Archive for the ‘未分類’ Category
薬剤師と欠格事由
薬剤師と欠格事由
福岡市南区に住むAさんは薬剤師を目指す大学生(21歳)です。
ところが,ある日,Aさんは,学校の勉強や実習などのストレスから,通学中の電車内において,前に立っていた女性の衣服の上から胸を揉むなどしました。
その場で女性が悲鳴を上げたことから,Aさんは,周囲にいた男性らに取り押さえられ,その後,駆け付けた警察官に引き渡され逮捕されました。
福岡県南警察署から逮捕の通知を受けたAさんのご両親は,「逮捕によって薬剤師の免許が取得できないのではないか」と不安になり,弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
~ 薬剤師と欠格事由 ~
薬剤師など国家資格を必要とする職業は,本質的に職責が重く,国民からの信頼を得られてはじめてその職責を全うできるものです。
ですから,法律で,予め,資格を得られることができない,免許を与えることができない場合(欠格事由)を定め,欠格事由に該当する方には資格を与えない,免許を与えないということにしています。
薬剤師でいえば,薬剤師法に「絶対的欠格事由」と「相対的欠格事由」を定めています。
「絶対的欠格事由」とは,当該事由に該当すれば,必ず免許が与えられない事由のことをいいます。
それに対して「相対的欠格事由」とは,当該事由に該当しても,必ずしも免許が与えられないわけではなく,裁量権者の判断によって決まる事由のことをいいます。
「絶対的欠格事由」は,薬剤師法4条に,
未成年者、成年被後見人又は被保佐人には、免許を与えない。
と規定されています。
それに対して,「相対的欠格事由」は,薬剤師法5条に
次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一 心身の障害により薬剤師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三 罰金以上の刑に処せられた者
四 前号に該当する者を除くほか、薬事に関し犯罪又は不正の行為があつた者
と規定されています。
~ 痴漢と欠格事由 ~
痴漢行為は,通常,各都道府県が定める迷惑行為防止条例(各都道府県により名称は異なります)に当たります。
そして,罰則については,概ね「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」,常習の場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と定められていることが多いと思われます。
そこで,今回,検討すべきことは,Aさんが「相対的欠格事由」,すなわち,薬剤師法5条3号の「罰金以上の刑に処せられた者」に当たるか否かということになります。
= 罰金以上の刑 =
刑の種類については刑法9条に定められています。
それによれば,刑の種類(主刑)は,死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留及び科料です。
そして,刑法10条により,主刑の軽重は,刑法9条に規定する順序によるとされています。つまり,法律上は,死刑→懲役→禁錮→罰金→拘留→科料という順に刑の重さが決められています。
したがって,「罰金以上の刑」とは,罰金,禁錮,懲役,死刑のことを意味することになります。
= 処せられた =
処せられたとは,その罪について裁判を受け,その裁判が確定したことをいいます。
つまり,刑事手続では,逮捕された場合,概ね「逮捕→勾留→起訴→裁判→判決・命令→裁判の確定」という流れをとりますが,この裁判の確定までいってはじめて「処せられた」ということになります。
したがって,
・逮捕されたばかりの方
・勾留中の方
・不起訴処分を受けた方
・裁判中の方
・判決を受けたが,控訴など不服申し立て中の方
などの方は,全て裁判確定前の段階の方であり,「処せられた」者には当たりません。Aさんのご両親も,逮捕の事実で薬剤師の免許が受けられないのではないかとご心配されているようですが,逮捕の事実のみでは欠格事由には当たりませんからひとまず心配なさらなくていいでしょう。
~ 欠格事由を回避するには? ~
そうはいっても,Aさんが起訴されて裁判で「有罪」を受け,罰金以上の刑に処せられる可能性がなくなったわけではありません。
そこで,このような可能性を回避するために,被害者との示談をお勧めいたします。
被害者と示談を成立させることができれば,不起訴処分獲得の可能性が高くなり,よって,Aさんが相対的欠格事由に当たることを回避することも可能となるからです。
ただし,示談交渉はあくまで相手があっての話です。
そもそも示談交渉に応じてくれないということもありますし,応じてくれたとしても示談締結までには至らないこともあります。
また,示談したからといって必ず不起訴処分になるわけでもありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,痴漢事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
痴漢事件を起こしてしまい欠格事由にお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
(福岡県南警察署への初回接見費用:35,900円)
陰部画像送信のサイバー痴漢
陰部画像送信のサイバー痴漢
東京都在住のAさんはスマートフォンの機能を用いて電車内の不特定多数の利用者とデータ共有ができることに気が付いた。
そこでAさんは軽いいたずらの気持ちで東京都葛飾区内を走行する電車内においてデータ共有機能を用いて男性の陰部の写真を送信した。
偶然電車内にいた警視庁葛飾警察署のXが画像を受信し,画像送信はAさんによるものであると気が付いた。
AさんはXに東京都の迷惑防止条例違反の疑いで現行犯逮捕され,警視庁葛飾警察署に連行された。
電車内にはAさんとXを含め数人しか乗客がいなかった。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に初回接見を依頼した。
(フィクションです)
~サイバー痴漢~
サイバー痴漢とはスマートフォン等のデータ共有機能を用いて不特定多数の人に卑わいな画像を送りつけるといった行為をいいます。
「痴漢」とは一般的には電車内などで男性が女性の臀部に触れるというような行為と認識されています。
世間一般で言われる痴漢は各都道府県の制定する迷惑防止条例に規定されており,条文は概ね以下の通りになっています。
何人も,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような行為であつて,次に掲げるものをしてはならない。
(1)公共の場所又は公共の乗物において,衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
(2)および(3)盗撮行為のため省略
(4)前号に掲げるもののほか、人に対し、卑わいな言動をすること。
この条文の(1)が世間一般で言われる痴漢行為になります。
ところで,(4)の「卑わいな言動」とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。
刑法や条例などの刑罰を科す法律は誤って不利益を受ける人が生じないように明確に規定されなくてはいけないとされています。
これについては最高裁判所が平成20年に以下の様に判示しています。
「(卑わいな言動とは)社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいう」
(この事件は女性を追いかけて臀部の写真をズボンの上から約10枚撮影したというものであり,裁判官1名の反対意見が付されています。)
今回のケースで不特定多数の人に対して男性の陰部の写真を送るという行為は,最高裁判所のいう「社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな動作」に該当してしまう可能性が高いでしょう。
~弁護活動~
「卑わいな言動」に対する刑罰は、他人の身体に触れる痴漢と同じ刑罰となっています。
各都道府県によって差異はありますが,6月以下の懲役又は50万円以下の罰金となっている場合が多いです。
世間一般で痴漢と言われる行為については、常習でなければ罰金刑となるケースが多いようです。
また,犯行態様が悪質でなく前科のない初犯であるような場合には、被害者の方と示談を成立させることによって、不起訴(起訴猶予)となる場合もあります。
今回のケースでは、偶然車内にいたXにより現行犯逮捕されたもので,特定の被害者の被害届などによって逮捕されたものではありません。
また,実際に画像を受信した者がX以外にいるかどうかも明確にはわかりません。
このような場合には事件を警察内で終わらせる微罪処分となる可能性もあります。
しかし,微罪処分とできる事件は都道府県によって異なります。
ご自身の事件について、微罪処分や不起訴になる見込みがどの程度あるかについては、刑事事件に強い弁護士に尋ねられるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族の方が都道府県の制定する迷惑防止条例違反で逮捕されお困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
警察署での初回接見・事務所での無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。
(警視庁葛飾警察署までの初回接見費用:38,500円)
髪の毛を触る痴漢事件
髪の毛を触る痴漢事件
東京都在住の会社員のAさんは,通勤中の電車内において,乗客の一人である女性の髪の毛を触り,匂いを嗅いでしまいました。
Aさんは女性と社内の乗客に取り押さえられ,停車駅で駅員室に連れて行かれました。
駅員の通報により駆け付けた警視庁東村山警察署の警察官に,Aさんは東京都迷惑防止条例違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に警察署への初回接見を依頼しました。
(フィクションです)
~迷惑防止条例~
迷惑防止条例は各都道府県が定める条例で,名称は都道府県ごとに若干異なりますが,内容は概ね同様となっており,いわゆる痴漢行為や盗撮行為などを罰則付きで禁止しています。
また,設例のAさんがやってしまった行為として該当する可能性がある「卑わいな言動」も規制されています。
ここでは,一例として東京都の迷惑防止条例を紹介します。
東京都迷惑防止条例
第5条 何人も,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような行為であつて,次に掲げるものをしてはならない。
(1)公共の場所又は公共の乗物において,衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
(2)略(盗撮行為)
(3)前2号に掲げるもののほか,人に対し,公共の場所又は公共の乗物において,卑わいな言動をすること。
東京都の迷惑防止条例では,いわゆる痴漢行為,盗撮行為を切り出して処罰の対象としています。
そして,いわゆる痴漢行為,盗撮行為とは言えないものの,他人に不安を覚えさせるような行為を「卑わいな言動」として包括的に処罰対象としています。
いわゆる痴漢行為や「卑わいな言動」を行った場合,罰則は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金となっています(東京都の場合)。
いわゆる痴漢行為は(1)で規定されています。
「痴漢」行為という言葉からは,胸元やお尻を触る行為をイメージされやすいかと思います。
設例のAさんが触れたのは女性の髪の毛ですが,この行為も痴漢として扱われるでしょうか?
迷惑防止条例の条文を確認してみましょう。
迷惑防止条例の条文は「身体に触れる」ことを禁止しています。条文を文字どおりに解釈するのであれば,毛髪も身体の一部なので痴漢行為だ,と言えなくもないと思われます。
もっとも,実際に迷惑防止条例違反とされた事件において,いわゆる痴漢行為として逮捕されているケースは,胸やお尻といった部位を触った場合が多いことも否定できません。
設例のAさんのような場合,同じ迷惑防止条例違反でも,いわゆる痴漢行為以外の行為を包括的に処罰する「卑わいな言動」として扱われるか,あるいは,刑法208条が定める暴行罪として扱われる可能性があると思われます(暴行罪の場合は,「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処せられます)。
~逮捕されてしまったら~
設例のAさんのように現行犯逮捕されてしまった場合,事情によっては数日で釈放されることもあります。
もっとも,逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあると判断された場合には,逮捕に引き続く身体拘束の延長となる,勾留の決定がされてしまう場合もあります。
ひとたび勾留されてしまった場合には,原則10日間,状況によってはさらに10日間の延長がされて,最大20日間も留置所において拘束されてしまう可能性があります。
勾留されている間は会社等に行くことができず,事件が会社等に発覚してしまう可能性が非常に高くなります。
そうなってしまうと,会社等を休み続けるわけには行かず,解雇されてしまう可能性もあります。
そのため,弁護を依頼された弁護士はまずは勾留されないように弁護活動をします。
具体的には,勾留の必要がないという意見書や,ご家族の方からの上申書などを検察官に提出します。
~弁護活動~
痴漢や盗撮などの卑わいな言動の事件の場合,初犯であり,被害者の方と示談が成立していれば起訴猶予の不起訴処分となる場合が多いです。
反対に,示談ができていない場合は,少なくとも罰金処分にはなり,前科がつくことが大半です。
また,余罪の有無等,事情によっては起訴されて刑事裁判を受けなければならないこともあります。
そのため,検察官が処分を決めてしまう目に,早期に被害者の方と示談交渉をすることが非常に重要になります。
しかし,痴漢事件などの場合,加害者の方が被害者の方と直接示談をするというのは非常に困難です。
示談交渉をしようにも,被害者の方と連絡を取ることができません。
弁護士であれば,被害者の同意の下,検察官や警察官から被害者の方の連絡先を取り次いでもらえる場合もあります。
示談の際には宥恕条項を盛り込んだ示談書を作成することが重要です。
宥恕とは「許す」ということであり,宥恕条項があれば,当事者間で既に解決している以上,検察官は国家による刑罰をあえて科す必要はないと判断し,不起訴処分とする可能性が高くなります。
万が一,痴漢やそれに類する事件を起こしてしまった場合には早めに弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
痴漢といわれるような事件を起こしてしまいお困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。
(警視庁東村山警察署での初回接見費用:37,800円)
弁護士の頼み方
弁護士の頼み方
神奈川県に住むAさん。
いつも通勤のため地下鉄を利用しています。
ある日、帰宅ラッシュの時間と重なり、混雑した地下鉄に乗っていました。
乗車から5分ほど経過したとき、いきなり女子高生から腕を掴まれました。
「この人痴漢です!」
何が起きたのかわからず茫然とするAさん。
次の停車駅で降ろされてしまいました。
Aさんはどうなってしまうのでしょうか。(フィクションです。)
~駅事務室には行かないように~
このようなケースでは駅員によって駅事務室に連れていかれることが多いでしょう。
痴漢をやっていない場合でも、話せばわかってもらえると考え、素直に駅事務室まで行く方もいらっしゃいます。
しかし、駅事務室でそのような機会は設けられず、警察署に連行されてしまうことも多いようです。
とはいえダッシュで逃げ去るというのは、その際に他人にぶつかってケガをさせたり、逮捕・勾留されやすくなったり、あるいは後々裁判になった場合に不利な事実となる可能性があるのでやめた方がいいでしょう。
冤罪対策としては、名刺を渡すなどの方法で自分の連絡先を教えた上で、駅事務室には行かずに立ち去ることが重要といわれています。
そして弁護士に相談し、落ち着いて対策を練るのが理想です。
~駅事務室に連れていかれたら~
とはいえ、駅事務室に行くのを拒否しきれない場合もあるでしょう。
その場合に1人でベストな対応するのは難しいので、弁護士の力を借りることも考えた方がよいでしょう。
逮捕されていれば、後述の当番弁護士制度を利用することができます。
しかし任意で事情を聞かれているにすぎない段階では利用できません。
一刻も早く弁護士のアドバイスを受けたい場合には、お知り合いの弁護士や、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のような刑事事件に強い弁護士を呼ぶという方法があります。
~逮捕・勾留されたら~
逮捕されると最大3日間、留置所に入れられます。
さらに、被疑者を刑事裁判にかけるか否か(起訴するか否か)を検察官が判断するために、さらに最大20日間、留置所に入れられる可能性があります(勾留といいます)。
逮捕された時点で、各地の弁護士会で運営している当番弁護士制度を利用できます。
当番となっている弁護士が駆け付け、取調べを受ける際の注意事項などをアドバイスをしてくれます。
費用は1回限りですが無料です。
その後勾留された場合には、被疑者国選という制度を用いることができます。
弁護士費用を国が負担し、弁護士をつけてくれる制度です。
もちろん当番弁護士や被疑者国選ではなく、自ら費用負担してお知り合いの弁護士や、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所などに弁護を頼むこともできます(私選弁護人)。
~勾留されなくても~
逆に勾留されずに釈放された場合には、被疑者国選を使うことができません。
なぜなら身柄を拘束されていない被疑者は、拘束されている被疑者よりも弁護士の支援の必要性が低いという考え方があるからです。
しかし実際には、勾留されていなくても起訴される可能性はあるので(在宅起訴といいます)、弁護士の支援が必要なケースは多いです。
たとえば、痴漢をやっていないのであれば、出来る限りその証拠を集めて検察官を説得する必要があるため、弁護士の力を借りるのがベストといえるでしょう。
また、弁護士から、取調べを受ける際のアドバイスを受けることで虚偽の自白を防ぐことも重要となります。
一方、痴漢をしてしまったのであれば、被害者と示談をして被害を回復させ、反省態度を示し、起訴しないよう検察官に働きかけることが重要となります。
被害者との示談交渉や検察官への働きかけ等も、刑事事件に慣れている弁護士に依頼することがベストであるといえます。
~痴漢事件で弁護士に依頼~
以上のように、身柄を拘束されているか否かに関わらず起訴を免れるために弁護士を使うことは重要です。
弁護士費用を考えて国選弁護人を使うことも有力な選択肢の1つです。
しかし、勾留されていないなどで国選弁護人が使えない場合、あるいは国選弁護人は使えるけれど刑事事件に強い弁護士に頼んで不起訴のためにベストを尽くしたいという場合には、私選弁護人に依頼することも有力です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、事務所での法律相談は初回無料となっております。
ぜひ一度ご相談ください。
刑罰の種類と不起訴
刑罰の種類と不起訴
~ケース~
さいたま市在住の会社員のAさんは,休日に日頃の会社でのストレス等から東武鉄道野田線の車両内でVさんに痴漢をしてしまった。
AさんはVさんによって腕を掴まれ次の停車駅で駅員に引き渡された。
通報によりかけつけた警察官によってAさんは埼玉県大宮警察署に連行された。
Aさんの勤務する会社の就業規則には「従業員が何らかの刑罰を受けた場合は懲戒解雇に処することができる」という規則があり,Aさんの家族は刑罰を回避する方法がないか,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談した。
(フィクションです)
~痴漢~
痴漢は各都道府県の定める,いわゆる迷惑防止条例によって禁止されています。
詳細な条文は各都道府県によって若干異なりますが以下のような条文になっています。
何人も,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような行為であつて,次に掲げるものをしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物において,衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
(以下略)
この条文は東京都の迷惑防止条例の条文です。
罰則も各都道府県によって異なりますが6か月以下もしくは1年以下の懲役または50万円もしくは100万円以下の罰金という場合が多いようです。
~刑罰~
刑罰は、重い順から,死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留,科料となっています。
また,刑の執行を一定期間猶予し,その期間に犯罪を犯さないなどの条件を満たす場合には刑の言渡しの効力を失わせる「執行猶予」と呼ばれる制度があります。
執行猶予は3年以下の懲役・禁錮,50万円以下の罰金に対して付すことが可能ですが,罰金刑に執行猶予が付されることは非常に稀で1年に1件あるかどうかのようです。
罰金刑を科せられたものの罰金を払えない場合は労役場留置という換刑処分となります。
労役場で罰金額に対応した日数の労役作業をすることにより罰金を支払ったことになります。
基本的に1日当たり5000円で計算されることが多いようです。
~Aさんの場合~
何らかの事件が発生したにも関わらず被疑者(および被告人)が刑罰を受けないケースというのは、基本的に刑事裁判で無罪となった場合か検察官が事件を不起訴とした場合が考えられます。
今回のケースでは,Aさんは実際に痴漢行為をしてしまっていますので,起訴されて刑事裁判となった場合には無罪となることはまずありません。
そのため,刑罰を回避するためには不起訴処分を目指すことになります。
不起訴処分には全部で20種ありますが,多くの場合は起訴猶予処分を目指すことになります。
起訴猶予処分は被疑事実が明白な場合において,被疑者の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときに不起訴となります。
痴漢事件の場合,犯行が悪質でなく,余罪もなく初犯であるような場合には,被害者の方と示談が成立していれば、起訴猶予の不起訴処分となる場合が多いです。
そのため,Aさんが刑罰を回避するためにはVさんと示談を成立させることが重要になります。
しかし,加害者の方がご自身で示談交渉をしようとしても,被害者の方が応じてくれないどころか,連絡先などもわからない場合がほとんどです。
弁護士であれば,被害者の方の同意の下,検察官から連絡先を教えて頂き,被害者の方と連絡を取ることができる場合もあります。
なお,勾留されていない在宅事件の場合,国選の弁護士は起訴された後でしか付けられませんが,私選の弁護士であれば起訴前につけることができますので、起訴されないように活動することが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
被害者の方と示談を成立させたことによって不起訴となったケースも多数あります。
痴漢をしてしまいお困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
初回接見・事務所での無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。
(事務所での法律相談は初回1時間無料です)
弁護士は私選か国選か?
弁護士は私選か国選か?
大阪市阿倍野区に住む会社員のAさん(31歳)は,通勤電車内で痴漢をしたとして,大阪府阿倍野警察署の警察官に大阪府迷惑行為防止条例違反で現行犯逮捕されました。
実は,Aさんは,以前から同じ電車内で痴漢を繰り返しており警察官から目をつけられていたのです。
Aさんの妻Bさんは,警察官から逮捕の連絡を受けました。
Bさんは,ネット検索で対応してくれそうな弁護士を探していると,刑事弁護士には「私選」と「国選」の2種類あることを知りました。
Bさんの妻は,「私選」か「国選」かで迷っています。
(フィクションです)
~ はじめに ~
痴漢で逮捕されたという連絡を受けて困っても,事が事だけに,直ちに誰かに相談できる方ばかりではないと思います。
そこで頼りになるのが弁護士ですが,その弁護士を選ぶにあたっても注意すべき点があります。
弁護士の力量等によってその後の結果が大きくことなることがありますから,弁護士選びは慎重かつスピーディに進めなければなりません。
今回は,Bさんが迷われている「私選」と「国選」の違いなどについてご紹介いたします。
~ 私選弁護人,国選弁護人とは ~
私選弁護人とは,被疑者その他弁護人選任権のある方から選任された弁護士のことをいいます。
他方,国選弁護人とは,勾留状を発布された(勾留された)被疑者が貧困等の事由により弁護人を選任することができない場合において,被疑者の請求により,国によって選任された弁護士のことをいいます。
~ 私選弁護人と国選弁護人の違い ~
弁護士費用の負担の点で,私選弁護人は自己負担,国選弁護人は国が負担(例外あり)ということは一般的に知られていると思いますが,他にどんな違いがあるのでしょうか?
= 条件 =
私選弁護人の選任の条件はありません。
他方,国選弁護人の場合,資力が50万円未満であるという条件が必要となります。
また,そのことを証明するために,裁判所に資力申告書を提出しなければなりません。
資力申告書に虚偽記載をしたことが判明した場合は10万円以下の過料に処せられます。
= 選任,解任 =
私選弁護人はいつでも選任することができます。
また,逮捕された方のみならず,その法定代理人,配偶者,直系の親族及び兄弟姉妹の方でも選任することができます。
解任も自由です。
「相談に乗ってくれない」「そりが合わない」「やる気がない」「力量がない」などといった場合はいつでも解任することができます。
他方,国選弁護人の場合,勾留状が発布されてからでないと選任できません。
また,弁護人を選ぶことはできません。
したがって,どんな人が弁護人となるか選任されるまでは分かりません。
解任も自由ではありません。
~ 私選弁護人と国選弁護人,どちらにすべき? ~
以上,私選弁護人と国選弁護人の違いはお分かりいただけたでしょうか?
ここでは,私選弁護人にすべき場合(反対の場合は国選弁護人にすべき場合)をケースごとにご紹介いたします。
= 弁護士費用をご準備できる場合は「私選」 =
当該事件に関し,どのくらいの弁護士費用がかかるかは一概にはいえません。
事件の難易度にもよれば,結果によっても大幅に変動します。
また,余罪等があり再逮捕が繰り返される場合は,それだけ着手金が追加され弁護士費用は高くなるでしょう。
そこで,まず,はじめに弁護士からおおよその費用を確認した上で,費用をご準備できる場合は「私選」を選んだほうが無難で,安心です。
やはり,国選の場合だと,ご自分で選ぶことができない分,「刑事事件に慣れていない」「やる気がない」「力量がない」弁護士が選任されるリスクが高くなります。
= 早期釈放なら「私選」 =
次に,早期釈放を目指す場合は「私選」をお勧めします。
先ほども,少しご紹介しましたが,「国選」が選任されるのは逮捕期間(逮捕から勾留されるまでの最大72時間)後の勾留状が発布された後です。
しかし,「私選」であれば,その逮捕期間中に釈放に向けての弁護活動を行ってもらい,釈放してもらえることもあります。
釈放されれば,何よりご本人が肉体的,精神駅負担から解放されることができますし,学校,会社・職場への対応もやりやすくなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,痴漢をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。
痴漢でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
24時間,無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております。
(大阪府阿倍野警察署までの初回接見費用:36,700円)
強制わいせつ罪で逮捕・不起訴
強制わいせつ罪で逮捕・不起訴
事例:Aは、通勤途中に、兵庫県高砂市内を走る電車内において、前に立っていた女性Vの下着の中に手を入れて陰部をなで回すなどの行為をしていた。
Vの様子からAの行為に気付いた乗客Bは、Aを詰問し、駅員室まで連れて行った。
兵庫県高砂警察署の警察官は、Aを強制わいせつ罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、痴漢事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~痴漢事件における迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪~
本件では、AはVに対する痴漢行為によって、強制わいせつ罪で逮捕されてしまっています。
痴漢事件においては、各都道府県が定めるいわゆる迷惑防止条例の罰則規定が適用されることが少なくありません。
迷惑防止条例が適用される場合、その法定刑は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」と規定されていることが多く、「6月以上10年以下の懲役」と法定刑を定める強制わいせつ罪とは大きな差が生じることになります。
なお、仮に怪我まで負わせてしまった場合には、強制わいせつ致傷罪(刑法181条1項)として裁判員裁判となる可能性まであることに注意が必要です。
まず、一般論として刑法176条は、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者」および「13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者」を強制わいせつ罪とする旨を規定しています。
では、痴漢事件において、どのような場合に強制わいせつ罪という刑法犯の成立の成否が問題となるのでしょうか。
この点、迷惑防止条例違反が適用されるか、刑法犯として上述の強制わいせつ罪が適用されるかに関しては、被害者の下着の内側にまで手(や指など)を入れたかどうかが指標の一つとなると言われています。
したがって、弁護士としては、まず被疑者がどこまでの行為を行ったのかを具体的に把握する必要があるといえるでしょう。
本件では、AはVの下着の中にまで手を入れたとされており、Aが特にこの事実を争わない場合には強制わいせつ罪が成立する可能性が高いと考えられます。
~強制わいせつ事件(痴漢事件)における弁護活動~
強制わいせつ罪を含む痴漢事件において逮捕されてしまった場合、刑罰の適用を避け不起訴を得るためには、被害者との示談を成立させることが極めて重要になります。
刑事訴訟法248条は「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」と規定し、検察官に広範な起訴猶予の権限を認めています。
2017年の刑法改正によって、強制わいせつ罪を含む多くの性犯罪が非親告罪となりましたが、これはあくまで被害者の告訴の精神的負担を軽減することが趣旨であることから、被害者との示談が成立すれば、なお不起訴等を得られる公算が高まることに変わりはないと考えられます。
特に強制わいせつ罪においては、強制性交等罪(旧強姦罪)などと比べ、示談が成立すれば起訴猶予などの不起訴処分を得られる可能性はより大きいといえ、刑事事件専門の弁護士による専門性の高い弁護活動が重要となってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強制わいせつ事件を含む痴漢事件を多数取り扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
痴漢事件を含め多数の不起訴・起訴猶予処分を得た経験を持つ弁護士が所属しており、依頼者様にとって最善の弁護活動を行ってまいります。
強制わいせつ事件で逮捕された方のご家族は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはお電話ください。
逮捕され警察署等に留置されてしまった方への、弁護士による迅速な初回接見(面会)サービス等、スピーディーな事件への対応をお約束します。
兵庫県高砂警察署への初回接見費用:40,100円
京都市営地下鉄烏丸線車内の痴漢事件
京都市営地下鉄烏丸線車内の痴漢事件
~ケース~
Aさんは、京都府内を走行する満員の京都市営地下鉄烏丸線車内において、前にいた女性Vの臀部をスカート越しに撫でたところ、Vはこれに気付き、Aさんの腕を掴んで「警察へ行こう」と言いました。
Aさんはとりあえず降りて謝罪をしようと思い、Vと一緒に次の駅で降車しましたが、間もなく駆け付けた警察官に京都府北警察署へ連れて行かれ、取調べを受けました。
数時間に及ぶ取調べが終わり、ようやく出勤できると思ったら、警察官に「しばらく帰宅はできないので泊ってもらう」と言われ驚いています。(フィクションです)
~痴漢をしてしまったら~
いわゆる「痴漢行為」を行った場合には、主に①各都道府県が制定する迷惑行為防止条例違反の罪、あるいは、②強制わいせつ罪(刑法第176条)の成否が検討されます。
(迷惑行為防止条例違反の罪)
迷惑行為防止条例は、47都道府県すべてにおいて制定されており、都道府県ごとに条文の文言や法定刑が異なります。
どの都道府県の迷惑行為防止条例が適用されるかは、痴漢を行った場所により決まります。
京都府内を走行する電車内でVの臀部を触ったのであれば、京都府内で痴漢を行ったことになるので、京都府迷惑行為防止条例が適用されることになります。
京都府迷惑行為防止条例第3条1項は、
公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
(1)みだりに、他人の身体の一部に触ること(着衣の上から触ることを含む。)。
(2)みだりに、物を用いて他人の身体に性的な感触を与えようとすること。
と規定しており、これに違反し、有罪が確定すれば、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
(強制わいせつ罪)
強制わいせつ罪は、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をする犯罪であり、13歳未満の者に対してわいせつな行為をした場合には、暴行・脅迫によらずとも強制わいせつ罪が成立します。
迷惑行為防止条例違反の罪と異なり、「公共の乗物において」などといった場所の制限がありません。
さらに、法定刑も6月以上10年以下の懲役が予定されており、迷惑防止条例違反の罪よりもはるかに重い犯罪ということができます。
(両者の区別)
条文で具体的に強制わいせつ罪と迷惑行為防止条例違反の罪の「境界」を示すものはありません。
そのため、痴漢の態様(触れた、に過ぎないのか、それとも弄んだのか、触れた身体の部位、直接肌に触れたかどうかなど)を考慮し、「わいせつな行為」に至ったかどうかを検討することになります。
ケースの場合のように、スカート越しに臀部を撫でたケースにおいては、多くの場合、迷惑行為防止条例違反の罪の成否が検討されることになるでしょう。
~取調べが終わったのに、Aさんはなぜ帰宅できないのか~
ケースの警察官は、すでにAさんがVにより「現行犯逮捕」されているものと判断した可能性が高いです。
「現行犯人」は、誰でも(警察官でなくても)逮捕することができ、令状も必要ありません(刑事訴訟法第213条)。
被害者が被疑者の腕を掴むなどして警察に引き渡した場合、私人による現行犯逮捕がなされたものと扱われることがあります。
~早期の身柄解放を目指す~
Aさんの身柄は逮捕時から48時間以内に検察に送致され、検察官の取調べを受けることになります。
検察官は、身柄を受け取った時から24時間以内に勾留請求をするか、釈放するか、あるいは起訴するかを判断します。
勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出せば最長10日間、勾留延長をされれば更に最長10日間、留置場から外に出ることができなくなります。
したがって、現在のAさんは、勾留をさせない活動を尽くし、なるべく早期に留置場の外に出られるよう行動すべきです。
「勾留をさせない活動」として考えられるのは、被害者女性との示談、検察官や裁判官に勾留請求、勾留決定をしないよう働きかけることです。
いずれも、Aさんが自ら行うのは困難なので、刑事事件に熟練した弁護士に身柄解放活動を依頼しましょう。
無事に身柄を解放された後も、不起訴処分の獲得を目指して行動しなければなりません。
弁護士は、Aさんにとってより利益な処分が得られるよう力を尽くします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースのような痴漢事件の解決実績も豊富です。
ご家族、ご友人が痴漢事件を起こし逮捕された方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
初回接見のお申込みは0120-631-881まで
京都府北警察署までの初回接見費用:36,300円
痴漢と疑われないために 痴漢と疑われたら
痴漢と疑われないために 痴漢と疑われたら
福岡市に住むAさんは,満員電車内で,突然,Vさんから「この人痴漢です」と言われ腕を捕まれました。
Aさんは,痴漢をした覚えは一切ありませんでした。
Aさんは全く身に覚えがなかったため,無実であることを主張しようと,次の駅で降り,駅員に促されるまま駅の事務室へ行きました。
そうして,Aさんは,事務室で駅員へ説明していると,通報を受け駆け付けた福岡県博多警察署の警察官から警察署まで来るよう言われました。
Aさんは取調べで,警察官から「認めればはやく家に帰れるぞ」などと言われました。
(フィクションです)
~ 痴漢はどんな罪に当たるの?罰則は? ~
痴漢行為は,通常,各都道府県が定める迷惑防止条例(名称は,各都道府県により異なる)により処罰されます。
罰則は「6月以上の懲役又は50万円以下の罰金」,常習として行ったと認められる場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされている条例が多いようです。
その他,痴漢行為が悪質な場合(例えば,女性の背後からいきなり乳房を鷲掴みにするなど)は条例ではなく刑法の強制わいせつ罪で処罰されるおそれもあります。
強制わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」です。
~ 痴漢と冤罪 ~
ところで,2007年に公開された周防正行監督の「それでもボクはやっていない」という映画をご存知でしょうか?
痴漢の否認事件を取り上げた映画で,弁護士役は確か,役所広司さんだったと思います。
当時,とある役所に勤めていた筆者は上司からこの映画を勧められました。
これはあくまで筆者の感想ですが,木村拓哉演じる「HERO」よりもより現実を忠実に再現していると感じました。
刑事司法,裁判の現場がどのようなものなのかお知りになりたい方にはお勧めの映画です。
ところで,映画では,被疑者・被告人役の加瀬亮さんは逮捕から判決まで否認を貫きましたが,結局は裁判で「有罪」判決を受けてしまいました。
痴漢事件では,実際は無実なのに裁判では有罪と認定されてしまう「冤罪」が生じやすいと言われています。
それはなぜなのでしょうか?
~ なぜ痴漢で冤罪が生じやすいのか ~
一つには,
痴漢事件では客観(物的)証拠が乏しい
という点が挙げられます。
客観証拠とは,その名のとおり,主観(先入観,偏見など)が排除された証拠,つまり,純粋に事実のみを映し出した証拠のことをいいます。
たとえば,防犯ビデオカメラ映像などが客観証拠に当たります。
しかし,痴漢行為の場所として多い電車内には防犯ビデオカメラが設置されているわけではありません。
また,被害者や目撃者が痴漢行為を予想してスマートフォンなどのカメラ録画機能を作動しているわけでもありません。
これからすると,痴漢事件は客観証拠に乏しい事件といえると思います。
そうすると,痴漢行為を立証するためには,どうしても被害者,目撃者の供述などの主観(供述)証拠に頼らざるをえません。
しかし,考えてみてください。
人の記憶ほど曖昧なものはありません。
人の記憶は,もともとその人の思い込み,先入観で汚染されている可能性がありますし,場合によっては人からの誤導や誘導で汚染される場合もあります。
また,時が経てば経つほど記憶は薄れ,事件時の記憶は曖昧になってくるものです。
痴漢事件では,痴漢行為の立証をそうした危険な供述に頼らざるを得ないことから,冤罪が生まれやすいと言われています。
~ 痴漢と疑われないために,疑われたら? ~
仮に,裁判で無罪と認定されたとしても,それまでに至る過程では大変な労力と時間を要します。
また,逮捕されたとなると,会社,学校,家庭,ご自身,ご家族の将来などに様々な影響を与えることでしょう。
そこで,痴漢の犯人と疑われないためにどうすればいいのか,疑われた場合はどうすればいいのか,考えられる対策を挙げてみました。
= 痴漢と疑われないために =
痴漢と疑われないためには,
・満員電車の中ではつり革につかまり,なるべく手は下げない
・満員電車は避ける(通勤方法を変える)
などの方法が考えられます。
= 痴漢と疑われたら? =
では,痴漢と疑われたらどうすればいいでしょうか?
* やってないと明確に告げる *
まずは,「自分はやっていない」と明確に告げましょう。
一度痴漢をやったことを認めると「あのときは認めたではないか」などと反論されて,「やってない」という話自体信用されなくなります。
* 自ら微物検査,DNA型検査を依頼する *
微物検査とは犯人の手に被害者の衣服の繊維や皮膚片が付着していないかどうか,被害者の衣服に犯人の細胞片が付着していないかどうかを調べる検査です。
DNA型検査は,微物検査よりももっと精度の高い検査と言われています。
自ら依頼することにより,より身の潔白を証明することに繋がります。
* 余計なことは話さない(被害者に多く語らせる) *
「やっていない」とだけ告げた後は,余計なことは話さない方がいいとかと思います。
余計なことを話すと,それを言質にとってあれこれ追及される隙を与えることになりかえません。
* 現場の声を録音する *
難しいかもしれませんが,現場の生の声を録音することも一つです。
あとで,事件を検証するための有用な道具となります。
* 目撃者を引き留める,特定する *
これも難しいですが,犯人にとって有利な証言,不利な証言をする人にかかわらず,まずは目撃者を特定することも一つです。
弁護士を頼めば,後で弁護士から目撃者に話を聴いてもらうこともできます。
* その場にとどまり,弁護士を呼ぶ *
痴漢事件というと,駅の事務室に連れていかれるイメージがあるかと思います。
しかし,これは駅員,警察官の都合であって,犯人がこれに応じる義務はありません。
その場にとどまり,まずは弁護士に連絡をつけて,その場に来てもらいましょう。
警察官などから連絡を遮断されそうなときも,はっきりと拒否しましょう。
執拗な場合は,その対応した警察官の名前や言動等を録音などで記録しておくとよいです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,痴漢事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
ご家族,ご友人が痴漢冤罪事件で逮捕されお困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。
無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
福岡県博多警察署への初回接見費用:34,300円
不起訴を獲得
不起訴を獲得
東京都に住むAさんは,東京都文京区を走る通勤電車内で,前に立っていた女性の尻や太ももなどに自身の股間を当てる痴漢行為をしました。
そうしたところ,Aさんは,電車を降りホームに降り立ったところで,犯行の一部終始を見ていた目撃者の男性から声をかけられ現行犯逮捕されてしまいました。
その後,Aさんの身柄は警視庁本富士警察署の警察官に引き渡されました。
(フィクションです)
~ 痴漢行為とは ~
痴漢罪という罪の名前はありませんし,それを定めた法律,条例もありません。
しかし,全国各都道府県では,名称こそ多少異なるものの,条例で痴漢行為を禁じる規定を設けています。
たとえば,東京都迷惑行為防止条例(以下,条例)を例にとりますと,条例5条1項1号には次の規定が設けられています。
5条1項 何人も,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような行為であって,次に掲げるものをしてはならない。
1号 公共の場所又は公共の乗物において,衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に身体に触れること
これがいわゆる痴漢行為を禁じる規定です。
ですから,これからすると痴漢行為とは,
公共の場所又は公共の乗物において,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような方法で衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に身体に触れる行為
ということになります。
* 痴漢行為と強制わいせつ罪 *
ただし,痴漢行為と言っても,それからさらにエスカレートした行為については強制わいせつ罪の「わいせつな行為」に当たるおそれもありますから注意が必要です。
乳房を触る行為といっても,単に触れただけなのか,鷲掴みにしたのかで条例か強制わいせつ罪の適用となるのか結論が異なってきますし,衣服の上から触ったのか,直接触ったのかでも異なってきます。
両者の適用は,状況により異なり明確に区別できるものではありません。
~ 条例の罰則 ~
条例の罰則は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」と規定されています(条例8条1項2号)。
ただし,常習性が認められる場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と規定されています(条例8条8項)。
全国的にほぼ同様の罰則となっています。
~ 痴漢と不起訴 ~
痴漢の容疑をかけられ逮捕された場合は,まずは「不起訴」を目指しましょう。
不起訴処分が見込まれる場合は,
早期釈放が可能
となりますし,実際に不起訴処分となった場合は
裁判を受ける必要はなく,刑罰を科されることはありませんから前科も付かない
といった効果を得られます。
ここでは,痴漢で不起訴処分を獲得するための方法をご紹介します。
= 痴漢行為を認める場合 =
1 被害者に謝罪し,示談を成立させる
示談が成立すると,被疑者にとって良い情状となるので不起訴になる可能性が飛躍的に高まります。
2 反省の態度を示す
被害者に謝罪文などを送るなどして反省の態度を形(証拠)にすることが大切です。
そして,それを捜査機関に示すことも重要です。その意味では,示談書も反省の態度を示す証拠といってもいいでしょう。
3 再犯可能性がないことを示す
適切な監督者を探したり,病院などで定期的にカウンセリングを受けるなどして,それを証拠として残すことが必要です。
= 痴漢行為を否認している場合 =
1 意思,記憶に反した供述(自白)をしない(否認を貫く)
痴漢行為を認めない場合は,ご自身の意思,記憶に反した供述(自白)をしないことが重要です。
仮に,自白してしまい,供述調書を作成されても,署名(サイン),押印は拒否しましょう。
これは被疑者に認められた権利ですから,恥ずかしがることはありません。
一度,自白調書に署名・押印すると,その話を後で覆すことは大変な労力が必要となります。
取調べは厳しくなることが予想されますが否認を貫きましょう。
2 有利な証拠を集める
目撃者がいないかどうか探します。
その人が「犯人は別の人だ」などと証言してくれるかもしれません。
また,スマートフォンなどで犯行を録画しているかもしれません。
DNA鑑定や線維鑑定などの結果も有用です。
また,現場検証・再現実験を行って,状況的に痴漢行為が不可能だったことを立証できる場合もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,痴漢事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
ご家族が痴漢で逮捕されお困りの方、不起訴にしたいとお困りの方は,まずは,0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けています。
(警視庁本富士警察署までの初回接見費用:36,000円)