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刑罰の種類と不起訴
刑罰の種類と不起訴
~ケース~
さいたま市在住の会社員のAさんは,休日に日頃の会社でのストレス等から東武鉄道野田線の車両内でVさんに痴漢をしてしまった。
AさんはVさんによって腕を掴まれ次の停車駅で駅員に引き渡された。
通報によりかけつけた警察官によってAさんは埼玉県大宮警察署に連行された。
Aさんの勤務する会社の就業規則には「従業員が何らかの刑罰を受けた場合は懲戒解雇に処することができる」という規則があり,Aさんの家族は刑罰を回避する方法がないか,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談した。
(フィクションです)
~痴漢~
痴漢は各都道府県の定める,いわゆる迷惑防止条例によって禁止されています。
詳細な条文は各都道府県によって若干異なりますが以下のような条文になっています。
何人も,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような行為であつて,次に掲げるものをしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物において,衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
(以下略)
この条文は東京都の迷惑防止条例の条文です。
罰則も各都道府県によって異なりますが6か月以下もしくは1年以下の懲役または50万円もしくは100万円以下の罰金という場合が多いようです。
~刑罰~
刑罰は、重い順から,死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留,科料となっています。
また,刑の執行を一定期間猶予し,その期間に犯罪を犯さないなどの条件を満たす場合には刑の言渡しの効力を失わせる「執行猶予」と呼ばれる制度があります。
執行猶予は3年以下の懲役・禁錮,50万円以下の罰金に対して付すことが可能ですが,罰金刑に執行猶予が付されることは非常に稀で1年に1件あるかどうかのようです。
罰金刑を科せられたものの罰金を払えない場合は労役場留置という換刑処分となります。
労役場で罰金額に対応した日数の労役作業をすることにより罰金を支払ったことになります。
基本的に1日当たり5000円で計算されることが多いようです。
~Aさんの場合~
何らかの事件が発生したにも関わらず被疑者(および被告人)が刑罰を受けないケースというのは、基本的に刑事裁判で無罪となった場合か検察官が事件を不起訴とした場合が考えられます。
今回のケースでは,Aさんは実際に痴漢行為をしてしまっていますので,起訴されて刑事裁判となった場合には無罪となることはまずありません。
そのため,刑罰を回避するためには不起訴処分を目指すことになります。
不起訴処分には全部で20種ありますが,多くの場合は起訴猶予処分を目指すことになります。
起訴猶予処分は被疑事実が明白な場合において,被疑者の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときに不起訴となります。
痴漢事件の場合,犯行が悪質でなく,余罪もなく初犯であるような場合には,被害者の方と示談が成立していれば、起訴猶予の不起訴処分となる場合が多いです。
そのため,Aさんが刑罰を回避するためにはVさんと示談を成立させることが重要になります。
しかし,加害者の方がご自身で示談交渉をしようとしても,被害者の方が応じてくれないどころか,連絡先などもわからない場合がほとんどです。
弁護士であれば,被害者の方の同意の下,検察官から連絡先を教えて頂き,被害者の方と連絡を取ることができる場合もあります。
なお,勾留されていない在宅事件の場合,国選の弁護士は起訴された後でしか付けられませんが,私選の弁護士であれば起訴前につけることができますので、起訴されないように活動することが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
被害者の方と示談を成立させたことによって不起訴となったケースも多数あります。
痴漢をしてしまいお困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
初回接見・事務所での無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。
(事務所での法律相談は初回1時間無料です)
弁護士は私選か国選か?
弁護士は私選か国選か?
大阪市阿倍野区に住む会社員のAさん(31歳)は,通勤電車内で痴漢をしたとして,大阪府阿倍野警察署の警察官に大阪府迷惑行為防止条例違反で現行犯逮捕されました。
実は,Aさんは,以前から同じ電車内で痴漢を繰り返しており警察官から目をつけられていたのです。
Aさんの妻Bさんは,警察官から逮捕の連絡を受けました。
Bさんは,ネット検索で対応してくれそうな弁護士を探していると,刑事弁護士には「私選」と「国選」の2種類あることを知りました。
Bさんの妻は,「私選」か「国選」かで迷っています。
(フィクションです)
~ はじめに ~
痴漢で逮捕されたという連絡を受けて困っても,事が事だけに,直ちに誰かに相談できる方ばかりではないと思います。
そこで頼りになるのが弁護士ですが,その弁護士を選ぶにあたっても注意すべき点があります。
弁護士の力量等によってその後の結果が大きくことなることがありますから,弁護士選びは慎重かつスピーディに進めなければなりません。
今回は,Bさんが迷われている「私選」と「国選」の違いなどについてご紹介いたします。
~ 私選弁護人,国選弁護人とは ~
私選弁護人とは,被疑者その他弁護人選任権のある方から選任された弁護士のことをいいます。
他方,国選弁護人とは,勾留状を発布された(勾留された)被疑者が貧困等の事由により弁護人を選任することができない場合において,被疑者の請求により,国によって選任された弁護士のことをいいます。
~ 私選弁護人と国選弁護人の違い ~
弁護士費用の負担の点で,私選弁護人は自己負担,国選弁護人は国が負担(例外あり)ということは一般的に知られていると思いますが,他にどんな違いがあるのでしょうか?
= 条件 =
私選弁護人の選任の条件はありません。
他方,国選弁護人の場合,資力が50万円未満であるという条件が必要となります。
また,そのことを証明するために,裁判所に資力申告書を提出しなければなりません。
資力申告書に虚偽記載をしたことが判明した場合は10万円以下の過料に処せられます。
= 選任,解任 =
私選弁護人はいつでも選任することができます。
また,逮捕された方のみならず,その法定代理人,配偶者,直系の親族及び兄弟姉妹の方でも選任することができます。
解任も自由です。
「相談に乗ってくれない」「そりが合わない」「やる気がない」「力量がない」などといった場合はいつでも解任することができます。
他方,国選弁護人の場合,勾留状が発布されてからでないと選任できません。
また,弁護人を選ぶことはできません。
したがって,どんな人が弁護人となるか選任されるまでは分かりません。
解任も自由ではありません。
~ 私選弁護人と国選弁護人,どちらにすべき? ~
以上,私選弁護人と国選弁護人の違いはお分かりいただけたでしょうか?
ここでは,私選弁護人にすべき場合(反対の場合は国選弁護人にすべき場合)をケースごとにご紹介いたします。
= 弁護士費用をご準備できる場合は「私選」 =
当該事件に関し,どのくらいの弁護士費用がかかるかは一概にはいえません。
事件の難易度にもよれば,結果によっても大幅に変動します。
また,余罪等があり再逮捕が繰り返される場合は,それだけ着手金が追加され弁護士費用は高くなるでしょう。
そこで,まず,はじめに弁護士からおおよその費用を確認した上で,費用をご準備できる場合は「私選」を選んだほうが無難で,安心です。
やはり,国選の場合だと,ご自分で選ぶことができない分,「刑事事件に慣れていない」「やる気がない」「力量がない」弁護士が選任されるリスクが高くなります。
= 早期釈放なら「私選」 =
次に,早期釈放を目指す場合は「私選」をお勧めします。
先ほども,少しご紹介しましたが,「国選」が選任されるのは逮捕期間(逮捕から勾留されるまでの最大72時間)後の勾留状が発布された後です。
しかし,「私選」であれば,その逮捕期間中に釈放に向けての弁護活動を行ってもらい,釈放してもらえることもあります。
釈放されれば,何よりご本人が肉体的,精神駅負担から解放されることができますし,学校,会社・職場への対応もやりやすくなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,痴漢をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。
痴漢でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
24時間,無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております。
(大阪府阿倍野警察署までの初回接見費用:36,700円)
強制わいせつ罪で逮捕・不起訴
強制わいせつ罪で逮捕・不起訴
事例:Aは、通勤途中に、兵庫県高砂市内を走る電車内において、前に立っていた女性Vの下着の中に手を入れて陰部をなで回すなどの行為をしていた。
Vの様子からAの行為に気付いた乗客Bは、Aを詰問し、駅員室まで連れて行った。
兵庫県高砂警察署の警察官は、Aを強制わいせつ罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、痴漢事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~痴漢事件における迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪~
本件では、AはVに対する痴漢行為によって、強制わいせつ罪で逮捕されてしまっています。
痴漢事件においては、各都道府県が定めるいわゆる迷惑防止条例の罰則規定が適用されることが少なくありません。
迷惑防止条例が適用される場合、その法定刑は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」と規定されていることが多く、「6月以上10年以下の懲役」と法定刑を定める強制わいせつ罪とは大きな差が生じることになります。
なお、仮に怪我まで負わせてしまった場合には、強制わいせつ致傷罪(刑法181条1項)として裁判員裁判となる可能性まであることに注意が必要です。
まず、一般論として刑法176条は、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者」および「13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者」を強制わいせつ罪とする旨を規定しています。
では、痴漢事件において、どのような場合に強制わいせつ罪という刑法犯の成立の成否が問題となるのでしょうか。
この点、迷惑防止条例違反が適用されるか、刑法犯として上述の強制わいせつ罪が適用されるかに関しては、被害者の下着の内側にまで手(や指など)を入れたかどうかが指標の一つとなると言われています。
したがって、弁護士としては、まず被疑者がどこまでの行為を行ったのかを具体的に把握する必要があるといえるでしょう。
本件では、AはVの下着の中にまで手を入れたとされており、Aが特にこの事実を争わない場合には強制わいせつ罪が成立する可能性が高いと考えられます。
~強制わいせつ事件(痴漢事件)における弁護活動~
強制わいせつ罪を含む痴漢事件において逮捕されてしまった場合、刑罰の適用を避け不起訴を得るためには、被害者との示談を成立させることが極めて重要になります。
刑事訴訟法248条は「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」と規定し、検察官に広範な起訴猶予の権限を認めています。
2017年の刑法改正によって、強制わいせつ罪を含む多くの性犯罪が非親告罪となりましたが、これはあくまで被害者の告訴の精神的負担を軽減することが趣旨であることから、被害者との示談が成立すれば、なお不起訴等を得られる公算が高まることに変わりはないと考えられます。
特に強制わいせつ罪においては、強制性交等罪(旧強姦罪)などと比べ、示談が成立すれば起訴猶予などの不起訴処分を得られる可能性はより大きいといえ、刑事事件専門の弁護士による専門性の高い弁護活動が重要となってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強制わいせつ事件を含む痴漢事件を多数取り扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
痴漢事件を含め多数の不起訴・起訴猶予処分を得た経験を持つ弁護士が所属しており、依頼者様にとって最善の弁護活動を行ってまいります。
強制わいせつ事件で逮捕された方のご家族は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはお電話ください。
逮捕され警察署等に留置されてしまった方への、弁護士による迅速な初回接見(面会)サービス等、スピーディーな事件への対応をお約束します。
兵庫県高砂警察署への初回接見費用:40,100円
京都市営地下鉄烏丸線車内の痴漢事件
京都市営地下鉄烏丸線車内の痴漢事件
~ケース~
Aさんは、京都府内を走行する満員の京都市営地下鉄烏丸線車内において、前にいた女性Vの臀部をスカート越しに撫でたところ、Vはこれに気付き、Aさんの腕を掴んで「警察へ行こう」と言いました。
Aさんはとりあえず降りて謝罪をしようと思い、Vと一緒に次の駅で降車しましたが、間もなく駆け付けた警察官に京都府北警察署へ連れて行かれ、取調べを受けました。
数時間に及ぶ取調べが終わり、ようやく出勤できると思ったら、警察官に「しばらく帰宅はできないので泊ってもらう」と言われ驚いています。(フィクションです)
~痴漢をしてしまったら~
いわゆる「痴漢行為」を行った場合には、主に①各都道府県が制定する迷惑行為防止条例違反の罪、あるいは、②強制わいせつ罪(刑法第176条)の成否が検討されます。
(迷惑行為防止条例違反の罪)
迷惑行為防止条例は、47都道府県すべてにおいて制定されており、都道府県ごとに条文の文言や法定刑が異なります。
どの都道府県の迷惑行為防止条例が適用されるかは、痴漢を行った場所により決まります。
京都府内を走行する電車内でVの臀部を触ったのであれば、京都府内で痴漢を行ったことになるので、京都府迷惑行為防止条例が適用されることになります。
京都府迷惑行為防止条例第3条1項は、
公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
(1)みだりに、他人の身体の一部に触ること(着衣の上から触ることを含む。)。
(2)みだりに、物を用いて他人の身体に性的な感触を与えようとすること。
と規定しており、これに違反し、有罪が確定すれば、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
(強制わいせつ罪)
強制わいせつ罪は、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をする犯罪であり、13歳未満の者に対してわいせつな行為をした場合には、暴行・脅迫によらずとも強制わいせつ罪が成立します。
迷惑行為防止条例違反の罪と異なり、「公共の乗物において」などといった場所の制限がありません。
さらに、法定刑も6月以上10年以下の懲役が予定されており、迷惑防止条例違反の罪よりもはるかに重い犯罪ということができます。
(両者の区別)
条文で具体的に強制わいせつ罪と迷惑行為防止条例違反の罪の「境界」を示すものはありません。
そのため、痴漢の態様(触れた、に過ぎないのか、それとも弄んだのか、触れた身体の部位、直接肌に触れたかどうかなど)を考慮し、「わいせつな行為」に至ったかどうかを検討することになります。
ケースの場合のように、スカート越しに臀部を撫でたケースにおいては、多くの場合、迷惑行為防止条例違反の罪の成否が検討されることになるでしょう。
~取調べが終わったのに、Aさんはなぜ帰宅できないのか~
ケースの警察官は、すでにAさんがVにより「現行犯逮捕」されているものと判断した可能性が高いです。
「現行犯人」は、誰でも(警察官でなくても)逮捕することができ、令状も必要ありません(刑事訴訟法第213条)。
被害者が被疑者の腕を掴むなどして警察に引き渡した場合、私人による現行犯逮捕がなされたものと扱われることがあります。
~早期の身柄解放を目指す~
Aさんの身柄は逮捕時から48時間以内に検察に送致され、検察官の取調べを受けることになります。
検察官は、身柄を受け取った時から24時間以内に勾留請求をするか、釈放するか、あるいは起訴するかを判断します。
勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出せば最長10日間、勾留延長をされれば更に最長10日間、留置場から外に出ることができなくなります。
したがって、現在のAさんは、勾留をさせない活動を尽くし、なるべく早期に留置場の外に出られるよう行動すべきです。
「勾留をさせない活動」として考えられるのは、被害者女性との示談、検察官や裁判官に勾留請求、勾留決定をしないよう働きかけることです。
いずれも、Aさんが自ら行うのは困難なので、刑事事件に熟練した弁護士に身柄解放活動を依頼しましょう。
無事に身柄を解放された後も、不起訴処分の獲得を目指して行動しなければなりません。
弁護士は、Aさんにとってより利益な処分が得られるよう力を尽くします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースのような痴漢事件の解決実績も豊富です。
ご家族、ご友人が痴漢事件を起こし逮捕された方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
初回接見のお申込みは0120-631-881まで
京都府北警察署までの初回接見費用:36,300円
痴漢と疑われないために 痴漢と疑われたら
痴漢と疑われないために 痴漢と疑われたら
福岡市に住むAさんは,満員電車内で,突然,Vさんから「この人痴漢です」と言われ腕を捕まれました。
Aさんは,痴漢をした覚えは一切ありませんでした。
Aさんは全く身に覚えがなかったため,無実であることを主張しようと,次の駅で降り,駅員に促されるまま駅の事務室へ行きました。
そうして,Aさんは,事務室で駅員へ説明していると,通報を受け駆け付けた福岡県博多警察署の警察官から警察署まで来るよう言われました。
Aさんは取調べで,警察官から「認めればはやく家に帰れるぞ」などと言われました。
(フィクションです)
~ 痴漢はどんな罪に当たるの?罰則は? ~
痴漢行為は,通常,各都道府県が定める迷惑防止条例(名称は,各都道府県により異なる)により処罰されます。
罰則は「6月以上の懲役又は50万円以下の罰金」,常習として行ったと認められる場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされている条例が多いようです。
その他,痴漢行為が悪質な場合(例えば,女性の背後からいきなり乳房を鷲掴みにするなど)は条例ではなく刑法の強制わいせつ罪で処罰されるおそれもあります。
強制わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」です。
~ 痴漢と冤罪 ~
ところで,2007年に公開された周防正行監督の「それでもボクはやっていない」という映画をご存知でしょうか?
痴漢の否認事件を取り上げた映画で,弁護士役は確か,役所広司さんだったと思います。
当時,とある役所に勤めていた筆者は上司からこの映画を勧められました。
これはあくまで筆者の感想ですが,木村拓哉演じる「HERO」よりもより現実を忠実に再現していると感じました。
刑事司法,裁判の現場がどのようなものなのかお知りになりたい方にはお勧めの映画です。
ところで,映画では,被疑者・被告人役の加瀬亮さんは逮捕から判決まで否認を貫きましたが,結局は裁判で「有罪」判決を受けてしまいました。
痴漢事件では,実際は無実なのに裁判では有罪と認定されてしまう「冤罪」が生じやすいと言われています。
それはなぜなのでしょうか?
~ なぜ痴漢で冤罪が生じやすいのか ~
一つには,
痴漢事件では客観(物的)証拠が乏しい
という点が挙げられます。
客観証拠とは,その名のとおり,主観(先入観,偏見など)が排除された証拠,つまり,純粋に事実のみを映し出した証拠のことをいいます。
たとえば,防犯ビデオカメラ映像などが客観証拠に当たります。
しかし,痴漢行為の場所として多い電車内には防犯ビデオカメラが設置されているわけではありません。
また,被害者や目撃者が痴漢行為を予想してスマートフォンなどのカメラ録画機能を作動しているわけでもありません。
これからすると,痴漢事件は客観証拠に乏しい事件といえると思います。
そうすると,痴漢行為を立証するためには,どうしても被害者,目撃者の供述などの主観(供述)証拠に頼らざるをえません。
しかし,考えてみてください。
人の記憶ほど曖昧なものはありません。
人の記憶は,もともとその人の思い込み,先入観で汚染されている可能性がありますし,場合によっては人からの誤導や誘導で汚染される場合もあります。
また,時が経てば経つほど記憶は薄れ,事件時の記憶は曖昧になってくるものです。
痴漢事件では,痴漢行為の立証をそうした危険な供述に頼らざるを得ないことから,冤罪が生まれやすいと言われています。
~ 痴漢と疑われないために,疑われたら? ~
仮に,裁判で無罪と認定されたとしても,それまでに至る過程では大変な労力と時間を要します。
また,逮捕されたとなると,会社,学校,家庭,ご自身,ご家族の将来などに様々な影響を与えることでしょう。
そこで,痴漢の犯人と疑われないためにどうすればいいのか,疑われた場合はどうすればいいのか,考えられる対策を挙げてみました。
= 痴漢と疑われないために =
痴漢と疑われないためには,
・満員電車の中ではつり革につかまり,なるべく手は下げない
・満員電車は避ける(通勤方法を変える)
などの方法が考えられます。
= 痴漢と疑われたら? =
では,痴漢と疑われたらどうすればいいでしょうか?
* やってないと明確に告げる *
まずは,「自分はやっていない」と明確に告げましょう。
一度痴漢をやったことを認めると「あのときは認めたではないか」などと反論されて,「やってない」という話自体信用されなくなります。
* 自ら微物検査,DNA型検査を依頼する *
微物検査とは犯人の手に被害者の衣服の繊維や皮膚片が付着していないかどうか,被害者の衣服に犯人の細胞片が付着していないかどうかを調べる検査です。
DNA型検査は,微物検査よりももっと精度の高い検査と言われています。
自ら依頼することにより,より身の潔白を証明することに繋がります。
* 余計なことは話さない(被害者に多く語らせる) *
「やっていない」とだけ告げた後は,余計なことは話さない方がいいとかと思います。
余計なことを話すと,それを言質にとってあれこれ追及される隙を与えることになりかえません。
* 現場の声を録音する *
難しいかもしれませんが,現場の生の声を録音することも一つです。
あとで,事件を検証するための有用な道具となります。
* 目撃者を引き留める,特定する *
これも難しいですが,犯人にとって有利な証言,不利な証言をする人にかかわらず,まずは目撃者を特定することも一つです。
弁護士を頼めば,後で弁護士から目撃者に話を聴いてもらうこともできます。
* その場にとどまり,弁護士を呼ぶ *
痴漢事件というと,駅の事務室に連れていかれるイメージがあるかと思います。
しかし,これは駅員,警察官の都合であって,犯人がこれに応じる義務はありません。
その場にとどまり,まずは弁護士に連絡をつけて,その場に来てもらいましょう。
警察官などから連絡を遮断されそうなときも,はっきりと拒否しましょう。
執拗な場合は,その対応した警察官の名前や言動等を録音などで記録しておくとよいです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,痴漢事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
ご家族,ご友人が痴漢冤罪事件で逮捕されお困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。
無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
福岡県博多警察署への初回接見費用:34,300円
不起訴を獲得
不起訴を獲得
東京都に住むAさんは,東京都文京区を走る通勤電車内で,前に立っていた女性の尻や太ももなどに自身の股間を当てる痴漢行為をしました。
そうしたところ,Aさんは,電車を降りホームに降り立ったところで,犯行の一部終始を見ていた目撃者の男性から声をかけられ現行犯逮捕されてしまいました。
その後,Aさんの身柄は警視庁本富士警察署の警察官に引き渡されました。
(フィクションです)
~ 痴漢行為とは ~
痴漢罪という罪の名前はありませんし,それを定めた法律,条例もありません。
しかし,全国各都道府県では,名称こそ多少異なるものの,条例で痴漢行為を禁じる規定を設けています。
たとえば,東京都迷惑行為防止条例(以下,条例)を例にとりますと,条例5条1項1号には次の規定が設けられています。
5条1項 何人も,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような行為であって,次に掲げるものをしてはならない。
1号 公共の場所又は公共の乗物において,衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に身体に触れること
これがいわゆる痴漢行為を禁じる規定です。
ですから,これからすると痴漢行為とは,
公共の場所又は公共の乗物において,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような方法で衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に身体に触れる行為
ということになります。
* 痴漢行為と強制わいせつ罪 *
ただし,痴漢行為と言っても,それからさらにエスカレートした行為については強制わいせつ罪の「わいせつな行為」に当たるおそれもありますから注意が必要です。
乳房を触る行為といっても,単に触れただけなのか,鷲掴みにしたのかで条例か強制わいせつ罪の適用となるのか結論が異なってきますし,衣服の上から触ったのか,直接触ったのかでも異なってきます。
両者の適用は,状況により異なり明確に区別できるものではありません。
~ 条例の罰則 ~
条例の罰則は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」と規定されています(条例8条1項2号)。
ただし,常習性が認められる場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と規定されています(条例8条8項)。
全国的にほぼ同様の罰則となっています。
~ 痴漢と不起訴 ~
痴漢の容疑をかけられ逮捕された場合は,まずは「不起訴」を目指しましょう。
不起訴処分が見込まれる場合は,
早期釈放が可能
となりますし,実際に不起訴処分となった場合は
裁判を受ける必要はなく,刑罰を科されることはありませんから前科も付かない
といった効果を得られます。
ここでは,痴漢で不起訴処分を獲得するための方法をご紹介します。
= 痴漢行為を認める場合 =
1 被害者に謝罪し,示談を成立させる
示談が成立すると,被疑者にとって良い情状となるので不起訴になる可能性が飛躍的に高まります。
2 反省の態度を示す
被害者に謝罪文などを送るなどして反省の態度を形(証拠)にすることが大切です。
そして,それを捜査機関に示すことも重要です。その意味では,示談書も反省の態度を示す証拠といってもいいでしょう。
3 再犯可能性がないことを示す
適切な監督者を探したり,病院などで定期的にカウンセリングを受けるなどして,それを証拠として残すことが必要です。
= 痴漢行為を否認している場合 =
1 意思,記憶に反した供述(自白)をしない(否認を貫く)
痴漢行為を認めない場合は,ご自身の意思,記憶に反した供述(自白)をしないことが重要です。
仮に,自白してしまい,供述調書を作成されても,署名(サイン),押印は拒否しましょう。
これは被疑者に認められた権利ですから,恥ずかしがることはありません。
一度,自白調書に署名・押印すると,その話を後で覆すことは大変な労力が必要となります。
取調べは厳しくなることが予想されますが否認を貫きましょう。
2 有利な証拠を集める
目撃者がいないかどうか探します。
その人が「犯人は別の人だ」などと証言してくれるかもしれません。
また,スマートフォンなどで犯行を録画しているかもしれません。
DNA鑑定や線維鑑定などの結果も有用です。
また,現場検証・再現実験を行って,状況的に痴漢行為が不可能だったことを立証できる場合もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,痴漢事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
ご家族が痴漢で逮捕されお困りの方、不起訴にしたいとお困りの方は,まずは,0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けています。
(警視庁本富士警察署までの初回接見費用:36,000円)
武蔵野線車内で現行犯逮捕
武蔵野線車内で現行犯逮捕
~ケース~
Aさんは満員の武蔵野線通勤電車に乗車中、この状況なら痴漢をしても誰がやったかバレないのではないかと考え、目の前に立っていた女性Vの臀部をスカート越しに撫でました。
バレないと思いきや、すぐにVは臀部の違和感に気付き、Aさんは臀部を撫でていた手をVに掴まれてしまいました。
そのまま鉄道警察隊に引き渡され、警視庁府中警察署で取調べを受けました。
警察官から「とりあえず2~3日は警察で泊まってもらうから」と言われ、驚いたAさんは警察官に帰れない理由を尋ねると、「もうあなたは被害者の女性に現行犯逮捕されてるんだよ」と告げられました。
(フィクションです。)
~Aさんに成立する犯罪~
東京都の迷惑防止条例違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。
一般に、電車内で着衣越しに被害者の臀部を撫でてしまった、という場合には、各都道府県が制定する迷惑防止条例違反の罪の成否が検討されます。
東京都の迷惑防止条例においては、「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れる」行為(同条例第5条)が禁止されています。
これに違反し、起訴され、有罪判決が確定すれば、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
~逮捕後、Aさんはどうなるのか~
現行犯人は、誰でも(警察官でなくても)逮捕することができます(刑事訴訟法第213条)。
逮捕状も不要です。
被害者自身で被疑者を警察に引き渡した場合、警察官ではなく被害者が逮捕を行った、という扱いになることがあります。
以下、捜査段階の手続を簡単に解説します。
(警察段階)
警察官による取調べが行われますが、身体拘束を続ける必要があると判断されれば、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ「送致」されます。
(検察段階)
送致後、検察では、警察官ではなく、検察官から取調べを受けます。
検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内に被疑者の勾留を請求するか、釈放するか、あるいは起訴するかを決めます。
(勾留請求をされたあと)
裁判所に連れて行かれ、「勾留質問」を受けます。
勾留するかどうかは、裁判官が決めます。
勾留質問では、裁判官からいくつか質問を受け、その上で勾留すべきであると判断されれば、勾留決定が出されます。
勾留されると最長10日間、勾留延長されればさらに最長10日間もの間身体拘束を受けることになります。
~身柄解放活動を弁護士に依頼~
逮捕されている場合には、初回に限り、無料で当番弁護士の接見を受けることができます。
取調べにどう対応すればいいのか、今後どうなるのか、ということに関して助言を受けることができますが、弁護人として身柄解放活動を行うことはできません。
勾留決定が出ており、被疑者の資力が基準額未満である場合には、国選弁護人の選任を請求することができますが、被疑者側で弁護士を選ぶことはできませんし、やってくる弁護士が必ずしも刑事事件に熟練しているとは限りません。
さらに、一旦勾留されてしまっていることから、捜査の初期段階で「勾留をさせない活動」を行う、という選択肢は採れないことになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に初回接見を依頼された場合、刑事事件専門の弁護士が初回接見に向かいます。
初回接見後、私選弁護人として選任していただいた場合には、被疑者の身柄がなるべく早期に解放されるよう、なるべく軽い処分により事件が解決するよう活動します。
逮捕後、すぐに身柄解放活動に着手できれば、勾留されずに済む可能性も高まります。
また、勾留請求前に示談が成立すれば、勾留請求をされずに済む可能性を期待できますし、勾留請求をされてしまった場合であっても、示談が成立していれば裁判官が勾留請求を却下することがあります。
ご家族、ご友人が痴漢事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見をご利用ください。
初回接見のご依頼は0120-631-881まで。
警視庁府中警察署までの初回接見費用:36,500円
痴漢の強制わいせつ罪と迷惑防止条例違反の違い
痴漢の強制わいせつ罪と迷惑防止条例違反の違い
~ケース~
大阪市北区在住の大学生Aさんは、通学途中、電車内で背後から女性の臀部を触った。
被害女性が駅員に通報したことから、痴漢事件が発覚し、駅員から通報を受けた大阪府天満警察署の警察官はAさんに対し、任意での取調べを行い、Aさんが痴漢行為を行ったことを認めたことから、その場でAさんを逮捕した。
警察から事件について連絡を受け、Aさんが大学を退学にならないか心配になったAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に、どうやって退学処分を避けられるか相談した。
(上記の事例はフィクションです)
~痴漢行為が何罪にあたるか~
痴漢行為を犯した場合、刑法上の強制わいせつ罪、若しくは各都道府県の迷惑防止条例違反の罪に問われます。
刑法上の強制わいせつ罪は、「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する」と規定された犯罪です。
他方、迷惑防止条例については、各都道府県が制定しており、条文の文言や要件などが都道府県毎に異なります。
もっとも、どの都道府県の迷惑防止条例でも、公共の場所における痴漢行為は禁じられています。
例えば、東京都の迷惑防止条例では、以下のように痴漢行為を禁止しています。
「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
一 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。」
一般的には、痴漢事件では、強制わいせつ罪ではなく、迷惑防止条例違反が適用されることが多いです。
では、どのような場合に強制わいせつ罪が成立するのでしょうか。
強制わいせつ罪においては、「暴行又は脅迫を用いて」という文言が用いられています。
同様の文言が用いられている強制性交等罪において、最高裁判例は、「暴行または脅迫を用いて」という文言を、抵抗を著しく困難にする程度のものと判断しています。
仮に強制わいせつ罪についても、強制性交等罪と同様に考えた場合、上記のAさんのように背後から女性の臀部を触るという行為については、被害女性が抵抗することが著しく困難といえるような態様(例えば痴漢行為の際に被害女性を脅すなど)での行為といえる場合には、「暴行又は脅迫を用いて」に当たると判断されるといえます。
したがって、そのような場合、Aさんにも強制わいせつ罪が成立する可能性があります。
痴漢事件で逮捕されてしまった場合、被疑者が大学生であれば、大学に痴漢事件のことが知らされる可能性があります。
警察署から学校に連絡が行く場合もありますし、痴漢事件について報道がなされれば、その報道を知った人が学校に連絡する場合もあります。
このようにして、大学に痴漢事件のことが知られてしまうと、停学処分や退学処分など厳しい処分を受ける可能性があります。
しかし、痴漢事件で逮捕された後、早期に弁護士を付けることで、報道阻止活動や、大学への通知の阻止活動、大学との交渉などを行うことができ、大学に痴漢事件を知られずに済んだり、大学からの処分を軽くしてもらえる可能性があります。
痴漢事件での弁護士の活動として、被害者との示談交渉が挙げられます。
痴漢事件などの性犯罪においては、一般的に被害者が加害者との直接交渉を断る場合が極めて多いです。
被害者としては、被害感情から加害者やその家族と話すことすら拒むことが多く、当事者同士での示談交渉は難航することが予想されます。
そのため、弁護士が仲介役として間に入って、謝罪文を渡したり、適切な示談金を提示することで、被害感情を抑え、示談をまとめることが重要となります。
被害者との示談交渉がまとまれば、不起訴などの処分が得られる場合もあり、大学からの処分も軽微なものにとどまることが考えられます。
痴漢事件のことで何か不安なことやお困りのことがございましたら、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士までご相談ください。
多くの痴漢事件を扱う弁護士が、アドバイスや弁護方法のご提案をさせていただきます。
初回無料法律相談のご予約や初回接見費用のお問い合わせなどは、0120-631-881までお電話ください。
24時間いつでも対応させていただきます。
大阪府天満警察署までの初回接見費用:34,700円
神戸市西区の痴漢事件
神戸市西区の痴漢事件
~ケース~
神戸市西区在住の会社役員のAさんは社内の大型プロジェクトの主任を任されていた。
ある日,満員電車で帰宅中に近くにいた乗客Xから突然腕を掴まれ「この人痴漢です!」と叫ばれた。
次の駅でXと降車したAさんは痴漢などしていないことなどを説明したが,通報によりかけつけた兵庫県神戸西警察署の警察官に引き渡された。
知らせを受けたAさんの家族は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に弁護を依頼した。
~逮捕と釈放~
警察は被疑者を逮捕した場合,48時間以内に検察官へ送致するか被疑者を釈放する必要があります(刑事訴訟法203条)。
そして送致を受けた検察官は48時間以内に公訴の提起,勾留請求,釈放のいずれかをする必要があります(刑事訴訟法204条)。
ただし,身体拘束の時間は合計で72時間を超えることはできません(刑事訴訟法205条2項)。
検察官が裁判所に対して勾留請求して、裁判所が認めた場合,勾留期間は原則10日間です。
その間に検察官は公訴を提起するか被疑者を釈放する必要があります(刑事訴訟法208条1項。
やむを得ない事情がある場合,検察官の請求によって最長10日間の勾留の延長が認められる場合もあります(刑事訴訟法208条2項)。
逮捕されて勾留された場合,単純計算で最長23日間も身柄を拘束されることになります。
この間は身柄を拘束されていますので、学校や会社に行くことは出来ません。
逮捕の1,2日間であれば学校や会社を休むことは可能かもしれませんが,20日以上となりますと退学や解雇の可能性が高くなってしまいます。
そのため,まずは勾留を阻止することが重要です。
~勾留阻止~
そもそも勾留は犯罪の嫌疑,勾留の理由,勾留の必要性が要件となっています(刑事訴訟法207条,60条)。
今回のケースでは犯罪の嫌疑は問題とならないでしょう。
勾留の理由とは,刑事訴訟法60条において住居不定,罪証隠滅のおそれ,逃亡のおそれの3点が挙げられています。
Aさんは会社役員ですので住居不定ということはないでしょう。
また,社内の大型プロジェクトの主任を任されていることから,仕事を放棄して逃亡するおそれも低いといえるでしょう。
一方,Aさんは痴漢行為について否認しているので,罪証隠滅を図る可能性が高いと考えられてしまいます。
電車での痴漢事件の場合,罪証となるのは被害者・目撃者の証言,車内の防犯カメラの映像などが考えられます。
しかし,Aさんのような一般人が車内の防犯カメラの映像を入手することは困難ですし,目撃者を探すのも難しいですし,目撃者証言の隠滅というものも考えにくいでしょう。
そうすると,罪証隠滅のおそれも高いということはできないのではないでしょうか。
また,犯罪の嫌疑および勾留の理由がある場合でも,勾留することにより得られる利益よりも勾留することによって生じる不利益が大きい場合には勾留することは許されないとされています。
Aさんは社内の大型プロジェクトの主任を任されており,仮にAさんが勾留されてしまうと,会社は大きな不利益を被ることになるでしょう。
したがって,勾留の必要性がないということもできるでのはないでしょうか。
以上のことを弁護人の意見としてまとめて、検察官への送致前であれば警察に提出して検察官に送致されないようにし,検察官への送致後であれば検察官に意見を提出して勾留請求がされないように働きかけていきます。
検察官から勾留請求がされてしまった場合にも,裁判官に対して意見を提出することで勾留が認められない場合もあります。
~私選弁護人~
弁護人を頼めない人に対して国が弁護人を付するいわゆる「国選弁護人」は、勾留状が発せられている場合か、被告人となったすなわち起訴された場合に付けることができます。
つまり,国選弁護人を依頼できるのは、最短でも勾留された後ということになります。
したがって,逮捕されてから勾留を阻止するには私選の弁護人に依頼する必要があります。
しかし、逮捕から勾留請求されるまでは最初に説明したように最長で72時間しか猶予がありません。
刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士による迅速かつ適切な活動が必要不可欠です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
痴漢事件で多数の勾留阻止の実績がございます。
ご本人様やご家族の方が痴漢で逮捕されてお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話下さい。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(兵庫県神戸西警察署までの初回接見費用:37,400円)
京都市営地下鉄烏丸線車内の痴漢事件
京都市営地下鉄烏丸線車内の痴漢事件
~ケース~
Aさんは、勤務先に向かう京都市営地下鉄烏丸線線の車内において、前に立っていた女子高生Vに興奮してしまい、スカートの上から臀部を触ってしまいました。
Vは恐怖で抵抗することができませんでしたが、近くにいたサラリーマンWが「お前なに痴漢してるんだ。警察行こう」と言い腕を掴んできました。
Aさんは将来のことを考えると怖くなり、次の駅で停車した際に逃走しましたが、通報を受けて駆け付けた鉄道警察隊に現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは京都府北警察署に引致され、取調べを受けています。(フィクションです)
~痴漢について解説~
痴漢罪という罪名の犯罪類型があるのではなく、痴漢行為の態様によって「強制わいせつ罪」(刑法第176条)、各都道府県が制定する迷惑行為防止条例違反の罪など、さまざまな犯罪の成立が考えられます。
ケースのように、着衣の上から臀部を触った、という場合は、通常、迷惑行為防止条例違反の罪の成立が検討されます。
したがって、Aさんのケースでは、京都府迷惑行為防止条例違反の罪の成否を検討しなければなりません。
京都府迷惑行為防止条例第3条1項は、「公共の場所又は公共の乗物において」「みだりに、他人の身体の一部に触ること(着衣の上から触ることを含む。)」を禁止しており、これに違反すると6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
Aさんの行為は上記の条文に該当するため、Aさんの行為が京都府迷惑行為防止条例違反の罪を構成する可能性は極めて高いと思われます。
~Aさんは今後どうなるか?~
(警察段階)
痴漢行為について弁解を聞かれたあと、取調べを受けることになります。
警察は更に身体拘束を継続する必要があると判断した場合、Aさんの身柄を逮捕時から48時間以内に検察へ送致します。
(検察段階)
検察官が取調べを行い、24時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するか、あるいは起訴するかを決めることになります。
逮捕後の身柄解放活動のポイントの1つは勾留請求の前です。
勾留請求をされなければ、釈放されますので、そのまま職場に戻ることも可能です。
弁護人は検察官に働きかけ、勾留請求をしないよう交渉します。
(勾留請求後の流れ)
勾留請求をされてしまった場合、これを受けた裁判官は、勾留質問を通じ、Aさんを勾留するかどうかを判断します。
ここも身柄解放活動のポイントです。
勾留するかどうかを最終的に判断するのは裁判官なので、裁判官に勾留決定を出さないよう交渉するという活動も考えられます。
(勾留決定後)
勾留決定がなされると、検察官は勾留の満期日までに、Aさんを起訴するか、不起訴にするか、あるいは処分を保留して釈放するかを決めます。
この段階での身柄解放活動としては、勾留の取消等を求めて不服申立てをする「準抗告」が考えられます。
ただし、一旦裁判官の判断により勾留されているので、準抗告により勾留決定を覆すのはハードルが高いと言わざるを得ません。
また、刑事弁護人の活動として重要なものの1つに、「不起訴処分の獲得」があります。
「不起訴処分」には、①被疑者に犯罪の疑いがない「嫌疑なし」と、②被疑者の有罪を立証できる証拠が十分でない「嫌疑不十分」と、③被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況を考慮し、起訴する必要がない場合に行なう「起訴猶予」があります。
一旦起訴されてしまうと、無罪判決を獲得するのは極めて困難です。
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられることがないので、前科もつかずに済みます。
~被害者との示談活動を依頼~
今回のケースで、被害者がはっきりしていれば、被害者と示談をする、という選択肢を選ぶことができます。
被害者と事件の解決に向けた合意を行ったことを証する示談書は、検察官が起訴又は不起訴を決めるにあたり、Aさんにとって有利な証拠となりえます。
もっとも、Aさんが直接示談交渉を行うことはおすすめできません。
そもそもAさんが被害者の情報を知ることができない(警察や被害者が教えてくれない)こともありますし、仮にわかっていても、会ってくれない、不当な要求を突き付けられるなどの問題が生じることがあります。
弁護士は、被害者とAさんの間に立ち、法律の専門家、示談交渉のプロとして、可能な限りAさんにとって利益な示談交渉を行います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件専門の弁護士が多数在籍しており、痴漢事件の解決実績も豊富です。
ご家族が痴漢事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
相談は0120-631-881まで。
京都府北警察署署までの初回接見費用:36,300円