送致後、検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、Aさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するか、あるいは起訴するかを決めなければなりません。
勾留請求がなされた場合、裁判官が勾留の可否を審査します。
勾留されてしまうと、10日間、留置場や拘置所に入らなければなりません。
やむを得ない事由が認められ、勾留が延長されると、さらに最長10日間、身体拘束期間が延びることになります。
反対に、勾留が付かなければ、長期間身体拘束されずに外に出ることができます。
早期に弁護人を選任すれば、勾留を阻止する活動を行ってもらうことができるようになります。
身体拘束期間が3日程度ですめば、今まで通り会社などに出勤することができるかもしれません。
身体拘束期間が長引けば長引くほど、会社をクビになる可能性が高まりますし、Aさんの社会復帰という面においても弊害が生じます。
ただし、勾留をさせない活動は、私選弁護人でなければできません。
他にAさんの弁護活動を行い得るものとして、①国選弁護人、②当番弁護士があります。
国選弁護人は、Aさんが資力要件を満たしており、かつ、勾留決定が出た後に初めて付けられるため、勾留を防ぐ活動を行うことは出来ません。
また、当番弁護士は、逮捕された場合に1回だけ無料で接見にきてくれる弁護士ですが、身柄解放活動などの弁護活動を行うことはできません(私選弁護人として選任すれば別です)。
私選弁護人は、逮捕前であっても選任できるので、より早い段階からAさんの弁護活動を開始することができます。
もちろん、私選弁護人は「私選」というだけあり、弁護士費用は被疑者サイドで負担しなければなりません。
自身の経済的事情を考慮しながら、どの種類の弁護士が適切かを検討する必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が痴漢事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【痴漢】取調べで認められている権利
痴漢での取調べと権利について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
~事例~
千葉県野田市に住む会社員のAさん(38歳)は、通勤電車内で痴漢をしたとして、千葉県野田警察署の警察官に警察へ出頭するよう求められました。今後のことが不安になったAさんは、弁護士に取調べ時の対応などについて尋ねました。
(フィクションです。)
~痴漢~
「痴漢」は、各都道府県の迷惑行為防止条例(各都道府県によって名称は異なる、以下「条例」といいます)違反に問われることが多いかと思います。
罰則は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」、あるいは常習性が認められる場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされていることが多いかと思います。
初犯の場合、被害者と示談が成立すれば不起訴となる可能性が高いでしょう。示談が成立しない場合は略式起訴されることが多く、その場合の刑罰は罰金刑です。罰金額は20万円から30万円が相場です(ただし、繰り返しますが初犯の場合です)。
また、痴漢の態様によっては刑法の強制わいせつ罪に問われることもあります。
場所を問わず(つまり、電車内か否かを問わず)、同罪に問われる可能性があります。
ここで、条例と強制わいせつ罪がどう区別して適用されるかですが、性的侵害度の高い場合はより強制わいせつ罪が適用されると考えましょう。
つまり、スカート内に手を入れ臀部を揉む程度であれば条例違反の可能性が高いですが、それより一歩進んで下着の中に手を入れ臀部を揉む行為、陰部を揉む行為は強制わいせつ罪に問われる可能性もあります。
強制わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」です。
初犯の場合、被害者と示談が成立すれば不起訴となる可能性が高いでしょう。示談が成立しない場合は起訴され有罪となれば、強制わいせつ罪は罰金刑がないですから懲役刑を宣告されます。懲役は1年から2年が相場です。
~メインは取調べ~
痴漢事件において、犯人(被疑者)が警察署で受けることとすれば、警察官の取調べがメインとなります。取調べと聴くと、みなさんはどんなことを想像されるでしょうか?まず、取調べ室はプライバシーを確保する観点からも、警察官の事務室とは別の箇所に設けられ、もちろん、犯人一人につき一個の部屋が設けられています。いわゆる密室と呼ばれる部屋です。そして、その密室に、少なくとも話を聴く警察官が一人、メモを取る一人が入ります。つまり、「犯人」対「警察官2人」となるわけです。また、ここがミソなのですが、犯人は取調べ室の扉とは反対側の席に座るよう誘導されます。これは、一つには、以下でご説明するとおり取調べ室からの退去権が認められているのですが、扉とは反対側に座らせることによって退去権行使への心理的抑止を図っているとも受け取れそうです。
~取調べで認められている権利~
取調べでは以下の権利が認められています。
=黙秘権=
取調官は、取調べを始めるにあたって、被疑者に対し、自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げる必要があります。あなたは、取調中は終始沈黙(黙秘)することができます。
=増減変更申立権=
供述調書が作成されると、取調官から内容に間違いがないかどうか問われます。ここで自分の意図したこと(話したこと)と異なる内容が書かれてあった場合は、どんな些細なことでも構いませんので、遠慮なく、内容の変更、あるいは内容の増減を申し立ててください。
=署名押印拒否権=
供述調書の内容の確認が終わると、最後に、供述調書への署名・押印を求められます。ここで、署名・押印してしまうと、その供述調書に書かれた内容=あなたが話した内容として裁判で証拠として扱われることになります。取調官は、あなたに署名・押印させようと説得を試みますが、署名・押印の拒否は、あくまであなたの判断で行うことができます。
=出頭拒否権、退去権=
在宅事件の場合、被疑者は、捜査機関からの出頭要請を拒否することができます。また、取調べ後は、いつでも取調べ室から退去することができます。ただし、身柄を拘束されている場合、実務上、退去権は認められていません。
~おわりに~
以上のように、取調べには法的権利が認められているものの、いざ行使となると「本当に行使していいのか?」「警察官が怖くて行使できない」という方も多い方と思われます。そういった場合は、一度、弁護士へご相談ください。弁護士であれば、より具体的なアドバイスをさせていただくことが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件を起こしお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
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