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痴漢事件で冤罪

2019-12-10

痴漢事件で冤罪

痴漢事件冤罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ ケース ~

東京都西東京市に住むAさんは、路上を通行していた女子中学生Vさん(15歳)の背後からいきなりVさんの胸を両手で鷲掴みしたとして、警視庁田無警察署の警察官により強制わいせつ罪の疑いで逮捕されまました。Aさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
Aさんは、接見に来た弁護士に「冤罪です。転びそうになって慌てて手を出したら女性に触れてしまったんです」と話しました。
(フィクションです。)

~ 痴漢はどんな罪に当たる? ~

「痴漢罪」という罪名はございません。ではいったいどんな法令に違反し、どんな罪に当たり、どんな罰則が設けられているのでしょうか?

まずは、東京都迷惑行為防止条例(以下、条例といいます。)に当たるおそれがあります。
条例5条1項1号には次の規定が設けられています。

第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

なお、本罪は故意犯ですから、本罪が成立するには、犯罪の故意、つまり

触れてやろうという意図

が必要です。ですから、満員電車内などでたまたま(偶然に)他人の身体に触れたという状況が認められる場合には、故意がなく、本罪は成立しません。

罰則は、通常の場合、

6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金(条例8条1項2号)

ですが、常習性が認められる場合は

1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(条例8条8項)

です。

また、痴漢行為の態様によっては、上記条例違反の罪ではなく強制わいせつ罪に当たるおそれが出てきます。
強制わいせつ罪は刑法176条に規定されています。

刑法176条
 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

被害女性の背後から近づき、いきなり女性の胸を両手で鷲掴みにする、という行為は、強制わいせつ罪に当たると考えられます。
ここで、一見すると「暴行」行為が行われていませんが、強制わいせつ罪の場合、「暴行それ自体がわいせつな行為であってもよい」と解されています。
このことから、「暴行」兼わいせつな行為を行った時点で、ただちに強制わいせつ罪が既遂になると考えられていますから注意が必要です。

更に、痴漢行為の機会に、被害者に怪我をさせた場合は、強制わいせつ致傷罪が適用されるおそれが出てきます。

刑法181条
 第176条(略)の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は6年以上の懲役に処する。

~ 痴漢では冤罪が生じやすい ~

痴漢事件では、冤罪が生じやすいと言われています。

それは、一つには、

痴漢事件では客観(物的)証拠が乏しい

という点が挙げられます。
客観証拠とは、その名のとおり、主観(先入観、偏見など)が排除された証拠、つまり、純粋に事実のみを映し出した証拠のことをいいます。
たとえば、防犯ビデオカメラ映像などが客観証拠に当たります。しかし、痴漢事件ではその客観証拠が乏しいのです。

そうすると、痴漢を立証しなばならない捜査機関とすれば、どうしても被害者、目撃者の供述などの主観(供述)証拠に頼らざるをえなくなるのです。
しかし、主観証拠は、思い込み、先入観、捜査官による誤導や誘導で汚染される場合もあります。また、時が経てば経つほど記憶は薄れ、事件時の記憶は曖昧になってくるものです。
痴漢事件では、そうした危険な主観証拠に頼らざるを得ないことから、冤罪が生まれやすいと言われています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、痴漢事件をはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所です。ご家族、ご友人が痴漢事件逮捕されお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

痴漢事件と報道回避

2019-12-05

痴漢事件と報道回避

今回は、痴漢事件を知られずに解決する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、神奈川県川崎市内を走る電車内において、女性Vの後ろ姿に劣情を催し、Vの臀部をスカート越しに触れてしまいました。
Aさんの隣にいたサラリーマンWに上記行為を見られてしまい、WはAさんの腕を掴んで「今痴漢してただろう。警察行くぞ」と言いました。
Aさんは神奈川県鉄道警察隊の隊員に引き渡されました。
Aさんは、痴漢を行ってしまったことを十分反省していますが、できれば職場に事件が知られないように解決できれば、と考えています。(フィクションです)

~神奈川県内の電車内で痴漢をするとどうなるか?~

神奈川県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。

神奈川県迷惑行為防止条例第3条1項1号は、
①公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、
②人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、
③衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接に人の身体に触れること
を禁止しています。

上記規定に違反し、有罪判決が確定すると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(神奈川県迷惑行為防止条例第15条1項)。

(ケースの場合はどうか?)
電車内は、公共の乗物に該当します。
公共の乗物である電車に乗っているVの臀部をスカート越しに触れる行為は、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法と評価できると考えられます。
したがって、Aさんに神奈川県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性は高いと思われます。

~警察官じゃなくても逮捕は可能?~

Aさんの腕を掴んで身柄を確保したのは、警察官ではないWです。
このような行為は、暴行罪(刑法第208条)または逮捕罪(刑法第220条)に該当しうるものです。
警察官ではないのに、こうした犯罪に当たる可能性のある行為に及んでも問題ないのでしょうか。

刑事訴訟法上、現行犯人は、誰でも、令状なくこれを逮捕することができます(刑事訴訟法第213条)。
WがAの腕を掴んだ行為も、現行犯逮捕という正当行為(刑法第35条)に当たるとして、罪に問われることはないと考えられます(抵抗していないAの顔面を殴打して制圧するなど、過大な実力行使を行う場合は罪に問われる可能性があります)。

検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければなりません(刑事訴訟法第214条)
Wはすぐに鉄道警察隊の隊員にAさんを引き渡しているので問題ないと思われますが、警察官に引き渡さず、トイレなどに長時間閉じ込めて詰問するなどする場合は、監禁罪に問われる可能性があります。

~事件について知られたくない~

Aさんが事件を起こしたことを知られないように解決を目指したい、というのはもっともなことです。
事件がテレビや新聞などで報道され、実名が社会に知られてしまうと、勤務先にもAさんの逮捕が発覚してしまいます。
また、再就職の妨げにもなりますし、インターネットなどでは、面白おかしく事件が取り扱われてしまうこともあります。

報道されてしまうことが不安な場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。
全ての痴漢事件が報道されるとは限りません。
絶対に報道されないようにすませられる、というわけではありませんが、弁護士に依頼して、捜査機関に事件を公表しないよう働きかけてもらうなど、報道を回避するためにできることはあります。
事件について知られずに事件が解決すれば、社会復帰もスムーズです。

また、弁護士も守秘義務を負っており(刑法第134条1項、弁護士法第23条)、事件について知られたくない方へ秘密を開示することは絶対にありません。
安心して、事件について相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、痴漢事件の解決実績も豊富です。
ご家族が痴漢事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご予約はこちら

痴漢事件で誤認逮捕

2019-11-30

痴漢事件で誤認逮捕

痴漢事件誤認逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ ケース ~

埼玉県羽生市に住むAさんは、満員電車内で、突然、Vさんから「この人痴漢です」と言われ腕を捕まれました。
Aさんは全く身に覚えがありませんでしたが連行された駅室で駅員などから追及されました。また、その後、Aさんは通報を受け駆け付けた埼玉県羽生警察署の警察官にも「痴漢をやってない。」と否認しましたが、「被害者があなたから触られたと言っている。」などと言われ、埼玉県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されてしまいました。
逮捕の通知を受けたAさんの母親は、痴漢事件に精通している弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)

~ 痴漢はどんな罪に当たるの?罰則は? ~

痴漢行為は、通常、各都道府県が定める迷惑防止条例(名称は、各都道府県により異なる)により規制されています。

たとえば、埼玉県迷惑行為防止条例5条4項には次の規定が設けられています。

 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。

これが痴漢規制の規定です。

罰則は、通常は

6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(条例12条2項1号)

ですが、常習性が認められる場合は

1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(条例12条4項)

です。

~ 痴漢事件では被害者の供述が重要視される ~

痴漢事件では被害者の供述が重要視されます。
その理由の一つに、

痴漢事件では客観(物的)証拠が乏しい

ということが挙げられます。
客観証拠とは、その名のとおり、主観(先入観、偏見など)が排除された証拠、つまり、純粋に事実のみを映し出した証拠のことをいいます。たとえば、防犯ビデオカメラ映像などがその代表格です。
しかし、痴漢行為の場所として多い電車内には防犯ビデオカメラが設置されているわけではありません。また、被害者や目撃者が痴漢行為を予想してスマートフォンなどのカメラ録画機能を作動しているわけでもありません。これからすると、痴漢事件は客観証拠に乏しい事件といえます。
そうすると、痴漢行為を立証するためには、捜査機関はどうしても被害者、目撃者の供述などの主観(供述)証拠に頼らざるをえません。

しかし、主観証拠は、先入観、偏見、誤導・誘導、あるいはときの経過によって虚偽が含まれている可能性があります。そして、虚偽供述が含まれているにも関わらず、主観証拠に基づいて事実認定すると冤罪を生み出すおそれもあるのです。痴漢事件冤罪が比較的多いのはこのためです。

したがって、被害者供述は、

・他の客観的証拠と整合するのか、矛盾するのか
・供述に至る経緯は合理的か、取調べ官による誘導や威迫はされなかったか
・供述内容は一貫しているか、合理性を疑われる部分はないのか、変遷しているか、また、変遷は合理的に説明できるのか
・虚偽供述の動機のあるか

などの観点から虚偽供述が含まれていないかどうか慎重に見極める必要があります。

~ もし、誤認逮捕されたら? ~

誤認逮捕は、簡単にいえば、白であることが明らかである人を、犯罪の関わった疑いがあるとして逮捕すること、をいいます。
本来逮捕される理由はありませんから、誤認逮捕された場合は直ちに釈放に向けて動き出す必要があります。
誤認逮捕でお困りの方は、弊所までご連絡ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、痴漢事件をはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所です。ご家族、ご友人が痴漢事件で逮捕されお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

痴漢事件における弁護活動

2019-11-20

痴漢事件における弁護活動

今回は、痴漢事件における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aさんは、兵庫県明石市内を走行する特急電車に乗車中、隣で睡眠していた女性Vと接吻してしまいました。
Vは熟睡していたため気付きませんでしたが、検札のために隣車両からやってきた車掌に見つかってしまい、警察に通報されてしまいました。
Aさんは次の停車駅で降ろされ、準強制わいせつ罪の疑いで鉄道警察隊に引き渡されました。(フィクションです)

~ケースのような痴漢はどのような犯罪が成立するか?~

電車内で他人に卑わいな行為を行っている、という点で、「痴漢」の一種と考える方もおられるかと思います。
痴漢」というのは性的な嫌がらせを意味する言葉なので、「痴漢」の一種という点では間違いは無いと思われます。
しかし、法令上、「痴漢罪」という犯罪はありません。
一般に「痴漢」と呼ばれる行為を行うと、各都道府県の制定する迷惑行為防止条例違反の罪、または、強制わいせつ罪などの嫌疑をかけられることになります。

ケースの場合は、準強制わいせつ罪に問われる可能性が高いと思われます。
準強制わいせつ罪は、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為を」する犯罪です(刑法第178条1項)。
法定刑は6月以上10年以下の懲役となっております。

準強制わいせつ罪における「心神喪失」とは、意識喪失、高度の精神障害など精神的な障害によって性的行為につき正常な判断ができない状態にあることをいいます。
Vは熟睡していましたが、この睡眠状態は、本条の「心神喪失」に該当します。

「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由で、物理的・心理的に抵抗することが不可能または著しく困難な状態にあることをいいます。

「わいせつな行為」の典型例として、
・陰部に手を触れる、陰部を弄ぶこと
・自己の陰部を押し当てること
・女性の乳房を弄ぶこと
が挙げられますが、「接吻」も「わいせつな行為」に該当するとした裁判例が存在します(東京高等裁判所昭和32年1月22日判決)。

ケースのAさんは、Vさんの睡眠中、性的行為につき正常な判断ができない状態にあることに乗じて同女に接吻していると言えます。
そうすると、人の心神喪失に乗じ、わいせつな行為をしたものと評価することができ、準強制わいせつ罪に当たることが見込まれるでしょう。

~逮捕後、Aさんはどうなるか?~

逮捕された後、取調べを受け、留置されずに釈放される場合もありますが、準強制わいせつ罪が比較的重い犯罪であることを考慮すると、逮捕され、さらに勾留される可能性が低くないと思われます。
逮捕勾留されると、最長23日間も身体拘束を受けることになります。

23日間も会社や学校を無断欠勤・無断欠席すると、Aさんの社会生活にも悪影響(会社を解雇される、学校で進級できなくなるなど)が生じます。
そのため、できるだけ早く弁護士を頼み、一刻も早く留置場の外に出られるよう活動しなければなりません。

~ケースの事件で考えられる弁護活動~

(勾留を防ぐ活動、勾留を争う活動)

勾留の阻止に成功すれば、そのまま釈放されるので、逮捕から勾留までの期間である3日程度で外に出ることができます。
また、勾留されてしまった場合には、勾留決定を争う(準抗告)、勾留の取消を請求することも考えられます。

(被害者との示談)

被害者と示談を成立させることも重要です。
示談とは、通常、被害者に金銭を支払うことによって、被害者に生じさせた損害を賠償し、謝罪することをいいます。
示談が成立すれば、当事者間で事件が解決したものとして、釈放される可能性が期待できます。

もっとも、Aさんは留置場の中にいるので、示談交渉弁護士に任せることになります。
弁護士が警察や検察官に被害者情報を提供するよう要請し、応じてもらえれば、示談交渉に着手することができます。

示談が成立すれば、検察官に、Aさんにとって有利な事情として考慮してもらえることが期待できます。
検察官が不起訴処分を行えば、Aさんは裁判にかけられずに済みます。
この場合は、有罪判決を受けることもないので、前科を付けることなく事件が解決したことになります。

弁護士のアドバイスを受けながら、よりAさんにとって有利な事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が準強制わいせつ事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談はこちら

痴漢冤罪で逮捕

2019-11-15

痴漢冤罪で逮捕

痴漢冤罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aさんは会社に出勤するために、京都府城陽市内を走行する電車に乗っていました。
電車を降りた際、急に女性に腕を掴まれ、「痴漢しましたよね。警察に行きましょう」と言われ、驚きました。
警察には正直に話せばわかってもらえると思い、そのまま女性に応じて近くの交番に行きました。
交番で話を聞かれたあと、パトカーが到着し、Aさんは京都府城陽警察署に連れて行かれることになりました。
取調べが終わったあと、「今日は警察署に泊まってもらう」と言われ、痴漢の疑いで逮捕されてしまいました。
Aさんはいつ外に出ることができるのか不安に感じています。(フィクションです)

~痴漢冤罪について~

数年前から、身に覚えのない痴漢の疑いをかけられ、冤罪であるにもかかわらず警察に逮捕されてしまうことが社会問題となっています。
満員電車のように、人が多数密集している環境は、被害者の勘違いなどから、痴漢冤罪が発生しやすい環境ということができるでしょう。
勘違いであっても、被害者の被害申告や被疑者の供述などにより、警察に検挙され、場合によっては、逮捕されてしまうこともあります。

痴漢の疑いをかけられると、通常、各都道府県の制定する迷惑行為防止条例違反の罪か、強制わいせつ罪の成否が検討されます。
たとえば、衣服の上から被害者の臀部を触った場合は、通常、前者の迷惑行為防止条例違反の罪の疑いをかけられることが多いようです。
それとは異なり、痴漢の態様が、陰部を直接弄んだ、というものになると、被害者に強いてわいせつな行為をしたものと評価され、強制わいせつ罪の疑いで捜査されることが考えられます。

強制わいせつ罪の方が重い犯罪ということができますが、迷惑行為防止条例違反の罪も、犯罪であることには変わりはなく、逮捕勾留されうるという点では同じです。

~冤罪事件にどう対処していくか?~

痴漢を行っていないのに逮捕されることは、当然あってはなりません。
もし長期間逮捕勾留による身体拘束が続くと、Aさんの社会復帰にも悪影響が生じます。
無断欠勤を続けたとして、会社を解雇されることも十分考えられます。
そのため、Aさんは一刻も早く留置場の外へ出ることを目指すべきです。

~まずは弁護士を呼ぶ~

まずは、弁護士接見を受け、冤罪事件の取調べにはどう対応していけばよいかアドバイスを受けましょう。
さらに、弁護士を弁護人として選任し、身柄解放活動に着手してもらうことをおすすめします。
具体的には、警察に対しては、痴漢の嫌疑が無い以上、留置を続けるべきではない旨を主張し、釈放するよう働きかけることが考えられます。
検察や裁判所に対しては、相手方に接触する可能性はないなどと主張して勾留請求勾留決定をしないよう働きかけることが考えられます。

近年は、痴漢事件について、勾留請求が却下されるケースも少なからず見られるようになっています。勾留請求が却下されて釈放されれば、今まで通りに会社に出勤することができます。
勾留がつくことなく外に出ることができれば、Aさんの社会生活に及ぼす悪影響も最小限で済むでしょう。

~不起訴処分を目指す~

身柄解放を実現できたからといって、事件が終了したわけではありません。
最終的に検察官がAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを判断します。
当然ですが、冤罪事件について起訴され、刑を受けることがあってはなりません。
したがって、検察官に対しては、不起訴処分を行うよう強く求めていくことになります。

刑事事件において身柄解放が重要なのは確かですが、不起訴処分を得て初めて事件が解決したということができます。
弁護士不起訴などより有利な結末を実現できるよう尽力しますので、痴漢冤罪だと感じたらぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、痴漢事件の解決実績も豊富です。
ご家族の痴漢冤罪事件でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所無料法律相談をご利用ください。

痴漢事件の取調べ

2019-11-10

痴漢と取調べ

痴漢事件取調べについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ ケース ~

福岡県飯塚市に住むAさんは、通勤途中の満員電車内で、突然、Vさんから「この人痴漢です」と言われ腕を捕まれました。Aさんは、痴漢をした覚えは一切ありませんでした。しかし、AさんはVさんから協力を求められた周囲の男性数名に囲まれ、次の停車駅で降ろされ、数分後に駆け付けた福岡県飯塚警察署の警察官に事情を聴かれた後、福岡県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されてしまいました。Aさんは連行された飯塚警察署で警察官による弁解録取の手続きを受けました。Aさんは、警察官に「痴漢行為はしていない。」「被害者の勘違い、見間違えだ。」などと主張しましたが聞き入れてもらえず、警察官から「否認すると身柄拘束が続くよ。」「被害者と示談した方が賢明だよ。」などと言われました。Aさんは弁解録取後に接見に来た弁護士に、改めて痴漢行為はしていない旨を伝えるとともに、弁護士から取調べにおけるアドバイスを受けました。
(フィクションです)

~ 痴漢はどんな罪に当たるの?罰則は? ~

いわゆる痴漢と言われる行為は、各都道府県が定めている迷惑行為防止条例(以下、条例)の「卑わいな行為の禁止」の罪に当たるかと思います。条例では、「公共の場所」あるいは「公共の乗物」における「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさえるような方法」による「他人の身体に触れ、又は衣服の上から触れる」行為を禁止しており、これが一般的にいわれる痴漢行為の規定です。。罰則も、通常、「6月以下の懲役又は100万円以下の罰金」、常習の場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされていることが多いかと思います。また、行為態様によっては、刑法の強制わいせつ罪(刑法176条、6月以上10年以下の懲役)に当たる可能性もあります。この罪の場合は「公共の場所」、「公共の乗物」という場所の要件は必要とされません。

~ 弁解録取とは? ~

弁解録取とは、逮捕された方から事件に関する弁解(話)を聴く手続きをいいます。警察官、検察官が行います。
警察官、検察官が引き続き逮捕された方の身柄を拘束する必要があるのかどうか判断するために必要なことから、かかる手続きが取られるのです。

弁解録取は法的には「取調べ」ではありません。しかし、弁解録取を受ける方にとっては取調べと変わりなく感じることでしょう。また、弁解録取時に話した内容は、逮捕された方にとって有利、不利を問わずのちのち証拠として使われる危険があります。したがって、弁解録取時から、取調べのために認められた以下の法的権利は躊躇なく行使する必要があります。

= 黙秘権=
   
  取調官は、取調べを始めるにあたって、被疑者に対し、自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げる必要があります。あなたは、取調べ中は終始沈黙(黙秘)することができます。
 
= 増減変更申立権 =

  供述調書が作成されると、取調官から内容に間違いがないかどうか問われます。ここで自分の意図したこと(話したこと)と異なる内容が書かれてあった場合は、どんな些細なことでも構いませんので、遠慮なく、内容の変更、あるいは内容の増減を申し立ててください。
 
= 署名押印拒否権 =

  供述調書の内容の確認が終わると、最後に、供述調書への署名・押印を求められます。ここで、署名・押印してしまうと、その供述調書に書かれた内容=あなたが話した内容として裁判で証拠として扱われることになります。取調官は、あなたに署名・押印させようと説得を試みますが、署名・押印の拒否は、あくまであなたの判断で行うことができます。
 
= 出頭拒否権、退去権 =

  在宅事件の場合、被疑者は、捜査機関からの出頭要請を拒否することができます。また、取調べ後は、いつでも取調べ室から退去することができます。ただし、身柄を拘束されている場合、実務上、退去権は認められていません。

~ 警察官の誘いに動じないように! ~

痴漢事件においては、被害者の話の内容、逮捕された方の話の内容が特に重要視されます。
しかし、取調べに当たる警察官は、特に本件のような場合、「被害者が勇気をもって申し出たのだから被害者の言っていることが本当だろう。」という考えを持つ傾向があります。また、自白はいまだに証拠価値が高い、と考えられる傾向にありますから、警察官はあの手この手を使ってあなたに罪を認めさせようとします。
警察署などの取調室内において、警察官から一方的に取調べを受ける場合、痴漢行為をしていないと主張し続けることは簡単ではありませんし、本件の警察官が言うことも、半分は真実で、そういわれた方にとっては、「そうであるならばいっそのこと認めてしまおう。」という気持ちになることも無理はありません。
しかし、いったん罪を認めてしまうと、あとでそのことを覆すことは大きな手間と時間がかかります。本当に痴漢を行っていないならば、その主張、態度を貫くしかありません。

弁護士であれば、そうした主張、態度を貫くあなたの味方となれます。お困りの方は弁護士までご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、痴漢事件をはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所です。ご家族、ご友人が痴漢事件で逮捕されお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

宮城県仙台市の痴漢事件で逮捕

2019-11-05

宮城県仙台市の痴漢事件で逮捕

宮城県仙台市痴漢事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

会社員のAさんは、宮城県仙台市を走行する電車内において、目の前にいた女性Vの臀部を着衣越しに触ったところ、付近の人物に犯行を目撃され、警察に通報されてしまいました。
次の停車駅でAさんは電車を下ろされ、痴漢として宮城県迷惑防止条例違反の疑いで鉄道警察隊に現行犯逮捕されてしまいました。
現在、宮城県仙台中央警察署に引致され、取調べを受けています。(フィクションです)

~宮城県迷惑行為防止条例を解説~

以下に、宮城県迷惑行為防止条例第3条の2第1号を引用します。

第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
一 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。

「公共の場所」とは、「道路、公園、広場、駅、興行場、飲食店その他の公共の場所」をいい、「公共の乗物」とは、「汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物」をいいます(宮城県迷惑行為防止条例第3条1項)。
ケースの電車内は明らかに「公共の乗物」に該当し、電車内でVの臀部を衣服の上から触ったAさんに宮城県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性は高いと思われます。

~Aさんは逮捕後どうなるか?~

警察署で取調べを受けた後、留置の必要があると認められるときは、逮捕時から48時間以内に検察庁へ身柄が送致されます。
検察庁では、検察官から取調べを受けることになります。
検察官は取調べを行ったのち、逮捕時から72時間以内、Aさんの身柄を受け取ったときから24時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するか、あるいは起訴するかを決めます。
勾留の請求があった場合、裁判官が勾留の要件(逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれの有無など)について審査を行い、勾留の要件を満たしていると判断すれば、勾留決定を出します。
勾留の期間は原則として10日間ですが、やむを得ない事由があると認められるときは、さらに最長10日間の限度で、勾留延長を行うことができます。
そして、検察官は、勾留の満期日までに、Aさんを起訴するか、不起訴にするか、あるいは処分を保留して釈放するかを決めることになります。

~身柄解放活動を弁護士に依頼~

以上によれば、Aさんは逮捕後、最長23日間身柄を拘束される可能性がある、ということになります。
勤務先や学校を23日間も無断欠勤すると、解雇される可能性が高いと思われます。
そのためにも、身柄解放活動を弁護士に依頼し、早期に社会に復帰できるよう活動してもらうことをおすすめします。
逮捕された後も、勾留されなければそのまま会社に出勤できるので、勤務先からの評価に対する悪影響は最小限度で済みます。
勾留される前に弁護士に依頼すれば、検察官や裁判官に対し、勾留の要件を満たさないこと(しっかりとした身元引受人がいるから逃亡のおそれがないなど)を主張し、勾留請求、勾留決定をしないよう働きかけることもできます。
刑事手続きの初期では、勾留をさせない活動が重要となります。
勾留されてしまった場合は、「準抗告」などの、勾留決定に対する不服申し立ての制度を利用します。

~不起訴処分の獲得を目指し、被害者と示談する~

検察官は捜査の最終段階において、Aさんを裁判にかけるかどうか、すなわち起訴か不起訴かを決めなければなりません。
その判断に際しては、Aさんの性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況を考慮し、仮にAさんの有罪を立証できる場合であっても不起訴にすることができます(刑事訴訟法第248条)。
被害者との示談が成立していると、「犯罪後の情況」の一要素として有利に考慮されることが期待できます。
さらに、勾留されている場合でも、示談が成立した場合には、釈放される可能性が高まります。
刑事事件において被害者と示談を成立させることには、多くのメリットがあるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースのような痴漢事件の解決実績も豊富です。
ご家族が痴漢事件を起こしお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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北海道札幌市の痴漢事件で現行犯逮捕

2019-10-31

北海道札幌市の痴漢事件で現行犯逮捕

北海道札幌市痴漢事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aさんは、北海道札幌市内を走る満員電車の車内において、女性Vの臀部をズボン越しに触ってしまいました。
Vは満員電車だからたまたま何かが触れているのだろうと思い過ごしていましたが、あまりにも不自然なので、臀部の方に手を伸ばすと、Aさんが触っていることに気付きました。
Aさんは、Vに臀部を触っていた手を掴まれ、痴漢として駅員室に連れて行かれました。
まもなく駆け付けた鉄道警察隊により、Aさんは北海道警察東警察署に引致されることになりました。(フィクションです)

~札幌市内で痴漢事件を起こすとどうなるか?~

一般的に、公共の乗物や、公共の場所において、他人の臀部などに触れることを「痴漢」といいますが、法律上、「痴漢罪」という犯罪類型はありません。
実際には、強制わいせつ罪か、各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反の罪に問われることになります。
両者は、犯行の態様により区別され、臀部を着衣越しに触った程度であれば、多くの場合、条例違反の罪に問われることが多いです。

Aさんは、札幌市内を走る電車の中で犯行を行ったので、「北海道迷惑行為防止条例」の適用が検討されることになります。
北海道迷惑行為防止条例第2条の2第1号アは、

①正当な理由がないのに
②公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、
③著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、
④衣服等の上から、又は直接身体に触れること

を禁止しています。
これに違反し、有罪が確定すると、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(常習の場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金)に処せられます。

「汽車」、「電車」は「公共の乗物」に含まれます。
Aさんは公共の乗物において、Vの衣服の上から臀部を触ったものであり、もしVにおいて、自身がAに臀部を触られていることを知ったのであれば、著しく羞恥し、又は不安を覚えるものと考えられます。
したがって、Aさんに北海道迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性は極めて高いでしょう。

~痴漢で逮捕された事件の流れ~

AさんはすでにVによって、「現行犯逮捕」されたものと扱われる可能性があります。
「現行犯人」とは、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者」を意味します。
さらに、現行犯人は、誰でも(市民でも)、令状なくこれを逮捕することができます。
したがって、法律上、警察官などでないVもAさんを逮捕することができる、ということになります。

警察署に引致され、取調べを受けたあと、釈放されない場合は、逮捕時から48時間以内にAさんの身柄が検察に送致されます。
検察官もAさんを取調べた後、身柄を受け取ったときから24時間以内に、かつ、逮捕時から72時間以内に、Aさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するか、あるいはAさんを起訴するかを決定します。

検察官から勾留請求を受けた裁判官が、勾留決定を出すと、Aさんは10日間勾留されることになります。
なお、よく勘違いしている方もおられるのですが、逮捕後、勾留決定が出るまでは、逮捕の効力として身体拘束を受けているのであり、「勾留」されているわけではありません。
さらに、やむを得ない事由があると認められるときは、最長10日間勾留を延長されることになります。
捜査の最終段階において、検察官は、Aさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決めることになります。

~示談により釈放や不起訴を目指す~

身体拘束が長引くと、会社を解雇される事態などが生じ、Aさんの社会復帰後の生活にも悪影響を及ぼすおそれがあります。
最近では軽度の痴漢事件で比較的早めに釈放される傾向にありますが、捜査機関と裁判所の判断次第である以上、それが実現するか不確実であることはなお否定できません。
また、ケースの事件につき起訴された場合は、無罪判決を獲得するのは極めて困難であることが見込まれ、有罪判決を受けると罰金刑でも前科となります。
そこで、痴漢の被害者であるVと迅速に示談を行うことが考えられます。
Vと示談をすることにより、早期の身柄解放、不起訴処分を実現できる可能性が高まります。
接見にやってきた弁護士とよく相談し、早期の身柄解放、不起訴処分の獲得を含む有利な事件解決に向けて弁護活動を依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件に熟練した弁護士が多数在籍しており、ケースのような痴漢事件の解決実績も豊富です。
ご家族が痴漢事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご予約はこちら

AirDrop痴漢で検挙

2019-10-21

AirDrop痴漢で検挙

AirDrop痴漢について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

東京都武蔵村山市に住む会社員のAさん(25歳)は、市内を走行する電車に乗車中、前に座っていた女性Vさんのことが気になり、Vさんに近づき、自身のスマートフォンに搭載されていたAirDrop機能を使い、「今日のパンツは何色?」と書いた紙を撮影した写真画像をVのスマートフォンに送信しました。その後、Aさんは、こうしたAさんの行動を不審に感じた男性に声をかけられ、「今、女性に何か変な画像送りませんでしたか?」などと言われたことから、「送りました。」「すみません。」と自分の行ったことを認めました。その後、Aさんは、男性やVさんとともに警視庁東大和警察署に行き警察官に事情を話した後、東京都迷惑行為防止条例違反の被疑者として事情を聴かれることになりました。Aさんは逮捕されることはなく、その日は自宅へ帰されました。しかし、今後のことが不安になったAさんは、痴漢事件の知識、経験が豊富な弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~ 福岡県でAirDrop痴漢を検挙 ~

今年8月、福岡県早良警察署は、AirDrop痴漢をした37歳の男性を検挙し、福岡区検察庁へ書類送検しています。男性は、電車内で女性のiPhoneにわいせつな写真を送信した疑いがもたれています。男性が電車内でスマホを手にしながら周囲をうかがうなどの不審な行動をしていたところ、他の男性に見つかり、警察に通報されたようです。男性は過去にも何回か同じことをしていたといいます。

~ AirDrop(エアドロップ)とは ~

ところで、AirDropは、一定の世代以降のApple製端末(iPhoneやiPadなど)に標準搭載されている機能です。半径9メートル以内の通信可能な所有者の名前が画面に一覧で表示され、名前を選択してすぐに写真や動画を送受信できる、というもので、設定さえしておけば誰とでも行えます。メールアドレスなどを交換せずBluetooth経由で写真や動画を送信できる、また、通信料がかからない手軽さから若者を中心に利用者が多い、と言われています。

~ AirDrop痴漢はどんな罪に当たる? ~

ところが、こうした手軽さを悪用した犯罪が

AirDrop痴漢

です。
AirDrop痴漢とは、AirDrop機能を利用して、全く見ず知らずの人のスマートフォン宛にわいせつな写真や動画を送信しこれを閲覧させる犯罪です。満員電車や人ごみの多い場所では誰が犯人か特定しづらく、AirDrop痴漢はこうした場所を中心に行われることが多いと言われています。

では、AirDrop痴漢がどんな犯罪に当たるのかみていきます。

まずは、東京都迷惑行為防止条例(以下、条例)に規定されている「卑わいな言動の罪」です。この罪は、条例5条1項3号に規定されています。

条例5条1項
 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる行為をしてはならない。
(1) (略)
(2) (略)
(3) 前2号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること

罰則は条例8条1項及び8条8項に設けられています。
条例8条1項は通常の痴漢行為に対する罰則で「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」、8条8項は、常習として痴漢行為を行った際の罰則で「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。

~ AirDrop痴漢の卑わいな言動 ~

卑わいな言動」とは、社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいうと解されています。
卑わいな言語の例としては「おっぱい触らせて」、「下着見せて」などが挙げられます。卑わいな動作の例としては、臀部、太腿、膝頭に触る、「スカートをまくる、スカー卜のチャックをはずす、スカートの下からのぞき見する、などの行為が挙げられます。

なお、AirDropを使ってナンパする方もおられるようです。
通常、その言動が「卑わいな言動」に当たることは少ないと思われますが、内容によっては「卑わいな言動」に当たることもありますから注意が必要です。

~ 不起訴処分獲得のための弁護活動 ~

AirDrop痴漢であっても刑事事件化すると、いずれは検察官の起訴、不起訴の刑事処分を受けます。
起訴されると正式裁判、あるいは略式裁判を受けなければなりません。もっとも、Aさんが初犯であったり、常習性が認められない場合などは、略式裁判を受けることが多いと思われます。略式裁判では罰金刑の命令が言い渡されます。

もしも、起訴されたくない、すなわち不起訴処分を獲得したいとお考えの場合は、被害者と示談交渉を始め、示談を成立させ、その結果を検察官に提示する必要があります。ただ、この手の犯罪の場合、当事者間で示談交渉することは様々な困難が伴いますから、示談をご検討の方は弁護士示談交渉をご依頼ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。刑事事件少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスの予約受付を承っております。

痴漢で現行犯逮捕

2019-10-16

痴漢で現行犯逮捕

~ケース~
神奈川県横浜市のAさんは、朝の通勤ラッシュ時の電車内において痴漢行為を週に2~3回程度繰り返していた。
ある日、Aさんが痴漢行為を行う目的でラッシュ時の電車に乗り、車内において通学中の女子高生の臀部を触るといった痴漢行為を行ったところ、頻発している痴漢犯人の検挙のために電車内をパトロールしていた警察官が、Aさんが痴漢行為を行っている様子を発見した。
神奈川県泉警察署の警察官は、その場でAさんの手を掴んで最寄りの駅で下車させた上で、Aさんを神奈川県迷惑行為防止条例違反逮捕した。
(上記の事例はフィクションです)

~現行犯逮捕について~

電車内での痴漢行為については、都道府県の迷惑防止条例違反の罪または強制わいせつ罪が成立することになります。
強制わいせつ罪の成立には、被害者の抵抗を困難にする程度の暴行又は脅迫の存在が必要となることから、着衣の上から身体に接触するような一般的な痴漢事件の場合には迷惑防止条例違反にとどまるケースが多いです。

上記の事例では、Aさんは現行犯逮捕されていますが、どのような場合に現行犯逮捕が認められるのでしょうか。

刑事訴訟法212条1項は「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を現行犯人とする。」と規定しています。

「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者」といえるためには、①犯人と犯罪の明白性と②犯行と逮捕との時間的場所的接着性の2つの要件が必要であると考えられています。
上記の事例については、警察官がAさんによる痴漢行為を実際に目撃(現認)していることから、犯罪(痴漢行為の存在)と犯人(Aさん)が明白であるといえ、①は認められます。
また、警察官は、Aさんの痴漢行為後すぐにAさんを下車させ、その場で逮捕していることから②犯行と逮捕との時間的場所的接着性も認められます。
したがって、「現に罪を行い、又は罪を行い終わったと明らかに認められるとき」にあたり、Aさんは現行犯人であるといえます。

ちなみに、同法213条は「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と規定していることから、検察官や警察官以外の一般の人であっても現行犯逮捕を行うことはできます(これを私人逮捕といいます)。

~逮捕後の手続~

逮捕後の手続としては、警察署での取調べが行われ、逮捕から48時間以内に事件の書類や証拠が検察官に送られることになり(事件送致)、送致を受けた検察官は24時間以内に被疑者を釈放するか、裁判官に対し勾留請求をするかを決定することになります。

仮に、検察官から裁判官に対し勾留請求がなされた場合、裁判官は被疑者を留置する必要があるかどうかを判断し、被疑者を勾留するかどうかを決定します。
勾留決定がなされた場合には、検察官は、原則として勾留請求の日から10日間(やむをえない事由があれば20日間)以内に被疑者を起訴するかどうかを決定することになり、被疑者はその間拘置所や留置所に身柄を拘束されます。
ここで起訴されてしまった場合には、保釈などがなされない限り、被疑者段階での勾留が自動的に被告人としての勾留に切り替わり、2か月間(その後は1か月ごとに更新あり)の身柄拘束がなされることになります。

このように、逮捕を伴う事件の場合には各種の手続に時間的制約が設けられていることから、短期間で事件処理が行われることが多いといえます。
そのため、ご自身やご家族、ご友人が逮捕されてしまった場合には、弊所の初回接見サービス等を利用してできる限り早期に弁護士に相談することが極めて重要となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に取り扱っている弁護士が多数在籍しており、24時間、無料相談のご予約、初回接見サービスを受け付けております。
刑事事件についてお悩みの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。

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